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テーマ:珈琲井戸端会議(676)
カテゴリ:試行錯誤の跡
焙煎したてのコーヒー豆を求めて、喫茶店や自家焙煎のお店を探索していた頃の話です。
そこは、コーヒー豆の販売がメインで、ついでにコーヒーを飲むための喫茶スペースも用意してあるという感じのお店でした。 初めてコーヒー豆を買いに行ったのですが、そのお店のマスターはコーヒーが好きで、それを仕事にしてしまったという方でした。 マスターは、ぼくのようなコーヒーマニアが来ると、嬉しくなって遊びたくなるようです。 このときは、他にお客さんがいなかったこともあり、話をしているうちに、マスターが淹れたコーヒーとぼくが淹れたコーヒーを飲み比べてみようということになりました。 お店の喫茶スペースは、実はマスターの実験室でもあったわけです。 コーヒーの抽出器具が何でもそろっています。 ぼくが慣れている方法ということで、ペーパードリップで淹れることになりました。 ドリッパーは、陶器製のカリタ102(2~4人用)です。 コーヒーは、中煎りのコロンビアだったと思います。 抽出器具とコーヒーは全く同じものを使い、条件を同じにしてコーヒーを淹れます。 お店の店員さん(実はマスターのお嬢さん)にも来てもらい、飲み比べてもらうため3人分を抽出します。 はじめは、マスターの番です。 「この方法がシンプルで一番いい」と言いながら抽出します。 その方法は、一投抽出でした。 (「一刀淹て」と言う方が一般的なようなので訂正します。 興味のある人は、「一刀淹て」で検索してみてください。) コーヒーを蒸らさずに、お湯の温度も高めの状態で一気に抽出します。 初めから終わりまでお湯を一定のスピードで注ぎ続けます。 お湯の温度が高いと珈琲の雑味成分が出やすいのですが、蒸らさずに短時間で抽出することで雑味を出さないようにしているようです。 抽出されたコーヒーは..... いろいろな味がします。コーヒーはこんなにいろいろな味がするものなのかと驚きました。 顕微鏡でコーヒーの成分をひとつひとつ拡大してして見ているような感覚です。 この感覚は未体験のものでした。どこのお店でもこのようなコーヒーは飲んだことがありません。 店員さんの評価は、「いつもの父のコーヒー」だそうです。 次に、ぼくの番です。 抽出方法は、低温抽出です。 普通のペーパードリップでは、お湯の温度を90度前後に下げて抽出しますが、 この頃のぼくは、それよりもう少し温度を下げて80度前後のお湯で抽出していました。 30秒程度蒸らしてお湯を注ぎます。 温度が低い = コーヒーの味を悪くする成分が出にくい という公式を使った方法です。 できたコーヒーの味は..... まろやかです。 お湯の温度を下げて抽出すると、コーヒーはとろみがでます。 マスターが淹れてくれたコーヒーにとろみをつけて味をまとめた感じです。 店員さんの評価は、「飲みやすい」です。 コーヒーのテイスティングをするには、マスターの淹れたコーヒーの方が良いようです。一方、日常的にリラックスして飲むには、低温抽出で淹れたコーヒーの方が良いのではと思いました。 自分がいつも飲んでいるコーヒーの位置づけがよくわかりました。 貴重な体験をさせてもらったマスターに感謝します。 マスターの淹れてくれたエッジが立ったようなコーヒーにも惹かれるのですが、今でも低温抽出で 淹れている自分がいます。 今現在は、以前ほど低温にしてませんが、やや低めぐらいの温度のお湯でペーパーフィルターで 抽出しています。 毎日コーヒーを淹れていると、結局、自分が飲みたいと思っているコーヒーが抽出できる方法に収束していくようです。 10人いれば、10通りの抽出方法があり10通りの異なった珈琲があるということですね。 (こんなオチでいいのだろうか。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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