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Manachan's World-東京下町日記

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2006年09月11日
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カテゴリ:エッセイ集
私の本籍は、東京都足立区にあります。

というのは、私が妻と結婚した場所が、たまたま足立区だったからです。時に1996年11月6日、当時、私たちは足立区の足立2丁目という所に住んでいました。あの結婚届から、もう10年も経ったんやねえ・・・。

その結婚の4年後、私は妻の住む国・オーストラリアへの移住を決行しました。その際、日本の住民票は抜いてきたので、日本の役所が管理するデータによれば、私の住所は今でも「オーストラリア」となっています。

移住の6年後、私たちは縁あって、日本に戻ってきました。今では子供もでき、通院・入院、健康診断、予防接種などのために、日本の国民健康保険に入る必要が出てきました。健康保険に入るためには、住民票を復活させなければなりません。そこで、現住所のある東京都江東区の役所に聞いたところ、まず本籍のある足立区の役所に行って、「戸籍謄本の附表」なる書類を取ってくるように言われました。この「附表」に、過去の住所変更履歴が記載されているからです。

前置きがずいぶん長くなりました。そういうわけで、今日のお昼どき、足立区の役所(千住区民事務所)に行って、附表を取ってきました。明日には、晴れて江東区民になり、一家揃って健康保険にも加入する予定です。

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ところで、足立区といえば、今年4月、ずいぶん有り難くないことで世間の注目を浴びました。その火付け役となったが、ノンフィクション作家S氏による「文藝春秋」4月号の記事『ルポ 下層社会』で、ここでは足立区の一部地域における、経済的貧困の実態が暗澹たるトーンで描かれています。

このルポは、大きな反響を呼びました。足立区は文藝春秋社とS氏に対して、正式に抗議文を出し、足立区民の多くは、世間に「足立区=下層社会」というイメージが定着してしまうことに対する危惧を覚えました。

もと足立区民として言わせてもらえば・・・この区は、良くも悪くも、庶民の町です。確かにお金持ちはあんまり多くないし、また一財産なした者が住地として選ぶ場所でもありませんが、庶民の町だけに、良いことも結構あるんですよ。たとえば、物価が安い。私がこれまで住んだ、首都圏の6つの町のなかで、足立はダントツに安い。特に野菜果物、お惣菜の類が激安でした。

庶民の町らしく、銭湯もたくさんありました。徒歩圏内に、銭湯が5つも6つもあって、毎日、日替わりで入浴に行ったものです。競争が激しいから、各銭湯もいろいろ趣向をこらして、露天岩風呂とか、日本庭園風呂とか、モーツァルトを聴きながら入浴とか・・・。たった350円で、ずいぶん楽しめたものです。

足立といえば、下町。下町の必須三点セットといえば、サウナ、焼肉、パンチパーマ。というわけで、どの銭湯にもサウナがついていて、追加料金300円ほどで楽しめます。サウナに入ると、時に、私以外全員が刺青だったりして、一見ビビってしまいますが、その刺青の男たちが話す内容というと、「梅島商店街で一番安い八百屋はどこか?」みたいな、微笑ましいものでした。要は皆さん、普通の庶民なんですね。

リッチじゃないけど、堅実な庶民の町・・・これがおそらく、足立区民の大多数が抱く、地域イメージでしょう。ま、このご時世ですから、貧困家庭もあるでしょう。生活保護世帯の割合も、東京の他の区よりは、少しだけ多いのかもしれない。でも、上記のルポに書かれたような、「3食まともに食べられない」、「隣りの学区にバス通学するお金がない」、「生活のために、援助交際テレクラに走る人妻」みたいな情景は、おそらく、多くの区民の生活実感からほど遠いものでしょう。

「足立区の一部で起こっていることを、あたかも、区全体がそうであるかのように書いている」
「貧困問題は、足立だけではなくどの区にもあるのに、足立の事例だけを恣意的に取り上げている」
「格差社会の弊害として、普遍化して書くべきなのに、足立という一部地域の問題として書いているため
「足立=下層社会という烙印を押すことによって、格差社会を是正するどころか、固定しかねない」


これらは、足立区民から寄せられた批判の数々です。いずれも、健全な批判だと思います。

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ですが、地元からの健全な批判にもかかわらず、東京の現実は、残念ながら、「足立=下層社会」という言葉が独り歩きしてしまう可能性の方がずっと高いようです。

それは、いまの東京が、高度な情報社会であり、その中でマスメディアが巨大な影響力を持っているからです。

東京の、港区に住む人は、足立区に住む人よりも、お金持ちである確率が高く、高級外車を保有している割合が高く、教育程度も平均して高い・・・といった、物理的な貧富格差も確かにあるでしょう。でもそれ以上に、港区に本拠を持つ、商業化したマスメディアが、あの手この手で港区や都心部の高級イメージを喧伝し、その結果、足立区など城東・城北地域の貧困イメージを定着させてしまう「情報権力格差」の方がずっと大きい。この傾向は、大口スポンサーになってくれる企業が港区に多く、足立区に少ない以上、改まることはないでしょう。

東京の場合、「情報権力」は山手線の内側、かつ中央線の南側に集中しています。港区の山の手地域は、その中心にあります。ここで、「特権イメージ」が常に再生産され、その他の地域(特に城東・城北)を「情報植民地」として、イメージ面での格差を、常に拡大再生産しているのが、東京の現状なのです。

だからこそ、「文藝春秋」というマスメディアで、「足立=下層社会」なるメッセージが発信されたが最後、足立の被るダメージは、恐るべきものがあります。いくら批判しようにも、足立が情報権力の中心にない以上、挽回するのは非常に困難で、途方もない時間がかかります。そうこうしているうちに、「下層社会イメージの定着→担税力のある住民が足立に住まなくなる→区の財政が貧困化する→貧困世帯がますます増える」という、悪循環にもなりかねません。

私自身も、イメージ的に恵まれない常磐沿線に位置する、千葉県の柏という町で育ったので、首都圏情報権力の過酷さを、骨の髄まで染みています。ここ30年間、常磐沿線のマイナスイメージを打破すべく、柏の商店主や行政、市民が、いかに血のにじむような努力をしてきたかを、よく知っています。

「柏ブランド」、「柏系音楽」、「柏系ファッション」・・・。大資本を使い、電通を使い、いろいろ知恵を絞り、仕掛けてきた甲斐あって、柏の都市イメージは向上し、以前は偏差値40くらいだったのが、今では50前後に進歩したと思われます。それでも、柏が過去30年、営々と築き上げてきた都市イメージなど、東京情報権力の強大さの前には、吹けば飛んでしまうようなものです。まさに綱渡り!ハンディを何重にも背負わされながら、優良な都市イメージを勝ち取っていかなきゃならない。それが、首都圏東側と北側の「被差別地域」の宿命なのです。

こんな時代の東京に生きる処世術。それは、

自らの地域のマイナスイメージを喧伝するのは、命取りになる!!!

特にまずいと思うのは、「革新系」を名乗る人々が、より多くの補助金、政府の関心を得るために、或いは格差社会を告発するために、自分の地域の貧しさ、悲惨さを強調することです(上記のルポも、そんな発想なのかもしれません)。本人は、善意でそうやってるんでしょうが、その戦略は、いまの時代、100%裏目に出てしまうのです。特に、都市イメージに恵まれない、城東・城北地域はなおさらです。

それをやったが最後、たちまち、港区山の手を中心とする東京情報権力の格好の餌食にされ、「やっぱり、あの地域は貧乏なんだな」、「治安が悪そうだ」、「絶対住みたくない!」みたいな評価をされ、その結果、格差社会のどん底に突き落とされてしまうのです。

私は、足立区がそうなって欲しくありません。だからこそ、足立区の皆さんには頑張って欲しい。情報権力に負けるな!地域を愛し、みんなで盛り立て、イメージを向上させ、将来、「足立に住みたい!」という、多くの人々が憧れる地域になって欲しいと思うのです。






最終更新日  2006年09月11日 23時17分34秒
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