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一つの町が出来上がるまでにあった一人の剣士と少女の物語
古都ブルンネンシュティグから南東の方角がまだまだ未開拓だった頃、港町ブリッジヘッドの協力の下、300人の人々がその地に向かった。初めは順調であった町づくりもある事が原因で派遣から2年を過ぎた今も町は完成してない。
大雨が降り注ぐまだ名前もない集落。活気はなく、人々はただただ与えられた作業をこなしていた。 そんな中、一人の男が雨の中集落の中に入ってきた。その男にこの集落のリーダーらしき男が声をかける。 リーダーらしき者:「リケル、どうだった??やはり沈んでいたか??」 リケル:「あぁ、ダメだ、この雨で沼地が氾濫して湖みたいになってやがる。しばらくはこの 先で作業はできないな。ロッドさんも見てきたらいいよ。」 ロッド:「いや、もういい。作業も何も、何度同じ事を繰り返してきただろうか。」 ロッドの一言でその周りにいた人たちも下を向き黙ってしまった。その時、一人の村人が声を上げた。 村人A:「おい!なんだ、西のほうから人影が近づいてくるぞ。」 雨の中、その雨を嫌がろうともせずゆっくりと歩いてくる者がいる。髪は黒色で、長さは肩にかかるくらい、服は元々白色だったのであろうか薄汚れた膝にかかるくらいの長さの服を着ている、片腕がないのか左の袖がユラユラ風に舞っている。それを見たロッドが手で雨を避けながら男に近づく。 ロッド:「あんた何者だ?こんな辺境のようなとこに来るとか頭がおかしいのか?」 ロッドは男のユラユラ揺れる袖を横目で見ながら話しかける。 片腕の男:「すまない、この世界の地図にない場所を探していたんだ。この先になにがあるのかを確かめに来たんだ。」 ロッドはその男の腰に一振りの剣があるのに気づく。 ロッド:「あんた剣士さんかい?」 片腕の男は悲しげな目をしながら、 片腕の男:「あぁ、昔はね。今は色々なところを旅して本にまとめているんだ。この先にある場所を書き留めたい。いいか?」 ロッドは少し悩んだし仕草をしてフーっとため息をついたあと、 ロッド:「この先は今この雨で沼が氾濫して通れなくなっている。一週間もすれば元に戻ると思うが・・・」 片腕の男:「そうか、それは残念だ・・・」 ロッド:「いいよ、あんたそこまで悪い人じゃなさそうだしこの村・・・・いや村なんかには見えないか・・・、まぁここでよければ沼地が通れるようになるまでゆっくりしていけばいい。」 片腕の男は沼地のほうを目を細くして見たあとに、 片腕の男:「すまない、甘えさせてもらおう。滞在してる間にこの周辺を探索して本にでも書き留めるよ。」 ロッドは一つの方向を指差して、 ロッド:「あそこの小屋が一つ空いてる、あそこを自由にしてくれ。」 片腕の剣士は深々とおじぎをして、 片腕の剣士:「ありがとう、あなた達に何も迷惑をかけないから安心してくれ。」 そういうと大きな雨粒の雨の中その男は小屋の中へと消えていった。ロッドの元に困惑した顔でリケルが寄ってくる。 リケル:「リーダー、いいのかい?あんな怪しい男をここに泊めさしたりして・・・」 ロッドは雨の中空を見上げる。 ロッド:「分からんが、あの男がこの場所に活気を戻してくれそうな・・・そんな気がしたんだ。ほら、今日はもうこの雨だ、作業を打ち切って家に帰ろう。」 人々が眠りについたあとも、その人々の心情を表すかのようにザーザーと雨は降り続ける。
翌日、昨日の雨が嘘のように空には太陽が輝いている。そんな中片腕の男が集落のすぐ横にある森の中に入っていく。高々と伸びた木々が太陽の光を遮り、まだ昼だというのに不気味な薄暗い森を演出している。そんな森にどこかへとつづくような道が一本ある。男はその道にそって歩を進める。 すると遠くに光が見えてきた。男がその場所に着くと目を疑うような光景が見えた。 片腕の男:「なんだ・・・ここは、こんな美しい場所がこの世界にあったなんて・・・」 男の目の前には何十種類もあろう花々が、地平線の向こうまで続いている。その花の周りには綺麗な蝶などが美しく舞っている。と、その時後ろから男の足に何かがぶつかった。 ドン 片腕の男はサッと剣を抜きその何かがぶつかってきた方向に剣を向ける。そこには一人の少女が転んでいた。 片腕の男:「すまない、脅かすつもりはなかったんだ、モンスターかと思ってな。」 そういいつつ剣を鞘に戻す。 少女:「ん?なにが?ぶつかったこっちが悪いんだよ^^」 その少女はまだ7歳くらいの少女で、やはりあの集落の育ちか、服はあまりきれいではない。しかし、一つ男が気になることがあった。元気な子なのに目をあわせようとしない。そして気づいた。 片腕の男:「そうか・・・・君は目が見えないんだな・・・」 男はすまないことをしたと思った。しかし少女は、 盲目の少女:「うん!目は見えないんだ!でもね!この場所だけは匂いとかですごく綺麗な場所だな~って分かるんだ!家の周りはあまり好きじゃないからここによく来るの^^」 男は目も見えないのにここまで人は強くなれるのか、ましてやこんなに幼い少女が・・・。少女は続けて言う。 盲目の少女:「あたしはね、アートっていうの!お兄ちゃんと友達になれたらいいな^^だってお兄ちゃんやさしい匂いがするから!」 少女は左手を差し出す、 アート:「お友達の握手握手!」 男は困った顔をしながら、 片腕の男:「ごめんね、そっちの手じゃ握手できないんだ。」 少女は少し訳が分からない顔をして。 アート:「え?なんでなんで??」 片腕の男:「昔にね、左腕を失くしちゃったんだ、だから右手でね。」 アート:「そっかぁ!お兄ちゃんも大変なんだね!!」 そう言いながら少女も右手を差し出し二人は握手をした。 アート:「お兄ちゃん、お名前はなんていうの?」 片腕の男:「俺の名前は・・・」 男が名前を言おうとしたとき、 若い女の人:「アート!またこんなところまできて!!危ないからダメでしょう!!帰るわよ!」 そういいつつ女の人が男を少し軽蔑したような目で見る。 アート:「ごめんね、お母さん。でもねお兄ちゃんと一緒だったから大丈夫だよ!」 アートの母親が少し小声でアートに言う。 アートの母親:「ダメでしょう・・・知らない人といちゃ・・・・さ!帰るよ。」 母親がアートの手を引き森の中に入っていく。するとアートは振り向き。 アート:「じゃあねお兄ちゃん!また会えたらいいね!!」 男は複雑な表情で、 片腕の男:「あぁ、また・・・・」 そうすると二人は森の中に消えていった。男は鞄から本を出し、 片腕の男:「さて、この場所を書きとめておこう。」 そういうと黙々と男はペンを走らせた。本を書き終わる頃にはすっかり日も暮れていた。 片腕の男:「そろそろ戻らないと危険だな。」 男はゆっくりと歩きながら集落に帰っていく。そして、自分の寝泊りをしている小屋に行く途中に少し大きめの集会所のような所から話し声が聞こえた。 ???:「もうダメだ、2年も経つのにいっこうに作業が進まない。諦めて帰ろう。」 ???:「あいつらのおかげで何度同じ作業を繰り返しているか・・・。」 そうするとロッドの声が聞こえてきた。 ロッド:「ナーガ族がいる限り一生この町は完成しない。ブルンネンシュティグに送った騎士団要請の手紙の返事は帰ってきたか??」 リケル:「いや、まだだ。もう何週間経つか・・・・やつらナーガ族はこの町が出来あがった頃にやってきて潰していきやがる・・・まるで苦しんでいる俺たちを見るのが楽しみのようにな。」 片腕の男は壁の横でその話を聞きながらつぶやく。 片腕の男:「そういうことか、この町が完成しないのは・・・・・まぁ、俺には関係ないか・・・。」 そういうと男は自分の小屋に向かう。 アート:「お兄ちゃん!!また会ったね!!」 という声が聞こえるほうに目をやるとアートが走ってこっちに向かってきている。どこから走ってきたのだろうか、すごく息切れをしている。 アート:「お兄ちゃんの匂いがしたから急いできたんだ^^」 男はこの集落にきて初めて笑顔になった、同時に思う。笑ったのなんていつぶりだろうかと。 片腕の男:「そうか、ありがとう。でももう遅い。家まで送っていくよ。」 アート:「うん!ありがとうね!」 そう言うと少女は男の手を握る。 アート:「でもよかったね!お兄ちゃん!」 片腕の男:「ん?なにがだい??」 アート:「片腕でも残ってよかったね^^」 少し困った顔で、 片腕の男:「そうかな?」 アート:「だってこうやってアートと手つなげたよ^^両方なかったら手もつなげなかったんだよ!手をつないだら暖かいでしょ?だからアート手をつなぐの大好きなんだ!」 隻腕だと気味悪がられてきた人生。剣もろくにふるうこともできなくなった手。いっそ自分でももういらないと感じ始めていた手を、一人の少女が一つの使い道を教えてくれた。人の温かみをしることができるんだと。 アート:「ねぇ!明日もあの場所に来る??」 片腕の男:「あぁ、またあそこに行こう。」 男は一粒流れた涙をぬぐいつつ少女を家まで送った。
第2章に続く・・・・・
うほう!!!!! かなり長くなった!!!!!! 文才なくてごめんねつД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚ まぁまだもう少し続くので読んでいただけたら光栄です!!!!! ではまた次回!!!!! (* ^ー゚)ノバイバイ
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