漫画文化研究所(山田企画事務所)

2016/01/01(金)15:05

ロボサムライ駆ける■第40回

謹賀新年! ロボサムライ駆ける■第40回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 you tube manga_training MangakaData.net  ■第五章 機械城(3)  叫んだ主水はまわりの地下洞をみわたす。 地平は見えず、あたりは霞が漂っている 。ようく、見渡してみた。急に光が射したようであった。  主水の周囲の壁には、石仏が数限りなく並んでいた。 いやその石仏は、霞たなびく地平のはてまで続いているようであった。 その数は数万、いや数百万もあるように思われた。 「ここは…一体」  主水は思わず独りごちた。 『化野(あだしの)じゃよ。よくこられたのう、主水よ』 レイモンの声が響いていた。  が、レイモンの姿は見えない。 「レイモン様、いずこにおわします」 『何をキョロキョロしておる、主水』 レイモンの声が再び響く。  主水は温度探査モードに、眼を切り替える。 が、温感を感じるものは何もないのだ。  無機体のみが、主水のまわり数キロを取り囲んでいる。レイモンの声だけが主水に届いているのだ。 『主水、わしがお前をたすけたのがわかったか』 「レイモンさまが、私を…」 『なにじゃ、わかっておらなんだか。あれほどたやすく大仏を倒せたと思うか』ありありと失望の色が声に現れていた。とすれば、先刻の空母での声も、レイモンに違いないと主水は思った。 「どのようにして、おたすけくださったのですか」 『この化野の力よ、化野の霊気により、大仏を生身にしたのじゃ』 「レイモン様」  レイモンをともかく助けねばならないと考える主水である。 『主水、わしを探す前に、空母へ戻れ』  レイモンは冷たく言い放つ。 「そう申されましても」 『命令じゃ、空母の方が急ぐのじゃ』  大仏ロボットを倒した主水は、ジャンプしてその地下洞穴からはい出る。  空母ライオンの方を、望遠ズームモードで見てみる。   空母の艦橋から火の手が上がっていた。  その時、走り寄ってくる影が二つあることに気付く。身構えるが 「主水のおじさん」  知恵だった。 「先刻はどうも済まぬ。が、知恵、あの剣ムラマサはどうやって取り戻したのじゃ」 「それは、私から答えましょう」  見知らぬ一人のロボットが続いて知恵のそばにきていた。白髪頭のにこやかな穏やかな顔たちをしている。 「こちらの御仁は…」  主水は見知らぬロボットを見る。 「自己紹介いたします。私は西日本の奴隷ロボット解放の運動の指導者、山本一貫です。以後、お見知りおきを」  深々と山本は頭を下げた。 「山本殿がこの刀を」 「はい、この知恵に命じ、やつらの武器倉庫から手に入れたものです」 「かたじけない、お礼を申し上げる。それで知恵は解放運動の……」 「そうでござる。それで早乙女様、我々お願いの儀がござる」 「はい、いかような」 「既にご覧のとおり西日本においては、我々ロボットは奴隷制の下、人間のくびきの下におかれております。我々は東日本のような自由な世界に生きとうございます。それゆえ、ロボット解放運動を進めております。このことわかっていただいて、我々にご協力を賜りたい」 「協力とは、一体どのような。小生とて、現在、剣闘士の身分。自由でありません」 「相談でござる。恐らく早乙女殿のお手前をみて、西日本都市連合はある提案をするでありましょう。それをお受けください」 「提案ですと…、そうとはいえ」  そのとき、空母上でひとしきり大きな音が響いた。 「早乙女殿、空母上にお助け下されい。我々の仲間、力士ロボットがロセンデール側の聖騎士団相手に闘っておりますれば」  一貫が頼んだ。 「聖騎士団を相手に…」   その時、主水の頭の中にある考えがひらめいていた。 「一貫どの、早速参りましょう」 (続く) ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■ 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikku.com/ 

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