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カテゴリ:イベント、楽しみ
昨日の続きです。
第二会場に入ります。 まず、模本と断簡が展示されていました。 模本は読んで字の如し、断簡は紙のはぎ目が外れたりして絵巻から外れてしまったものです。 鳥獣戯画の甲巻は現在京都栂尾の高山寺の所蔵ですが、前後のつながりがおかしい所があったり、終わり方も中途半端というか謎めいていて、それは現存の絵巻には欠けた絵があるからだと考えられています。 絵巻物は、一枚の長い紙に描かれているわけではなく、例えば現存の鳥獣戯画甲巻なら、23枚の和紙に描かれた絵が貼り合わされて巻物になっています。そのつなぎ目が長い年月のうちに剥がれるなどして、そこに描かれていた絵は巻物から失われてしまいました。 その失われて欠けた絵が断簡で、現在5つの断簡が知られています。その断簡で現存の甲巻を補うことにより製作当時の姿に近づけることが可能になります。 でも、それだけではまだ不完全。 そして、完全形のヒントになるのが模本です 第一会場に展示されていた住吉家旧蔵本などの、絵巻が原型をとどめていた時期に模写された模本が、本来の甲巻の姿を伝えてくれているのです。 模本や断簡が西洋絵画の模写とは違うと、昨日書いた意味をお分かりいただけると思います。 この展覧会では、日本そして世界の各地に散らばったこれらの模本や断簡が一堂に集められており、上に書いたことを目の当たりにし、納得することができました。天晴れ、トーハク!です。 第二会場に入る前には、さほどの期待感もなく、せっかくだからというおまけ的な感じだった気持ちが、一歩一歩と歩を進め、一点一点を目にするるうちにすっかり前のめりに変わっていました。 これも展覧会の醍醐味の一つですね。 次の展示は、鳥獣戯画そのものではなく、ゆかりの深い高山寺の高僧明恵上人に関するものでした。 非常に深く釈迦に帰依した方で、夢日記のようなものをつけていたことでも有名なのだそうです。 夜、寝てみた夢だけでなく、昼の幻のようなものも夢と呼んでいたのですって。 また、歌人としても高名で、代表作?として「あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかや月」という歌が紹介されていました。でも、これ、良い歌なんでしょうか? この展示室の最後に、上人が可愛がっていたという仔犬の像が展示されていました。高名な仏師の作と伝わっているそうです。 とても可愛い仔犬なのですけれど、そんな、犬の像に伝〇〇作?なんか大袈裟と思いました。 ところが、この仔犬像、丸いガラスケースに入れられて周りをぐるっと一周りして見られるようになっていたので、なんだろう?と思って真後ろにまわってみて、納得しました。大袈裟ではありませんでした。 後ろ姿の表情の可愛らしさ、存在感が半端じゃないのです。 名のある仏師の作と多くの人が考えるのも当然です。最後の最後まで、トーハク、やるじゃない!と思わされた鳥獣戯画展でした。 実はもう一つ、おまけの話があります。 ここで展示は終わりで、時計を見ると11時58分。整体の予約は14時なので、お昼を食べて少しゆっくりできるかなと、一階に降り、自販機で冷たいお茶を買って喉を潤してから出口に向かいました。 正面の池にミズスマシ?を見つけたり して、お昼をどこで食べようかと考えながらのんびりと駅まで歩き、そこでハッ!!と荷物がいやに少ないことに気づきました。 お土産を買って入れたエコバッグを持っていなかったのです。 お茶を飲んだロビーに置き忘れたに違いありません。 急いで博物館まで戻り、事情を話して再入場させてもらい、平成館のインフォメーションに行くと、お嬢さんの後ろにわたしのエコバッグが透明袋に入って立ててあります。 ホッとして座り込みそうになりました。 青いエコバッグにミュージアムショップで購入した〇〇や××を入れたのをロビーに置き忘れたことを説明して返していただきました。 楽しかった鳥獣戯画展が最後の最後まで爽やかに終わってくれて、本当に良かったと思いながら整体に向かいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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