Manachan's World-東京下町日記

2009/10/09(金)00:16

地域商品券、失敗の教訓

私の住む江東区では、今年4月から、「プレミアム商品券」なるものを販売してきました。 これは、1万円の現金で、1万1千円分の商品券と交換できるというものです(差額分は、区が負担)。この商品券は、区内各地の個人商店や小規模スーパー等で、現金の代わりに使えます。地域商業振興を狙った施策といえましょう。 ところが、この商品券、無残な失敗に終わったようです。区では今年、6万枚(6億6千万円相当)の商品券を刷り、それを、定額給付金交付直後の4月と5月で売り終える予定だったようですが、予想に反して、売れ行きが全然伸びない。 4月の時点では、「一人あたり、上限3枚(3万3千円相当)」と決めて配布していましたが、余りの売れ行きの悪さに、5月には「一人あたり、上限8枚(8万8千円相当)」まで条件を緩和した上で、商品券を使える店舗を増やしてきましたが、それでも売れない。 結局、区役所の窓口で販売を常時受け付けるほか、区内各地で行われる商業まつりでの配布も行いましたが、結局売り切ることはできず、今年10月16日をもって、商品券の販売は終了することになりました。大失敗といって良いでしょう。 いま考えると、「失敗して当たり前」だったかなと思います。特に私のように、つい2年前に越してきた新住民の視点からいえば、 「商品券の使える店のほとんどは、都心勤めサラリーマン住民のライフスタイルに合わせた営業をしていない・・・」 この一点に尽きると思います。 区内の中小商店は、基本、地付きの旧住民を相手にしているため、夜7時には閉まってしまう店が多い。これでは、都心勤めサラリーマンには、全然使えません。今どき、勤め帰り、7時前に区内で買い物できる人が、どれだけいるでしょう? 夜8時前後に帰ってきても、区内の個人商店には、ほとんどシャッターが下り、営業しているのはコンビニと、大規模スーパー、それにジャスコやヨーカドーなどショッピングセンターくらい。サラリーマン層には実質、それしか区内での買い物の選択肢がないのです。 江東区は、都内でも特に人口が急増している区ですが、どんな人が増えているかというと、サラリーマンとその家族です。元祖・下町の深川地区を擁する分、旧住民も一定数いますが、その人口比はどんどん減り、雨後の筍みたいにニョキニョキ建つ中高層マンションに、新住民であるサラリーマン家庭がどんどん入居し、今では彼らが区民の多数派を形成しています。 増え続けるサラリーマン家庭の、ライフスタイルやニーズを無視した地域商業振興なんて、うまくいくはずがないと、私は思います。 さらにいえば、商品券を販売する時間帯にも問題大ありです。なんと、 「区役所の窓口で、平日の午前8時半~午後5時にか販売しないのです」 その時間帯に、物理的に区内にいられるサラリーマンが、果たしてどれだけいるでしょう? 都心勤めサラリーマンが多く住む、埼玉県や千葉県の郊外都市では、土曜日など週末に行政サービスを行い、サラリーマンでも無理なく手続きできるように、便宜を図るところが多いのですが、江東区の場合、そういうものが一切なく、基本は平日のみ。 要は、区内に住む新住民(サラリーマン層)に背を向けた行政をやっているとしか思えないのです。 大多数の区民にとって、「商品券は買えないし、使えない」・・・これでは、失敗するのが当たり前ですよね。 果たして、江東区は人口急増中にもかかわらず、区内にはシャッター通りがいくつもあります。でも、増えた人口を商機として生かさないような店は、つぶれても仕方ないと思いますよ。 区役所が本気で、区内の商業を振興したいのなら、最低限、 1)商品券を、コンビニなどで、常時買えるようにする。 2)夜9時か、それ以降の時間帯まで営業している店舗で、商品券を使えるようにする 3)やる気のある区内の個人商店に、最低、夜9時頃まで営業するよう、指導・誘導する。 これ位はやるべきでしょう。サラリーマン家庭の支持を得るためにも。

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