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三崎真琴の「ぼちぼちいこか」

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2002年10月23日
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 もう何年も前、家の近所に小さな古本屋さんがありました。

 住宅街の古書店なので、品揃えは少年少女向けのコミックス単行本が中心、店に看板が出ていなかったため、私は、心の中で勝手に
「まんが屋さん」と呼んでいました。

 店の前を通ると、カウンターのところで、いつも、お姉さんが背中を丸くしてマンガの本を読みふけっている姿が見えます。
 このお姉さんが、「まんが屋さん」の店長さんなのでした。

 よっぽどマンガが好きな人なんやなあ、と思ったものです。

 この店にマンガ本を売りに行った時のこと。
 
 お姉さんは、ものすごいスピードで本を仕分けして、引取金額を計算した後、
「こちらの本は、引き取れません」
 と、数冊をこちらに戻しました。

 なんで・・・?という目で、私がお姉さんの顔を見ると、
 お姉さんは、
「この本は、在庫がダブッてるから」
「この本は、ここでは売れないので」
 と、1冊ずつ、きちんとした理由を説明してくれたのでした。

 “この本は、たぶんダメって言われるだろうな”
 と、自分で薄々分かっているのに持ち込んだ本も、見事、返されました。

 このお姉さん、ホントにマンガのことを良く分かっている。

 こう感じた私は、素直に、返されたマンガ本を家へ持って帰ったのでした。

 今日びの新古書店なら、本を売りに行って、
「この本、バーコードが付いてないんでぇ、値段付かないんっスけどぉ」
 って言われても、強引に本を置いてきちゃうんですけどね。
 
 「古い本の全てに価値がある訳ではない」
 と教えてもらったのも、この「まんが屋さん」でした。

 新古書店の台頭で、いつの間にか店をたたんで引っ越しされたのですが、時々、
 「どうしてはるんかな~」
 と、思い出すことがあります。

 こんな古本屋さんだったら、どんな買い取り値段を付けられても納得できるんですけどね~。





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最終更新日  2005年02月16日 18時07分15秒
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