見たまま、感じたまま、思ったまま

2010/03/25(木)18:15

NAVI休刊(廃刊)を惜しむ

読書、映画、テレビなどのこと(69)

僕が定期購読している雑誌は2つある。 ひとつは音楽雑誌の「ミュージックマガジン」、そしてもう一つは自動車雑誌の「NAVI」である。 最近は忙しさもあって、どちらもそれほど熱心には読んでいない。前者は、新譜の情報を得るために読んでいるようなものだし、後者は新車の案内を読むと言うよりは、色々と連載されているコラムが好きで読んでいた。 読んで居た・・と過去形になるのは、後者のNAVIが2月末に発行された4月号を持って休刊になってしまったからだ。 休刊と言っても、事実上の廃刊だと思う。 ナビはちょいと変わった雑誌だった。 自動車雑誌と言うと、普通はメカの紹介とか新車の宣伝とか、半分メーカーの提灯記事のようなのが多いけど、この雑誌は自動車と人間がどんな風に関わっていくかとか、自動車を巡る社会と文化に焦点を当てているようなところがあった。だから、エコの話題にも積極的だったし、自動車雑誌の癖に、人間の未来に本当に自動車は必要かなんて内容もあった。 それ以外に、交通事故の検証、安全性のテストなどがあり、さらには古い車を大事にするような「10年10万キロストーリー」なんて企画もあった。これは名前の通り、10年以上10万キロ以上愛車に乗っているユーザーを取材に行くもので、考え方によっては新車購入を抑制するような企画でもあった。 2代目編集長のスズキさんは、若い頃学生運動をしていた左翼の慣れの果てのような人で、フランスが核実験をやった時には、フランス車に乗ってフランス大使館へデモに行こうなんて企画を出したりした。小説を連載していた矢作俊彦がこのスズキさんを主人公にした小説を書いたり、浅田彰と田中康夫が「憂国呆談」と言う対談をやっていた時期もあった。このあたりがこの雑誌が一番面白かった時期だと思う。 スズキさんが編集長を更迭され、他社へ移り、何人か編集長が替わるうちに、少しずつこじんまりとした雑誌になっていったように思う。 そして、折からの不況による自動車購入の抑制、広告収入の減少があり、さらにはwebで活動を始めた事により、最終的には自分の首を絞め落としたようになったと言う。 webと紙媒体との関係は、これからも色々あるんだろうなあ。 さて、次はどうしようか? スズキさんが編集長をやっている「ENGINE」を読んでみようかどうか思案中である。

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