カテゴリ:本
浅田次郎 読み終えて、ただボーッとしてしまった。 最後は涙で活字が霞み、 ティッシュ片手にやっとの事で読み終えた。 1945年8月15日の終戦直後、 北海道のはるか北東にある千島列島に占守島で、 18日から数日間おきた激しい戦闘を描いたもの。 ![]() 戦争は終わったのに?? 日本は負けを認め、降伏したのに?? 一人一人の登場人物は、いったいどうなるのか? 各人の人生や背負ったものの輪郭がハッキリしてくるにつれて、 とても、不安になりながら、 それでも、最後まで一気に読んでしまった。 いつもながら、浅田氏の筆力の迫力に圧倒される。 場面やシーンが切れ変わり、 方々の角度より、事件を見つめ、 より詳細に、鮮明に、表現されている。 戦争がどれだけ矛盾してて、理不尽なものであったか、 そこには本人の意志などなく、 ただ、祖国の駒に過ぎない。 敵も味方も関係なく、 同じ人間であり、 それぞれの人生の重みには変わりない。 己の意志になく、 人を殺さねばならない。 何の為に??? どの兵士も死ぬ間際に、 沢山の殺戮を犯した罪の意識におののき、 どうして、こうなって、死ぬハメになったのか? "死"の瞬間に、初めて人間らしい意志をもち、 懺悔できたのではないか… --------------------------------------------- この戦争の真の悲劇は敗戦ではない。 国民の意志に関わらず戦が始まり、 それを国民の意思と断定して継続したあげくに、 負けたのだ。 すべての民主的な手続きを無視し、 勝手に戦い、 勝手に負けた。 --------------------------------------------- 日本史上、最低最悪な時代だと断言できる。 同じく命を粗末にした、 戦国時代や幕末においては、 最低限度、 人それぞれの筋の通った意志や思惑があった。 意志を持たないこの戦争は、 矛盾と理不尽の中で、 罪もない善良な人間が無駄死にしただけのものだった。 私は、全く"戦争"とはかかわりのない時代に 生まれ育ったことを、 真の底から幸せに思う。 しかし、 泣かせるの上手いよなー。 今回もまた、 浅田氏の術にハマってしまった… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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