ドッグシグナル (17) 泉 律佳の妹 感想
律佳が東山に、トリマーとして駆け出しの頃の話をする。* * *丹羽と律佳、仲いいな。笑丹羽と師匠・藤原との関係も良好だった。【女3代で受け継いできた大事な店を、どうしても潰したくなくて】祖母と母が引っ越し、自分は残って店を続ける決意をする。『律佳をよろしくね!女の子だから!』男に鍵 送ってどうする!(-_-)律佳の母が、娘の幼なじみ・丹羽に合鍵を預ける。笑 信頼が厚いとはいえ…。「でも、一人で店を切り盛りするのは、想像以上に大変だった」「今までは母と二人でこなしてた 一日5頭から10頭の予約を、一人でこなさないといけない」トリミングの他にも仕事がいっぱい。息つく暇もない。「カットが終われば写真を撮り、カルテをつけ、飼い主さんへの報告書作成。要望があれば送迎も」へぇー、きめ細かい対応をしている。【リサラがいるから頑張れる】愛犬を心の支えに、奮闘する日々。しかし、困った客もおり、ストレスが溜まっていく。【このままでは、仕事が嫌いになってしまう】眞一郎は楽しく仕事しているのに、自分は違う。それが「情けなかった」リサラのトリミングすら【やる気が出ない】【休みの日まで、トリミングしたくない】休日は仕事を忘れたいものだ。なんらおかしなことではないが、愛犬のトリミングはしてやらないと・・・。* * *友人に誘われて、学生時代に好きだったバンドのライヴに行く。「あの頃 好きだったバンドを見れば、戻れそうな気がした。トリミングが楽しくてしかたなかった、あの頃の私に」このままではまずい。かつての自分を取り戻したい。夜、老犬のリサラを置いて外出するのが心配だったが、幸い何事もなく済んだ。友人から【休みの日ぐらい犬から離れて、気晴らししなよ】と言われ、心が多少 軽くなる。* * *丹羽が藤原からもらったケーキを持って、律佳の家に行く。留守なので合鍵で入る。(役立った 笑)リサラの毛がボサボサなのが、目に留まる。ライヴから戻った律佳に【リサラ、ボサボサすぎねぇか?どこに行こうと勝手だが、ブラッシングぐらいしてやれよ】【忙しいのよ。しょうがないじゃん】【酒 飲み行く時間あるんだろ。せめて目にかかる毛だけでも】【ウルソンみたいに簡単じゃないの。時間かかんの!大変なの!トリマーでもないくせに、口 挟まないでよ!もう帰って!】つい感情が爆発。丹羽を怒鳴って追い出してしまう。リサラに手入れが必要なのはわかっている。でも、忙しすぎて向き合えない。休日は外出して、仕事を忘れないとやってられない。* * *リサラは病気にかかっていた。丹羽に報告し、泣きながら【14歳だもん。頭ではわかってたよ。一緒にいれる時間はそんなに長くないって。わかってたのにトリミングもしてあげずに、リサラ放って遊びに行ってたのよ、私は!病気が進行したら、もっと毛がなくなっちゃうのに。ライブなんて行かずに、トリミングしてあげればよかった。もう、ショーカットにしてあげられない】わかっていてもリサラを優先しなかったのは、仕事を忘れる時間がほしかった(必要だった)から。まだ若いから、遊びたいしね。リサラを美しくトリミングしてやる…それが愛情であり、トリマーとしての誇りでもあった。【まだ治療も始まってねえのに、なに弱音 吐いてんだよ!お前にできることはなんだ?!しっかりしてくれよ。姉ちゃんだろ!】丹羽が律佳を叱る。【そうだ。大事な妹がこれから病気と闘うのに、私が折れてる場合じゃない。眞一郎だって、ずっと一緒にいたんだ。かわいがってくれてたんだ】嘆くばかりではダメだと気づかされる。そして、丹羽もショックなのだと察した。恋人同士みたいに顔が近い!丹羽がリサラに、ロンパースを買ってきた。ああ見えて、優しいところがある。* * *「おかしな話だけど、リサラの病気が発覚して、通院や闘病のお世話で前よりずっと忙しくなったのに、私は仕事にストレスを感じなくなったんだ」悟りと寛大。以前より詳しく犬の健康状態を聞き取り、かわいくて体調に合ったスタイルを提案するようになった。「私がやりたかったのは、犬の体に寄り添ったこんなトリミングスタイルだったんだって、リサラが気づかせてくれたの」リサラのおかげで、トリマーとしての方針が固まった。「`いつか´があると思うからこそ`今´が、`生いのち´が前よりずっと大切に思えた」身に染みてわかった、愛犬の命の尊さ。口コミで客数は増えたが、リサラとの時間を確保するようにした。どんどんと衰え、ほとんど寝て過ごすようになったリサラ。【それでもいい。生きていてくれればいい。ありがとう、生まれてきてくれて。ずっと一緒にいてくれて。あなたたちの存在が唯一無二で 限りあることを身をもって教えてくれて、ありがとう】ジーンときて、目頭が熱くなったわ。犬の飼育経験ないけれど。若くて元気いっぱい・大会で賞をとっていた全盛期と、年老いて弱っていく今・・・その対比が切ない。【やれることは全部やった】後悔はない。それは幸いなこと。【でも、私もう犬 飼えないな。リサラ以外の妹なんて、考えられないもん】唯一無二の存在だった。すると、ウルソンが近寄ってくる。【クゥーン】かわいい。【でもまだ、弟がいるぞ】【お前が必要だから。ウルソンも、俺も】【だから、泣きたい時は泣け】律佳の肩を抱く丹羽…かっこいい。* * *「思い出すと泣いちゃう。もう3年も経つのにな」えっ?!10年くらい前の話かと思いきや、たいして前のことではなかった!(・o・)丹羽と律佳、まだ20代ってこと?!もっと上だと思っていたが。東山は、律佳の`新しい妹´が見たい!と言うが「でも、今は考えられないな」「ウルソンがもう、シニアなの。これから先、どんどん大変になる。私は、それを全力で支えたいんだ」新しい犬を迎えるより、老いていくウルソンの世話ができるようにしておく・・・賢明だね。(眞一郎が、何ひとつ後悔しないように)いずれ彼にも「やれるだけやった」と思ってほしい。「ウルソンは、私とリサラの弟だから」ドア越しに聞いていた丹羽が、涙を流す。* * *リサラもウルソンもかわいい!丹羽と律佳の、犬を介した友情も良い。幼なじみ故に、恋人にはならない(なれない)間柄か。今更、照れくさいってのも大きい。犬を飼うって、本当に大変だわ。7,8年経てば高齢犬となり、世話に手間暇かかるようになる。お金もかかる。最後まで責任をもてるか・・・そう思うと、小鳥一羽も飼えません。(グッと堪えている)今回はジーンときた。あっ、佐村が一度も出てこなかったのは初めてだ。