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カテゴリ:日々の暮らし
私の亡くなった父は、投資が趣味だった。
生きていた頃は、それが守銭奴みたいに見えて、なんだか嫌だった。今は違うけど。 別に恥じることでも何でもないしな。 というか父に投資の才がなければ、私を東京の私大にやってはもらえなかっただろう。 家計を預かる身になって、初めてありがたさがわかった。 父の名ではなく、私名義で買われた株が一件ある。 元親方日の丸の、通信系の会社のものだ。 初めて上場した頃はまさにバブルの真っ最中で、購入のための抽選希望者も殺到したと聞いている。 父も家族全員の名前を使って申し込んだところ、ひっかかったのが私だけだった。 あの時のことはよく覚えている。家族の中で一人だけ父に親孝行できたような気がして、嬉しかったんだろうなあ。 その会社は、上場後2ヶ月で史上最高値の318万円をつけた。 しかし父はどうも売り時を間違ったらしい。 往時の勢いは今や幻、そのまま塩漬け株となっていた。 その配当金が今日届いた。わずかな額だが、やはり嬉しい。 しかし私も小さい子がいる身、教育資金のことなど考えれば、 売って新たに投資計画を練ったほうがいいに決まっている。 でも、やっぱり踏み切れない。 年に一度だけ、あの世からお小遣いをもらっているような、 お前はいつまでもわしの子供だよと、言われているような気分がするのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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