漫画文化研究所(山田企画事務所)

2016/12/27(火)17:42

源義経黄金伝説■第1回

山田企画事務所の小説集(7)

源義経黄金伝説■第1回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・株式会社山田企画事務所 京都市上京区今出川通り飛鳥井に京都市上京区に白峯神宮はある。 祭神は崇徳上皇すとくじょうこう。日本の大魔王といわれている。 幼き帝の手を外祖父、中山忠能がかしづき、新しく出来た神社に詣でている。 「さあ。御君おんきみ、ご先祖帝さまにお願い申し上げてくだされ。 これからの、御帝さまを中心とされる新しき政府に、崇徳様の怨霊がたたらぬ よ うに、あたらしき政治をお守りくだるようにお願いつかまつれ。 代々、我が家、藤原本家に伝わりし、西行法師さいぎょうほうし殿との 約束をお伝え下さいませ」 幼き帝は、手を合わせ、御願いを、なされた。 「崇徳上皇殿下、お許しくだされ。我が王朝が武士から世辞を取り戻すに700年 かかってしまいました。今にいたり、源頼朝、大江広元の子孫たる二家、薩摩島津。長州毛利両家をもって、武士どもの町、江戸と政庁江戸幕府を倒し、武士どもを根こそぎ退治いたします。この長き屈折したりし日々をお許しくだされ。 そして、陰都かげみやこでございます。平泉王国は、いにしえに滅びました、それゆえ、 代わ りに江戸を陰都といたします。平将門を祭る神田明神を持って、陰都の 守神といた します。 が、本来は、崇徳上皇様が祭神でございます。どうぞ、我が王朝が、江戸城をもっ て新しき王朝の皇居といたす事をおゆるしくだされ」 御年十六歳の帝は、深く頭をさげた。白峰稜前にある白峰寺木像(白峰大権現)が 讃岐(さぬきー香川県)から運ばれて来ていた。先帝孝明帝が望み、できなかった事をなしとがている 。 「今、奥州東北の各藩が、列藩同盟とか申し、昔の蝦夷どものように反乱を 起こそうとしております。我が王朝の若い貴族を持って先頭に立ち、荒恵比寿 どもをたいらげます」 幼き帝は、再び深々と、頭を垂れた。 崇徳上皇は、保元の乱ほうげんのらんの首謀者の一人である、後白河に 敗れ、讃岐に流され、そのちでなくなり、白峰山しらみねさんに葬られた。 讃岐は京都の南西の方角、つまり裏鬼門うらきもんであり、平泉は、京都から見て鬼門 にあたる丑寅の方角である。 空から、崇徳上皇の独白が落ちてきて響き渡る。 「西行法師よ、長くかかったのう。いつまで朕をまたせたことやら。 がしかし、その陰都もいつまでも、安穏とするかや。 所詮は、東の幕府、所詮は、荒夷どもが街じゃ。 朕が情念は、いつしか吹くだすやもしれぬぞ。 見ておれ」 この日、元号が明治と改元された。 (続)2014版改稿 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・株式会社山田企画事務所

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