カテゴリ:本
あさのあつこ 地方大会決勝戦。 最終回裏ツーアウト。 ランナー無し。 バッターが打ち損じたキャッチャーフライを 紺碧の空を見ながら、ガッツリ捕って、 勝利を実感する。 ![]() 結果のネタバレから始まる。 作者が語りたかったのは、 ここまでくるキッカケになった出来事で、 キャッチャーとピッチャーの運命的な出会いを描いている。 巧みな筆致で、 田舎の風景と季節を描き、 単純明快な少年と、 心に傷を負ったナイーブな少年との出会いを、 よりいっそう引き立たせ、 美しい形になっている。 会社倒産、夜逃げ、落ちぶれた旧家… どんどん廃れてゆく町を舞台に、 そこに住む人々の苦悩を描きながら、 それでも、住み続ける人々の前向きな姿勢をクローズアップする。 廃校寸前?みたいな ド田舎の中学校に通う少年の、 真に野球をしたいという強い気持ちが、 やがて夢に向かって回りも固まっていく。 若くて、青いが、 ブレない、シンプルな目標が、 みんなのエネルギーをひとつにする。 薄めの本だし、 行間も空いていて、 一つ一つの文章も短く、 スグに読めてしまうけど、 その小さなスペースに ピンポイントで、凝縮された作品だと思う。 シンプルで素直な筋書きだけど、 なんか、最後は心洗われるような、 すがすがしさでいっぱいになる作品だった。 バッテリーとかぶる? とは思うけど、 これはこれでまた違う。 しかし、あさのさん、 野球好き? 実はキャッチャー好き? もしかして少年好き?? それらに愛情がなければ書けない作品だと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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