古くなったコーヒーで起きた悲劇
自分でコーヒー豆を買うようになると、お店で売られているコーヒー豆が焙煎したてかどうかに敏感になりますので、だんだん学習して古いコーヒー豆を買うこともなくなってきます。しかし、コーヒー好きであることが知られてしまうとなにかの拍子にコーヒーをもらうことがあります。コーヒーをそんなに飲まない世の中の人にとっては、依然としてコーヒーの賞味期限は1~2年のままです。人からコーヒーをもらうときは、いらないとも言えないため、表面上は喜んでいるふりをして頂くことになります。頂いたものは、ほとんどの場合、コーヒーの油が酸化していて飲めないため捨てることになります。この前も、昔同じ職場にいた人が久しぶりに尋ねてきたことがありそのときに手土産としてコーヒーを頂きました。彼が帰った後に、頂いたコーヒーをチェックしてみました。豆ではなく粉の状態で500gのコーヒーが袋詰めされていました。その袋には、ガス抜きのために穴が開けてあり、どう考えても、その穴を通して空気が行き来しています。袋には賞味期限は、製造日より12ヶ月と書いてありその横に製造日と思われる数字が打ち込まれています。日付は、3ヶ月前になっていました。コーヒー豆を挽いて粉にした状態で、焙煎してから3ヶ月経っていて特に真空パックしてあるというわけではありませんので袋の中のコーヒーは完全に酸化しているものと思われます。普通の食品の感覚では、賞味期限切れまでまだ9ヶ月もありますから何も問題ないということになるのですが、コーヒーの場合には残念ながら事情が違います。いつもならば、これはゴミ箱に直行するはずでした。今回は、一部始終を見ていた職場の同僚がいました。彼は、ぼくが職場の昼休みにコーヒーを抽出しているのを見ているうちに、コーヒーに興味を持ち始めたようでした。彼にも、このコーヒーは完全に酸化しているので捨てるしかないと言ったのですが、彼は、もったいないので捨てるのなら欲しいと言います。酸化したコーヒーを飲むと胃がダメージを受けて大変なことになると説明したのですが、どうも彼は酸化したコーヒーの破壊力をわかっていないようです。ここで、ぼくの中で葛藤がありました。彼のためを思えば、このコーヒーは、あげずに捨てるのが最善なのは明らかです。しかし、ここでこのコーヒーを捨ててしまっても、彼はいつかは自分で古くなったコーヒーを買ってしまうことでしょう。ここは、彼の勉強のために、このコーヒーを使うのも良いのではないかと思いなおしました。酸化したコーヒーの危険性を十分に説明して、飲まない方が良いと念を押してから、このコーヒーをあげました。彼は、早速、その日の夕方に自宅に持ち帰って、飲んだそうです。ここからは彼から聞いたことです。 コーヒーは非常に酸っぱかった。 飲んだ後で、少し経ってから気持ち悪くなって吐いた。 その後も、胃がむかむかして気持ち悪くて、その日は夕食が食べられなかった。 寝ようとして横になっても、気持ち悪くてなかなか寝られなかった。という状態になったそうです。彼がコーヒー嫌いにならないように、2~3日経って彼の胃が回復してから焙煎したての新鮮なコーヒー豆で淹れた美味しいコーヒーを飲ませまたのは言うまでもありません。2006年10月14日追記彼曰く「美味しい珈琲は、香りが口の中から鼻に抜けていくのが良い」そうです。