ロボサムライ駆ける■第40回
謹賀新年!ロボサムライ駆ける■第40回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」you tube manga_training MangakaData.net ■第五章 機械城(3) 叫んだ主水はまわりの地下洞をみわたす。地平は見えず、あたりは霞が漂っている。ようく、見渡してみた。急に光が射したようであった。 主水の周囲の壁には、石仏が数限りなく並んでいた。いやその石仏は、霞たなびく地平のはてまで続いているようであった。その数は数万、いや数百万もあるように思われた。「ここは…一体」 主水は思わず独りごちた。『化野(あだしの)じゃよ。よくこられたのう、主水よ』レイモンの声が響いていた。 が、レイモンの姿は見えない。「レイモン様、いずこにおわします」『何をキョロキョロしておる、主水』レイモンの声が再び響く。 主水は温度探査モードに、眼を切り替える。が、温感を感じるものは何もないのだ。 無機体のみが、主水のまわり数キロを取り囲んでいる。レイモンの声だけが主水に届いているのだ。『主水、わしがお前をたすけたのがわかったか』「レイモンさまが、私を…」『なにじゃ、わかっておらなんだか。あれほどたやすく大仏を倒せたと思うか』ありありと失望の色が声に現れていた。とすれば、先刻の空母での声も、レイモンに違いないと主水は思った。「どのようにして、おたすけくださったのですか」『この化野の力よ、化野の霊気により、大仏を生身にしたのじゃ』「レイモン様」 レイモンをともかく助けねばならないと考える主水である。『主水、わしを探す前に、空母へ戻れ』 レイモンは冷たく言い放つ。「そう申されましても」『命令じゃ、空母の方が急ぐのじゃ』 大仏ロボットを倒した主水は、ジャンプしてその地下洞穴からはい出る。 空母ライオンの方を、望遠ズームモードで見てみる。 空母の艦橋から火の手が上がっていた。 その時、走り寄ってくる影が二つあることに気付く。身構えるが「主水のおじさん」 知恵だった。「先刻はどうも済まぬ。が、知恵、あの剣ムラマサはどうやって取り戻したのじゃ」「それは、私から答えましょう」 見知らぬ一人のロボットが続いて知恵のそばにきていた。白髪頭のにこやかな穏やかな顔たちをしている。「こちらの御仁は…」 主水は見知らぬロボットを見る。「自己紹介いたします。私は西日本の奴隷ロボット解放の運動の指導者、山本一貫です。以後、お見知りおきを」 深々と山本は頭を下げた。「山本殿がこの刀を」「はい、この知恵に命じ、やつらの武器倉庫から手に入れたものです」「かたじけない、お礼を申し上げる。それで知恵は解放運動の……」「そうでござる。それで早乙女様、我々お願いの儀がござる」「はい、いかような」「既にご覧のとおり西日本においては、我々ロボットは奴隷制の下、人間のくびきの下におかれております。我々は東日本のような自由な世界に生きとうございます。それゆえ、ロボット解放運動を進めております。このことわかっていただいて、我々にご協力を賜りたい」「協力とは、一体どのような。小生とて、現在、剣闘士の身分。自由でありません」「相談でござる。恐らく早乙女殿のお手前をみて、西日本都市連合はある提案をするでありましょう。それをお受けください」「提案ですと…、そうとはいえ」 そのとき、空母上でひとしきり大きな音が響いた。「早乙女殿、空母上にお助け下されい。我々の仲間、力士ロボットがロセンデール側の聖騎士団相手に闘っておりますれば」 一貫が頼んだ。「聖騎士団を相手に…」 その時、主水の頭の中にある考えがひらめいていた。「一貫どの、早速参りましょう」(続く)ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikku.com/