ツルネ つながりの一射 第十話 勝手な夜明け 感想
樋口「矢摺籘(やずりどう)の傷を、的の候串(ごうぐし)の辺りに合わせたら、狙いがピッタリなんだよな」不破「樋口さん、それは…」不破に`黙ってろ´と強い視線を送る二階堂。卑怯な真似して…叔父さんに恥ずかしくないのか?!ここまで悪人だとは思わなかったわ。マサさん「おっと、いかんな。そいつはルール違反になっちまうぞ」「照準になるような傷や印をつけるのは、御法度なんだ。直した方がいい」樋口「本当に?」「楽だったのにー、残念」何年も弓道やってきたのに、知らなかったのか!不破「今日のところは、テープで隠しておきましょうか」二階堂を横目に、事を穏便に済まそうとする。いいね。* * *厨房。風舞全員がエプロン姿(^_^)遼平「凄かったね、辻峰。一見メチャクチャな感じなのに、不思議と五人の息合いを感じたっていうか」そこに不破がやってくる。「確かにウチの連中は人に合わせたり、前回同じリズムで引いたりする器用なマネとは無縁だからな」湊「なのに、全体として見るとまとまってる気がするんです。その秘密が知りたくて」不破「俺が五人立ちの時、心掛けてることならあるけどな」湊「それ、教えてください!」静弥「ちょっと、湊!」前のめりになる湊をたしなめる。不破「教えてやってもいいが、条件がある。二階堂の奴が、お前と桐先の藤原に物凄く対抗意識っつーか、ぶっちゃけ敵意もってる気がすんだけどよ、お前それ自覚してる?」湊「えっ、そうですか?」嫌味攻撃されても、ちっとも悪く思わないよね。驚くほど、二階堂がバンバン放つ悪意を感じない。「ああ、ありますね、それ。多分、愁はわかった上で無視していたんだと思う」さすがに静弥は感づいていた。(というか、あれほど何度も・痛烈だと誰でもすぐ察するわ)湊「愁に心当たりがないか、訊いてみます」不破「OK 取引成立だ」不破も策士だね。嫌いじゃない。笑* * *野菜を運んできた妹尾に大田黒「お持ちしましょうか?」積極的。笑白菊「妹尾はそんなにやわじゃありませんわ」察してあげて。笑 でも、無理だね。荒垣「こら大田黒、そんなに困らせるんじゃない」風変わりな荒垣だが、こちらも意外と常識人らしい。* * *風舞の部屋に行き」「くれぐれも他言無用で頼むぜ」と念を押してから話し始める不破。(二階堂が知ったら、憤激するぞー)お茶も出してもらって、仲良くなった。笑「実は俺、日本史がけっこう好きでな。試合の時、自分が那須与一になったつもりで引いてるんだ」私は、神田 伯山の講談で知った。静弥「平家物語の`扇の的´ですね」不破「波と風は一定じゃない。自然の気まぐれで刻々と変化して、リズムも変わっていく。これは仲間との射でも同じだ。いつものメンツでも日によって、一射ごとに細かいリズムが微妙に違う。(前の奴のタイミングに合わせていたら、一つズレると、全部がズレちまう)だから、俺はそんなものはなっから当てにしねぇ。ただ、一射だけ。本物の波に比べりゃ、仲間の射のバラつきなんてかわいいもんさ。とにかく、二度と同じ波が来ないように、同じ仲間の射も二度とねえ。そう割り切って、毎回その時のリズムを、息を使う。波と風を読むみたいにな」七緒「おもしろい話だったね」うん。まさか那須与一が出てくるとはね。静弥「僕らが県大会をトレースしようとしていたのとは、真逆のアプローチだった」そうだね。同じ高校生チームでも、考えややり方がかなり違う。* * *浴場で、マサさんと二階堂が偶然二人きりに。二階堂「なんで何も言わなかったんですか。俺が、樋口先輩の、ルール違反だと知ってて黙っていたことです」自分の魂胆を見抜かれていたと、勘づいていた。「一度負けたら負け癖がつくからですよ」だからって、汚いことするのか。「くだらないんですよ。こんな単純な競技にみんな一喜一憂して」冷めている。でも、恵まれない環境でも一生懸命やっているという事実。マサさんの話を聞いて「ああ、そうかよ。そういうご高説は是非自分の優秀な生徒さんたちに垂れ流してくださいよ。俺なんかじゃなくてね!」口の悪さ・態度の悪さにムカつく。* * *翌日。道場で、不機嫌な二階堂が怒鳴る。それをなだめる不破。いつもご苦労さまだわ。「不器用かよ! 俺も矢取り行きます」優しいね。不破は、二階堂のどこがそんなにいいのだろう。* * *湊と二階堂の乗ったエレベーターが故障し、止まってしまう。エレベーターが大きく揺れた拍子に湊が倒れ、右手をぶつけて「いってぇ!」これ、心配だなと思ったが、30日が最終回だから、原作には沿わないか。マサさんに連絡する湊に二階堂「お前はいいな。すぐコーチに頼れて。そうやって、裏切られたことも、今まで挫折したこともないんだろう」二階堂のこういうところが`子ども´だと思う。彼は家庭に問題があるし、叔父さんのことでくやしい思いをしているが、だからといって`あなたは自分と違って苦労知らず´と思い込み、さらに言ってしまうのが。思考範囲(この言葉が適切なのかわからないが)自分のことばっかりって感じ。(まだ16,7だから、仕方ないのか)湊だって、母を早くになくすという辛い目に遭っているんだよ。湊「俺、先輩の美しい射形にずっと憧れていました」憎まれていると知っても、まだ言うか(-_-;)「先輩が、コーチがいない部をまとめて、全国大会までひっぱっていったのとか、本当に凄いと思っています」それはそうだけど・・・二階堂「俺はあいつらを利用しているだけだ」それが本当・本心なら、凄く悲しいよ。非情だし、自分勝手が過ぎる。「知ったふうな口ききやがって!」湊「でも、大会の先輩たち、凄くカッコ良かった」「です」を待たずに怒鳴る二階堂。「うるせぇ!仲良しごっこなんてしてねーんだよ!」口が悪くて本当にイヤだ。気分悪くなるわ。チンピラみたい。* * *茂幸が緊急入院。マサさんの車で、二階堂・不破・湊が病院に向かう。不破「お前までつきあわせて悪いな」これ、二階堂が言うべき言葉でしょう。 不破は相手を気遣えるし、それを言葉でちゃんと伝えられる。湊「いえ、俺が昔 事故に遭って、しばらく入院していた所なんです。案内は任せてください」湊も優しいよ、本当に。「(叔父さんは)師匠じゃない。恩人だ」「西園寺にないがしろにされて、病気も悪くなって。流派を変えるのもいとわない覚悟で弟子入りを懇願したのに、受け入れてもらえなくて。なんでお前らは西園寺に選ばれて、叔父さんはダメだったんだ?本当ムカつくよ。西園寺が選んだお前にも、藤原にも、俺は勝つ!勝って、弓道なんてやめてやる」やはり、西園寺に断られた→病気になった と思っている。不破が湊に出した交換条件(湊と愁に対する敵意の理由を教えろ)は結局、三階堂本人の口から明かされた。愁からの返信には「西園寺先生に教わっていることで、同い年くらいの少年に絡まれた。おそらくあれは、二階堂先輩だ」湊が知らなかった・気づかなかった、身近な人間関係のいくつもの事情。不破「お前もありがとうな。二階堂の奴も、きっと感謝していると思うぜ」不破は人としてちゃんとしている。`二階堂も´と付け加えたことに感心したわ。(でも、本当に感謝しているのか…あんな態度されちゃ疑うわ)湊「いえ、俺は、二階堂先輩に、自分らしい弓を引いてほしいだけなんです」もうあんな奴、放っておけ。気にかけることないよ。でも、憎いと言われてもファンのまま!不破「わかった。伝えとくよ」かさねがさね、いい奴だな。* * *湊「ねえマサさん。弓って何だろう。引き続けた先には、何があるんだろう。なんで、俺たちはこんなに弓に一生懸命なんだろう。辛いこともあるのに、なんで引き続けるんだろうって」素朴な疑問だね。`こんなに一生懸命´だからこそ、ふと思うこと。マサさん「多分、その答えを探すためさ」だね。* * *さんざん恨み節を聞かされても、湊は二階堂を怖がったり避けたりしない。動じないのが凄いな。二階堂を見る眼差しが優しいし、つっけんどんにされても彼を信じているのだなぁと思う。(マサさんや仲間たちに愛されているから、たった一人から嫌われても平気なのだろう。でも、`嫌い´を超して`怨念´だから、気味が悪い)* * *合宿を終えた両校。荷物を持って宿の外へ。で、不破が七緒・海斗・遼平と一緒にいて笑った。風舞にすっかり馴染んでいる。笑 大田黒「もしよろしければ、俺と付き合ってください!」妹尾姐さんに思いを告げる!意外と恋愛に積極的な性格。笑 その勇気に拍手。で、案の定「ごめんなさい」断られた。`ねるとん´みたい。笑 妹尾「今は、仲間たちと大切な時間を過ごしたい」大人だねぇ。立派。白菊「さすが妹尾ですわ」花沢も納得の表情。`三人で弓を引く´それを第一に考える妹尾のことが、頼もしい・誇らしい。(ここであっさり裏切られちゃ、たまったもんじゃないよね)太田黒が荒垣に泣きつき絶叫する。笑「なにやってんだか」と呆れる静弥を「冷たい」と思った。恋して、勇気を出して思いを伝えることを小ばかにするなって。君は、恋したことがないだろう!あぁ、二階堂の`誤解´が解けるといいのに…でも、それはないか。「西園寺が叔父さんをコケにした」なんて思えば、そりゃ憎悪が生じるよ。西園寺が茂幸を断った`本当の理由・思い´を知れば、ここまでヘヴィーな気持ちには至らなかったと思う。不満に思っても、程度が違っただろう。二階堂の、叔父さんに対する深い思いは純粋で温かい。それはまっすぐ伝わってくる。が、とにかく、もう少し素直になれよと思う。不破のようないい友達もいるのだし、もっと伸び伸びしてほしい。見ていて不快なだけでなく、なんだか苦しくなるよ。もったいないなとも思うし。ガキっぽいよ、一人でイライラ尖がって、ムスッとしてさ。叔父さんが二階堂の`外´での態度を知ったら、残念に思うだろう。弓道を恨む・愁と湊を憎むことを、叔父さんが肯定するとは思えない。彼は、二階堂の考えていることを知れば「それは違う」と首を横に振る人だろう。今回、確信したこと・・・不破がいい子。いい奴!二階堂とつるんでいるのがもったいない。「風舞においでよ」と言いたくなる。笑これ!めっちゃカッコいい!