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Manachan's World-東京下町日記

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初心忘るべからず(2005/3/8)

今日の午後、ようやく就業証が発給されました。これで私も、晴れて中華人民共和国の外国人労働者として、この国で合法的に働けることになったのです。

というわけで、明日(3月9日)が、実質的な仕事始めになります。私の職責は、米国から中国へアウトソースされたWebアプリケーションの、日本・韓国向けサポートチームのリーダー。チームメンバーは全部で3名、私のほか、中国人スタッフが2名。うち一人は韓国語ができて、IBMでJava、JSPの開発に2年ほど携わってきたC君、もう一人は大連理工大学を卒業したばかり、日本語がある程度できるY君です。

中国・大連という未知の職場環境、そこで中国人スタッフ2名を率いてチーム運営をするというミッションが、私の前途に立ちはだかります。果たして、明日からどんなチャレンジが待っているのか?普段は楽天的な私ですが、このシチュエーション、さすがに緊張せざるを得ません。

ところで、「初心忘るべからず」という言葉があります。人生、何事を為すにも、最初の心構え(初心)が肝心です。とはいえ、初心というものは儚くて、時が経ち局面が変わるにつれ、忘却の彼方に去ってしまうものです。そこで今回は、大連の仕事始めの「初心」をいつまでも忘れないように、永久保存版(?)としてBLOG大連日記に記しておきます。

その1:チームメンバーは、お互いに対等で、プロフェッショナルとしてお互いを尊敬し合う

私は、上司ー部下という関係が嫌いです。また、IBMのような職場でプロフェッショナルとして働くのに、上下関係とか命令-服従という発想は、そもそもなじみません。むしろ、チームメンバー各自が自主性や創造性を発揮して、課題の発見や解決にあたったり、自らタスクや時間を管理して、自分の職務に対して常に説明責任を負うのがプロフェッショナルのあり方で、その際、チームは各メンバーのプロフェッショナルな仕事をサポートする仕組みにすぎないと、私は考えます。

だから、私のチームでは、基本的に上下関係をつくりません。お互いが対等なプロフェッショナルとして、個人として、尊敬し合う雰囲気をつくっていきます。

その2:チームメンバーは、互いに協業し、そして分業する

では、私のチームは、今後どんな仕事をしていくのか?そのなかで、どのように仕事を分担していくのか?

サポートという仕事は、タスクレベルでみれば非常に多岐にわたっています。日々ユーザーの質問に答えるほか、障害発生時には緊急対応(Quick fix)を行い、同時に根本的な解決策(Permanent fix)を考え、その結果プログラムを修正したり、設計者にフィードバックすることもあります。また、サポート用の環境を立ち上げたり、バックアップを取ったり、アプリケーションやOS、パッチプログラムのアップグレードを行ったり、パフォーマンスを向上させるために必要な変更を行ったり・・・それにもちろん、これらの仕事をユーザーやマネジャー、開発者・設計者に対してきちんと説明することも大事な仕事です。

上記のような日常タスクは、チームの誰もがやらなければなりません(協業)。3人しかいないチームで、しかも日本と韓国のユーザーをサポートしなくてはならないのですから、お互いにうまくバックアップし合わないと、下手したら旧正月や国慶節に休むこともできなくなります。

とはいえ、日常タスクは、チームリーダーよりもメンバーの皆さんに、より多く割り振られなくてはなりません。なぜならチームリーダーは、上記タスクの他に、いろいろな雑務をやらなくてはならないからです(分業)。例えば、米国のマネジャーやユーザーとのプロジェクト会議、ファイナンスの管理、コンプライアンスなど・・・したがって、理想的にはリーダーなしでも日常タスクがなんとか回っていけるようにしていきたいと思っています。

その3:チームミーティング等は最小限にする

時間は、誰にとっても貴重です。少ないスタッフが限られた時間で、いかに多くの成果をあげていくのか、が問われてくるでしょうから、私のチームでは、各自が日常タスクに使う時間を最大限とるために、定期的なチームミーティングはなるべく行わず、必要に応じて適宜召集することにしたいと思います。

なぜなら、我々はたった3人のチームだからです。3人が、日々うまくコミュニケーションをとって、私が各自の進捗状況や課題を十分把握できるならば、3人全員の時間をとるチームミーティングを行う必要はほとんどなくなります(但し、これは3人がすぐ近くの席で仕事する、という条件つきです)。

その4:常にオープンに、互いが心を開き、信頼し合う

良いチームは、互いを信頼し合うことから始まります。私も、メンバーの皆の言うことを全面的に信じます(trust)。ここで「信じる」というのは、各自の言うことが100%正確かどうかはともかく、少なくとも「現時点で知りえた情報の範囲で、自分の頭で考えうる最高の判断をした」ことを信じる、という意味です。言い換えれば、メンバーの皆さんが私に業務報告する時は、どのような情報に基づいて、どのように考え、判断したのかを、的確に説明して欲しいというのが、私からのリクエストです。

あと、私としては、チームの皆さんからのアドバイスや苦言に、常にオープンでありたいと思っています。とはいえ、クソ忙しい時になればなるほど、「言うは易し、行うは難し」になるわけですけれど・・・そんな時は、どんどん文句言ってください。皆さんのフィードバックが、私を成長させてくれるのです。

その5:お客さんを満足させつつ、同時に過大な期待を持たせない

サポートの仕事は、お客さん(ユーザー)と日常関わり合う業務です。このお客さんというのが曲者で、時には暴君のように、平日・週末の別なく我々をコキ使い、無理難題をふっかけてきます。とはいえ、我々はこの「暴君」を満足させなければなりません。

私の経験から言うと、お客さんに過大な期待を抱かせるのが一番よくない。一旦期待が膨らむと、我々がその期待に応えられなくなった時、フラストレーションがたまり、「暴君」と化します。だから、常に気をつけなければなりません。例えばお客さんに対して、「何月何日までにやります!」と約束する場合、それが本当にできることなのか、自分のスケジュールやワークロード、要件や作業手順をよく吟味する必要があるのです。もちろん、サービス内容の定義やスコープを決めるのは、チームリーダーやもっと上の人の仕事であるわけですけれども。

その6:仕事を通して、なりたい自分になる

最後になりますが、チームの皆さんは、数年後、どんな職業人になりたいですか?どんなスキルセットを持って、どこで、どんな仕事をしたいですか?その目標を実現するために、今の仕事がどれだけ役立ちますか?「なりたい自分」に一歩近づくために、今の仕事でどんな経験が積めればいいと思いますか?

お客さん相手の仕事をしながら、自分の思うようにスキルを積むことは至難の業です。が、それを十分理解した上で、私は皆さんの「なりたい自分」、「身につけたいスキル」(Career Aspiration)に配慮しつつ、仕事を割り振っていきたいと思います。

もし、Career Aspirationを考えた時、このチームの仕事がベストではないと思ったなら、いつでも私に言ってください。このチームは特殊技能(日本語、韓国語)を使う分、代わりの人材を見つけるのはかなり難しいのですが、それでも、皆さんの夢や目標を叶えるべく、できる限り協力しようと思います。



言いたいことは全て書きました。あとは、これをどうやって英語や北京語で表現するかだな。ふう・・・


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