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テーマ:最近読んだ本(786)
カテゴリ:読書
少し前、ブロ友のふろう閑人さんが草餅のことを書かれていました。
京都育ちの閑人さんは草餅ではなくて蓬餅と言っていらしたそうです。 他にも何人かそういう方がいらして、どうも西日本の方に多いような感じを受けました。 わたしは関東の人間だからか、草餅/草団子派で、あの緑色の元が蓬だということは知っていましたが、蓬餅、蓬団子と呼んだことはありませんでしたし、お店でも、札に草餅、草団子と書かれていました。 わざわざ蓬と言わず、草餅と呼ぶのは、蓬以外の植物を使うことはないからだと思ってていました。 ところが今日、西條奈加さんの「うさぎ玉ほろほろ」読んでいたら、出てきたのです。江戸時代、お餅を緑色に着色するのに蓬ではない「草」が使われていた地方があるのだっていうことが。 挙げられていた地名は広島と岡山、やはり西国でしたが、使われていた草はなんと母子草でした。 蓬より香りも味も薄いので餅ではなく新粉を使っていたとも書かれています。 元々は京の宮中で菱餅がそのようにして作られていたそうで、その風習が今も備州、芸州に残っていると書かれたその「今」は、江戸も中期より後のようでした。それからずいぶん時が経ちましたが、備州、芸州(岡山と広島)では、今でも母子草の草餅が作られているのでしょうか。 どんな味なのか、一度いただいてみたいと思いました。 本のことを書こうと思ったのに、とんでもないところに飛んでいってしまいましたが、西條奈加さんは、15年ほど前、「金春屋ゴメス」で出会って以来のお気に入りの作家さんです。どの作品にも思い入れがありますが、今回読んだ「うさぎ玉ほろほろ」は和菓子職人治兵衛と、南星屋(なんぼしや)という治兵衛の店を手伝う娘お永と孫娘お君の暮らしを描く連作短編集です。 治兵衛は、渡り職人として、若い頃から日本全国を旅して周り、江戸に戻ってからは旅の中で書きためた菓子帳を元に、工夫を加えた全国の菓子を売り出して人気を得ています。 今作「うさぎ玉ほろほろ」では、「饅頭くらべ」で土佐のけんぴと野根饅頭、「母子草」ではひな祭りの菱餅、「肉桂餅」ではタイトル通り肉桂餅(これももとは京都のお菓子だそうです)、「初恋饅頭」では有平糖の飴細工と尾張餅、「うさぎ玉ほろほろ」では仙台の菓子うさぎ玉などなど、治兵衛が若い頃旅で出会った菓子がたくさん登場します。 治兵衛は大身の旗本の次男でしたが、家を出て菓子職人となりました。治兵衛にはどうやらさらに秘密があるようで、それもこれから少しずつ明かされていきそうです。 治兵衛とその家族も、一家を取り巻く人々もとても魅力的で、今作はシリーズ三巻目ですが、四巻目、五巻目と謎は解かれていくのか、まだまだ深まるのか、早くしりーずの次の作品が読みたいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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