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カテゴリ:連載 -トンネルの向こうにー
リカ子は一つ大きなため息をついた
どうしよう 望んでいたとは言え 本当にこうなるとは・・・ リカ子は今 地元の産婦人科病院の外でボー然と立っていた 確かにその産婦人科の超音波検査画面で 自分の子宮の中に 小さいな命が見えた 「おめでとうございます 8週ぐらいですよ」 白髪交じりの中年過ぎの男医師に淡々と言われた あんまりおめでたさが伝わってこない それとも今のリカ子には素直に受け止められる心境ではないのか いや うれしくないはずがない あんなにあの人との子供がほしかったのに そうだ 「もう一人ではない」とリカ子はもう一度深呼吸をして 自分に言い聞かせた そしてゆっくり歩き出した 春の暖かい風がリカ子の頬をやさしくさすってくれていた 少しずつ弾むように歩くようになり 不思議に二人の身体なのに リカ子は自分の身体が軽くなったような気がして 踊りたい気持ちになった そうだ 本屋さんに寄って帰ろうっと つづき お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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