Manachan's World-東京下町日記

2009/10/26(月)22:29

銚子復活の条件

今日も、昨日に引き続き、銚子ネタでいきましょう。 私は千葉県出身なので、子供の時から、家族旅行やドライブで、銚子に足しげく通ってきました。その回数、すでに10回近くになるでしょうか。 だから私にとって、犬吠埼の灯台や、銚子名物「ぬれせんべい」、「一山いけす」の伊勢海老天丼、ヤマサ醤油の工場見学などは、幼な馴染みのようなものです。 いま振り返ると、私が子供の頃の銚子は、街に全盛期だったのかもしれません。今はあの頃と比べて、街に活気がなく、寂しさを感じます。 銚子の衰退は、1970年代から始まっていましたが、今世紀に入ってから、その勢いを増してきているようです。 2005年には、銚子で唯一の百貨店だった「十字屋」が閉店しました。 2008年には、銚子市立総合病院が、経営難のため休院しました。 近年、銚子市では人口減少が急速に進んでおり、減少率は千葉県でもワースト3に入るほど。1995年には82,180人あった人口が、2000年には78,697人、2005年には75,020人、2009年には7万人割れ寸前まで減ってしまいました。 人口ピラミッドを見ても、20~30年代の若い世代が極端に少なく、50代後半が極端に膨らんでいるという、農山漁村並みの状態です。地元に残りたくても、雇用先がないので、他地域に流出してしまうようです。 銚子市の人口推移と年齢別ピラミッド では、銚子の人口がどの地域に流出しているのかというと、都内や千葉市、成田市もあるのでしょうが、利根川をはさんだ対岸に位置する、茨城県神栖(かみす)市への流出も大きいようです。 神栖市と銚子市との対比は、とても象徴的です。神栖市は、鹿島臨海工業地域の中心にあります。工場の煙突からいつも煙モクモク、鉄道駅は一つもなく、一見、生活する土地としての魅力に乏しいように見えます。観光地としての知名度は、銚子に及ぶべくもありません。 ところが、その神栖市で、人口が急増しているのです。総人口でも、1995年には銚子とほぼ同数(8万3千人)だったのに、2009年では、神栖市9万4千人、銚子市7万人と、完全に水をあけてしまいました。しかも年齢別人口ピラミッドをみると、働き盛りの30代人口が最も多く、大都市圏並みの、若い活力に溢れる市となっています。 神栖市は、たとえ煙モクモクでも、働く場所がたくさんあります。かつ、企業・工場からの税収のため、地方財政が大変裕福で、福祉も充実しています。だからこそ、若い世代が流入しているのです。人口増加に伴い、商業施設も充実してきて、この面では今や、銚子とは比較にならない程の繁栄を見せています。 神栖市の人口推移と年齢別ピラミッド ここまで衰退してしまった銚子に、復活の目はあるのか? 銚子は大変魅力ある土地です。水揚げ高日本一の大漁港と、バラエティ豊富な魚グルメ、醤油やせんべいなど、伝統ある地場産業、関東最東端の犬吠崎灯台と温泉、ファンの多い銚子電鉄など、この土地には宝が溢れています。 さらに、「天国の気候」と呼ばれる、温暖な海洋性気候も魅力です。海に大きく突き出した銚子半島は、黒潮にどっぷり包まれて、夏は関東で一番涼しく、冬は関東で一番暖かい。天気予報の時間になれば、関東じゅうの人間から羨望のまなざしを受けるほどです。この土地では、酷暑とも厳冬とも無縁です。 東京からわずか2時間。これだけの観光資源と、素晴らしい気候に恵まれた土地。欧米であれば、とっくの昔に、高級住宅地かリゾート地となっていたことでしょう。それなのに、なぜ衰退してしまったのか? まずもって、観光地としてライバルに勝つための工夫とPRが足りないように思います。たとえば、私の子供時代と、今と比べてみて、銚子の観光スポットは、ほとんど変わりばえしないように感じます。犬吠崎灯台と、銚子漁港、一山いけす、銚子電鉄、醤油工場・・・昔とほぼ同じラインアップ。唯一変わったのが、ポートタワーとウォッセ21ができたこと位かな。でも箱物チックで、いまいちインパクトが足りない(売ってる魚は素晴らしいんだけど・・・)。 宿泊施設にしても同様。今でも、箱物ホテルや釣り民宿ばかりで、私の子供時代と変わり映えしない。南房総のような、新しい感覚のペンションやゲストハウスが少ない。それが観光地として、何となく古臭く、疲弊した印象を与えてしまう。 たとえば銚子を、沼津港みたいに、魚グルメのテーマパークみたいにできないものかなあ、と思う。今は物流が発達して、新鮮な魚は日本中どこでも食べられるようになったけど、沼津みたいに、30以上の魚料理の店が集まって、しのぎを削っていれば、多少遠くても、足を運んでみようって気になるでしょう?銚子なら、やる気になればできると思うけどなあ。 あと、関東の最東端にあるという、「誰も真似のできない」地理的特徴を逆手にとって、何か名物を作れないものかなあ? たとえばの話、「日本で、カリフォルニアに一番近い街」みたいなキャッチコピーをつくる。カリフォルニアの美しい町、たとえばモントレー&カーメルあたりをモデルにして、フィッシャーマンズワーフ風の、おしゃれな施設をつくって、そこで、銚子でとれた魚介や醤油を使ったクラムチャウダーを出したりする。要は、「寿司刺身だけでない銚子」を演出する。 或いは、成田空港あたりを起点として、銚子を終着点とする、巡礼の旅コースを開発して、中高年客を呼び込むとか?ちょうど、スペイン・サンティアゴ・デーコンポステーラの巡礼道の発想なんですが、幸い、成田~銚子間には、心和ませる農村やお地蔵さんの風景がたくさんあるので、それらを組み合わせて、コースとして売り出す手もあると思います。とにかく、東のはずれにある銚子が終着点で、そこには美味しい魚がたくさんあって、海を眺めながらの露天風呂で疲れを癒す、という筋書きがミソです。 いずれにせよ、小さい頃から親しんだ、大好きな街・銚子の復活を願ってやみません。 銚子の魅力・・・雄大な海の風景

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る