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カテゴリ:❀ バニラな毎日
「普段は自宅で料理教室をやってるんやけど、最近やたらと皆、お菓子を作りたがるのよ」
「できるんですか…?まだ、私にやれっていうならわかりますよ。仮にもここで…洋菓子専門店だったここで…失礼ですけど、プロでも菓子専門でもないあなたが、人にお菓子の作り方を教えるだなんて」 業務用の立派な設備を構え、ここで必死に仕事をしてきた白井の、特別な場所なのだ。菓子職人としてのプライドがある。 「お〜、プライド高い」 やはり言われた。佐渡谷は、ざっくばらんに言う人だ。 「白井さんの大事な道具、お借りしてもよろしいでしょうか?」 今度は丁寧に言うも 「お帰りください」 「もったいない!居抜きで借りてもらうために、家賃 払ってるんでしょ?悪い話やないと思うけど」 そう。遊ばせておくより、貸して料金を得る方がいい。 「白井さん、ここにいたらいいだけよ?」 ん?!思いがけない言葉に驚く白井。 「あっ…いてくれたら心強いなって」 プロだからね。 「私が、お金で動くとでも思ってるんですか!?」 動くでしょう。借金 抱えている身だもの。 自転車屋さんも関西弁・・・舞台は関西ってことか。 背に腹は代えられない。厨房を貸すことにする。 やってきた生徒は、たった一人。マンツーマンだという。贅沢ね。受講費いくらだろう。 材料の果物を、生徒の順子が買い揃えてきた。そのことにも驚く白井。普通は、講師がやることだものね。さらに、高級な果物に目を見張る。「いいとこ、揃えてますね」 タルトフリュイ・・・色とりどりの果物がカラフルで、 見栄えがいい。が、これは手がかかるし難しい。 佐渡谷が作り方の説明を始めると、順子のスマートフォンが鳴る。 すぐにパソコンを開く順子。 外資系コンサルタント・東大出身。いわゆるエリートで、多忙。 「それに比べたら、もうタルト作りなんて簡単よ」 「そうですね」 と言って笑う二人を、お菓子のプロ・白井は冷ややかな目で見る。 ぎこちなく粉を振るう順子。エリートといっても、菓子づくりの手際は悪い。(粉ふるいを片手で持ち、もう片方でトントン軽く叩けばいいのに) 予定時刻を過ぎ、ウンザリする白井。しかし佐渡谷は 「ええよ。気が済むまでやってみて」 順子が心の内に抱えているものを、外に出させるような 言葉だな。 夜になってしまった。 硬い表情・おぼつかない手つきで苺を切る順子。 佐渡谷にも順子にも多少 妙な感じがしつつ、最後まで見守る白井。 完成したケーキを切る佐渡谷を見て <ケーキをきれいにカットするのは、実は難しい。この人、凄くうまい> 実は彼女、製菓に精通した凄い人なのでは? 見栄えの悪いケーキを前に俯き、体の力が抜けてしゃがみこむ順子。そして、怒る。 「なんで、失敗するのがわかってたのに教えてくれなかったんですか?たったこの数時間に、私がいくらお支払いしたかわかってますよね?!」 過呼吸になる。 「私は、あなたたちのクライアントでしょう?クライアントの要望に応えるのが、あなたたちの仕事ですよね?!仕事を舐めすぎじゃないですか!」 もしかして彼女は、仕事の相手(クライアント)から同じようなことを言われているのか?実は、仕事がうまくいっていないのかも。 「ちょっと言いすぎじゃないですか」 順子の暴言に、思わず反応する白井。 順子は無言で、足早に去る。 お菓子教室~心中モヤモヤの白井~最後の2分は状況激変という展開。(・o・)! 高給取りのキャリアウーマンが、いくらか料金が高くても1対1でお菓子づくりを教えてほしい とやって来たのかと思いきや、波乱が発生。 佐渡谷の意図とは?うまく作ることを、あまり重視していなかった気がするが。 順子を演じる土居 志央梨という女優が、スッとしていてきれいだな。顔立ちといい長身といい、宝塚の男役のような雰囲気。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025年01月25日 11時49分00秒
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