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旅のスケッチ・ブルージュ

旅のスケッチ

ブルージュ

ブルージュの運河

この街を訪れようと思ったのは、クノップフの、陰鬱で幻想的なパステル画に惹かれたからだった。
けれども、6月のブルージュは、「死都ブルージュ」という言葉から私が想像していたイメージとは全く異なり、花と光に溢れ、幻想的というよりは、メルヘンチックな街だった。

朝十時。町は目覚めたばかりのようで、観光客の姿も少なく、静かだ。ブルク広場には、まだカフェのテーブルは出ていない。セピア色にくすんで光る敷石の上、観光馬車が人待ち顔で立っている。散乱する朝日に、風景は紗がかかって見える。
 ブルク広場から市庁舎と隣の建物の間の路地をぬけて、運河へ出る。橋のたもとは、クルーズ船の発着所。その先、古びたレストランのあるかわいらしい広場を抜けると、再び運河に出会う。ここでは幅が広がって視界が開け、絶好のシャッターポイント。建物のとがった赤い屋根の向こうに、鐘楼の八角塔が見えている。
ベルフォート(鐘楼)

ベルフォート(鐘楼)

 ここからノートルダム寺院へ至る運河沿いの道は、絶好の散歩コース。
緑色の水面に映える、古い建物の煉瓦色の壁。水面にせり出したレストランの白いテラス。護岸を飾る赤い花。
 特に、グロウニング美術館からノートルダム寺院の裏庭に至る小道に、私は強く引きつけられた。迷い水のように現れる水路の上にかかる、小さな太鼓橋。水際の建物も、ここらへんは、特に古びて美しい。いつまでもさまよい歩きたくなる道だ。

 ベギン会修道院への迷路のような小道がまたかわいらしい。
 細い路地の両側に並ぶ白い壁の建物は、軒が低く、ドアも小さく、絵本から抜け出てきたかのよう。レストランの二階の窓からは、人間の大きさの人形が、身を乗り出して、通りの観光客たちに手をふっている。

 木枠の窓に並んでいるのは、すべて真っ白なレースの小物たち。レースのハンカチ、レースの窓飾り、テーブルクロス。
 「あれ欲しい」
 きれいなレースの小さい傘から、しばらく目が離せなかった。

ベギン会修道院

ベギン会修道院付近
運河クルーズの折り返し地点。
橋の向こうは、愛の泉公園。

☆ ノート ☆
本当に絵のような街で、お薦め。
ブリュッセル中央駅から、インターシティで約1時間。駅前広場から、市心行きのバスが出てる。バスの中では、案内はないので、おりる場所は自分で確かめて。切符は、広場にある売り場で。
インフォメーションは、駅とブルク広場にあり、ホテルの予約の他、街の地図がもらえる。


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