薬屋のひとりごと 第33話 先帝 感想
皇太后から依頼を受けた猫猫。侍女 安氏さまのおっしゃる呪い・・・つまり、先帝のご遺体が、生前と変わらぬままだった、その理由を。どういうことなのか、答えを見つけるのは至難の業のはず。しかし、猫猫は謎解きをあっさり引き受ける。ただし、立ち入り禁止となっている先帝の部屋に入りたい と申し出る。水連の部屋に寝泊まりする猫猫。<紅娘様に会ったら、どんな反応をされたやら。むしろ今までが甘かった方だけど。どこの宮付きかハッキリせず、よその宮にも顔を出す女官なんて、侍女頭からすれば好ましいはずがない>玉葉妃の侍女だと思っていたが、違うの?言われてみれば確かに`よその宮にも顔を出す´のは、おかしいね。でも、猫猫は普通の侍女ではないというか、特殊な女官でしょう。壬氏との関りがあるわけだし。<私自身、自分の立場がよくわからない時がある>普通の侍女・女官とは違うからね。<ロウソクで読書なんて、贅沢だなぁ>電気がない時代だものなぁ。ロウソクが贅沢品か。行李の中に、壬氏が気に入っていたオモチャが。特定のものでばかり遊ぶから、それを隠したことがある と水連が言う。「どうして取り上げたのですか?」「一つのものに執着すると、そればかり見てしまう。それが許される立場に生まれた人ではないからよ。イヤでも背伸びして、大きくなってもらわなくてはいけなかった。それが壬氏さまの母君の願いだったから」上に立つ人物は、多様なことに対応せねばならないからってことか。<母君の…抑圧された環境で育つと、心に影響を受けると聞く。だんだん見せるようになった子どもっぽい部分…あれも、壬氏さまの本質の一つなのだろう>特別な教育方針で育ったから。四つ折りされた紙も入っており、猫猫がそれを開くと絵が。しかし、即座に水連が奪い取り「あら、こんなところに。捨てろと言われていたのに」(^^)怪しい。さらに、金色に輝く石。「一体どこで拾ってきたのかしらねぇ」拾った石なんて不潔だから、とすぐに取り上げた という水連。(ならば捨てるはずだが)「正解です。毒ですから」「どういうこと?!」「それはこちらが聞きたいです。なぜこんなものが落ちていたのか」<ひとつの仮説がある。けれど証拠がない>「明日になれば皇太后さまの言う呪い・先帝のご遺体が腐らなかった理由もハッキリします」自信がある。皇太后・侍女・壬氏・高順が見つめる中、先帝の部屋に入る猫猫。<鼻につく臭い。カビの臭いだけではなさそうだ><穂先が平たく揃えられた筆。やはりこれは>「先帝は、絵を描く趣味があったのでしょうか?」皇太后が、一度だけ描いてもらったことがある と答える。その際、知られると取り上げられてしまうので、ここだけの秘密にするように と言われたという。隣で話を聴いている壬氏が、密かに動揺しているのに気づく猫猫。筆は<思ったより硬い。それに独特な臭いもする>壁に触れてみると<柔らかい。分厚い紙を何重にも張っているのか><頑丈にするためか、表面に塗料も塗られている><呪いに大方見当はついていたけど、もう一つ、どうでもいいことがわかりそうだ>部屋に籠った先帝の世話係だった高齢男性が呼ばれて来た。彼は喋れない。<そういうことか。口が利けない人を選んで使用人にすることは、ままある。常に人の目に晒されるやんごとなき方なら、なおさらだ>見聞きしたことを口外できない人物を、あえて選ぶってことか。「首を振るだけで構いません。この部屋に、絵などはありませんでしたか?」「・・・」<小娘の話など、聞く耳はないということか>小刻みに動く男の手。<いや、違う、何かを隠している>彼の視線が動いた。<壁に何かあるのですか><この壁紙、剥いでもいいでしょうか?>男の表情が歪む。<やめろとでも言わんばかりだな>壁紙の下から出てきたのは、美しい絵。「先帝が描かれたものでしょう」<先帝の人間性に、興味はない。ただ、国の頂に立ったために、本当の才能を活かすことなく亡くなったのだろう。それだけの力が、この絵にはある>残念なことに、それが運命だった。「この女性が着ている衣の色、これは、雄黄(ゆうおう)という石を砕いて作った絵の具だと思います」「雄黄は、ヒ毒と同じ毒性をもっています。そしてヒ毒には、ものを腐りにくくする作用があります」「雄黄を元にした顔料を使っていたのです。雄黄に含まれるヒ毒は、少しずつ先帝の体に取り込まれていったのでしょう。亡くなられる頃には、全身に回っていたはずです」謎解きできた。<隠れるようにして絵を描き続けた…この部屋で><帝ともあろうお方が、絵を描くなんてとんでもないと、少なくとも周りはそう捉える。だから、バカ殿と呼ばれた先帝でも、公にはしなかった>身分の高い人が絵を描いてはいけない・・・?!教養という認識がなかったということか。<口のきけない奴隷の従者に部屋の管理を任せていたのも、そのためだろう>絵を描くことが、そんなに`あるまじきこと´だったのか。<これほど多くの絵となると、道具を用意したのはおそらく、先帝の母である女帝><この絵の女性はわかっていたのだ。自分の子が、帝にふさわしい器ではないことを。だから、偶然帝の地位を手に入れた吾子(あこ)を守ろうと、自分の下に権力を集めた。たとえ、女帝と呼ばれるようになったとしても>国家のリーダーには不向きな、弱い息子を守りたい、母親の愛情。女帝は、息子のために創作部屋と絵の具を与えた。<毒だとは知らずに。なんという皮肉だろう>「十分な働きでした」部屋に入り、壁の前に立つ皇后。<ああ、腹が立つ>えっ?!声色が違う。<擦れていても、あの方の存在感が大きいのね。私は、この絵の中にいるのかしら>真ん中に大きく描かれた女性が、女帝ということ?<いいえ。しょせん私など、通り過ぎるだけの存在>先帝から大切にされていなかったのか。< ~ 私を、父は都合のいい道具として利用したのだ>まだまだ子どもだというのに。かわいそう。<帝の性癖のことは、あらかじめ知っていた>箱入り娘の姉は<父の思惑など、知る由もなかった>年の離れた妹の方が、状況をわかっている。先帝、壬氏そっくり!先帝は、大人の女性が苦手・嫌い。<帝の目は、確かにこちらを捉えた。野心に満ちた、少女の目を>ん?自分から先帝に近づいたってことか!女児と共に追放された医官・・・濡れ衣を着せられた。酷い話だ。その人物、恨みからなにかやらかすのか?『この腹の手術をした者も、不憫なことこの上ない』後宮の医官だった、猫猫の養父。<女児を生んだという娘は、一人後宮に残された。彼女が後宮を出ることは、一生ないだろう>その女性も、何か事を起こすのではないか?時が立ち、少女ではなくなった安氏に、先帝は無関心に。<女帝のかいらいとしてのみ存在し、幼い娘にしかまともに話しかけられない 情けない男。そんな者に忘れられるのは、許せなかった!>鬼の形相、怖い。<男に手を掛けられた幼い娘たち・偉大な母である女帝よりも、深く思い出に繋ぎとめるために>えっ!?とんでもないことを。<そののち先帝は、心を壊してあの棟に籠った>精神崩壊ね。<結局、あの男はこの部屋で、女帝である母と、野心のない娘たちばかりを思い描いていたのだろう><一度だけ、私を描いてくれた><その絵を、とても大事にしていたけど 水連に捨てるように言った。私には必要ない。私が先帝にとって必要ないように>行李に入っていた絵・・・水連が猫猫に見せないようにした絵。「これが雄黄なのだそうです。今朝、水連がようやく返してくれました」猫猫から毒だと言われたのに、壬氏に渡したのか!<不義のこと言われようと、取り違えらえれた子であろうと、大切な子に違いないのに…>どういうこと?壬氏の出生について、事実や背景がわからない。「昔、あなたは好んでこの色を着ていらっしゃいましたね」「あの絵の女性は、本当に女帝なのでしょうか」うーん、安氏がよく着ていた衣服の色と同じか・・・。「あの時あの方は、何を伝えようとしたのでしょう」`あの時´? ちらっと挟まれた映像に出ているのは、女帝と先帝?わからないことだらけ。「知らないわ」<知ろうとしないことを選んだ>名言だわ。「それよりもあなた、随分おもしろい女官に目をかけているようですね」「なっ!・・・なかなか使えるものです」動揺する(笑)「そうね。でも」<それが全てではないことくらいわかる><何年も見てきたのだから>母の愛を感じる。「お気に入りは隠しておかないと、誰かに隠されてしまうわよ」チャーミングな皇后。母はお見通し、か。* * *皇后は「愛憎半ばする」ではなかったのか?嫉妬~腹が立つ。安氏に襲われて精神を病んだ先帝が、彼女を描くわけないと思うが、`彼女の色´である黄色が、印象的な絵・・・謎だな。