百妖譜(日本語吹替版) 第8話 慶忌(下)感想
慶忌(けいき)「その少年は、王家村に住む王 大仙の息子です」桃妖と磨牙が村に行ってみる。老女「王 大仙・・・お嬢さんは知り合いなのかい?」「友人が彼の親戚で、近くを通る時に寄ってほしいと」噓も方便。少年は「とうに亡くなった」 少女は「引っ越し先で偉い役人に嫁ぎ、たくさん子を産んだ」「なら、会えないってことか」「王 大仙の家って今もありますか?」「家は残ってるけど…お嬢さん、何か探してるの?」「何も見つからなくても、友人に伝えられることはあるかと」桃妖、優しいなぁ。何十年も少年を待った(とんでもなく)一途な慶忌を思うと、手ぶらで帰るのは気が引けるってことか。機転を利かせて良い。「あの家には、何にもないよ」しかし「奥さんが出ていく時、息子さんの書物をくれた」誰も字が読めないから、置きっぱなしだという。それらに目を通した桃妖は、一冊の日記を持ち帰り、慶忌に渡す。「治療はしなくていいの?」「心の病は、心の薬で治す。あれを読めば、慶忌は救われる。処方箋としては十分よ」「ドジョウの化け物にすら勝てないのに、一つの約束を守るために一生を懸け、全てを捧げる」悪者を倒すことはできないが、とてつもないあやかし。「もしも慶忌が、もっと前から全部知ってたとしても、約束を守ったかな?」「守る。多分、バカな妖怪たちにとって、約束を守ることが、自分の存在する意味ね」この`バカ´には、哀愁と愛おしさと切なさが含まれているような…。~ ~ ~過去シーン少年の父は呪術師。慶忌について「巡り会うことがあったら、必ず手元に置けよ。うちの金儲けの宝となるからな」金儲け・・・少年〈こうも言っている。慶忌をうまく使うと、楽に暮らしていける と〉なにか、違和感あるな・・・。村人から、急ぎの手紙を受け取った父。それを慶忌に託する。「ついに私の腕の見せ所だ。我ら慶忌は、一日に千里も進むことができる。お前の父と手紙を届ける約束をしたが、やっとその機会がきたのだ」喜び勇んで出発した慶忌だったが・・・その晩、意識もうろうとなって戻ってくるなり、死んでしまう!その様子を黙って、冷めた目で見つめていた父。その表情と、微動だにしない姿が怖い・・・。役目を終えた8番目の慶忌が、先代慶忌たちの墓地に埋められる。「こういう妖怪が、たくさんいればいいのだがな」えっ・・・どんどん使い捨てして稼ぎたい と。「慶忌は、こうしたら自分が死ぬって知ってたの?」「間抜けな妖怪だからな。当然知らない」自分が与えた仕事で命を落としたばかりの慶忌を、平然と`間抜け´と言う・・・。「生き物はいずれ死ぬ。悲しまなくていい」世の習いといっても、そんな冷めた心でいいとは思えないのだが。「戻ろう。体が弱いんだ。風邪をひく」息子を思いやる優しさがある一方で、この非情・・・それが人間 ということか。父は、慶忌を犠牲にして高い配達料を得る・・・それを割り切ってやっていた。慶忌は父を友人と慕い、約束を果たした。それなのに父に情はなく・・・慶忌が哀れだ。「千里を行く」と言うので走るのかと思いきや、馬車に乗って出かけたので「あれ?」しかし、亡くなると同時に馬車も消えたので、秘めた精力(術)によって馬車を高速で走らせるってことか。ところで、少年はこれまで、たくさんの慶忌が次々と亡くなる理由を知らなかったの?!~ ~ ~〈呪術を使う医者は報いを受ける。これが、運命だと思った〉父が若くして亡くなる。(慶忌たちの恨みのせいではないのかと思ったが・・・恨むようなキャラクターではない気もする)三年後、少年は鏡花沢(きょうかたく)で慶忌に出会い、親友になる。恋人もできて楽しく過ごす日々。しかし、彼女が引っ越すことに。〈僕が引き留めれば、ここに残ったはず。でも、彼女にとっては、離れる方がよかったんだ〉父を恨む者が、少年の命を14歳まで と呪いをかけていた。そんな身だから「行くな」とは、どうしても言えなかった。病が重くなる少年。恋人に会いたい。〈慶忌がまだいれば、小玉(しょうぎょく)を呼び戻せるかな。鏡花沢で今も、僕を待ってるんだろうか〉同時に、慶忌たちの墓が脳裏に浮かぶ。「一日千里の力を使ったら、慶忌は死んでしまう」父の言葉も。〈慶忌も同じ、一つの命だ〉〈なあ慶忌、君は間抜けな妖怪だから、約束なんてもう、忘れてるよな。僕のことも、すぐに忘れるだろう〉涙を流しながら亡くなる少年。父に思った「これが運命だ」が、自分にも当てはまると思っただろう。父は慶忌に無慈悲だったのに、息子は全く違い、優しかった。その魂が天に昇ると同時に、父に仕えた慶忌たちの墓からも光が現れ、ゆっくり上昇していく。やっと成仏したってことかなぁ。少女の幸せ。そして、慶忌を死なせない。少年が内に秘めていたことだった。~ ~ ~日記を読んで真実を知った慶忌は、嗚咽する。そして、少年と会った最後の日を思い出す。既に体調を悪くしていた彼は「大工に弟子入りすることになったんだ。これからは、あまり会いに来れなくなる」事実上、別れの言葉。「フ~ン、そうか…。でも、手紙を出したくなったら僕に任せて!真っ先に届けるから」何も知らない慶忌は、笑顔でそう返す。「ありがとう」親友の厚意に、感極まる少年。~ ~ ~「私に許可なく、手紙の約束をしないで」慶忌が二度と無茶なことをしないように。いいね!「この世は、鏡花沢より遥かに広い。出かけてみたら?」「いろんな場所に行ってみたらどうだい?」少年に出会った頃に言われた言葉を思い出す。〈だったら、行ってみようかな〉〈君は、僕の命を守り、僕は約束を守った。悔いはない〉馬車に乗り、旅立つ慶忌。~ ~ ~堪らない。切なすぎる。何度見ても涙ぐんでしまうわ。慶忌が…純粋でかわいい。どうしようもなく愛おしい。「慶忌は今もずっと、あなたのことを待っているよ!忘れてなんかいない!」心の中で思わず、少年にこう訴えた。アニメーションなのに と思いつつ。少年と慶忌の意思疎通・・・どうしようもなかったのか・・・悲しい。音楽でさらに、胸がジーンとくる。少年が、思っていたより子どもだった!17,8に見えた。桃妖が優しかった。いつものがらっぱちな態度とは大違い。手紙を届けることにこだわる妖怪(妖精)というのが、斬新でよかった。慶忌に幸あれ。どこかで仲間を得て、穏やかに暮らしてほしい。もう十分やった。今度は自分のために、新たな道を歩んでほしい。アニメーションなのに、本気でそう思った。慶忌に会いたい・・・。長文を読んでくださり、どうもありがとうございました。