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カテゴリ:昔話
父は漁師であった。普段は家にいないので、中学生の頃、よく友達が遊びに来ていた。その日も数人の友達が家に来ていたが、たまたま父が帰ってきた。父は何を思ったか、友達が来ていることを知ると僕たちを呼び集めた。 そして、おもむろに家の壁に木の板を立てかけると包丁を持って来て、数メートル離れたところから、ビュッと投げた。包丁は見事に板に突き刺さり、父はドヤ顔をした。 友達はひきつった笑顔を浮かべ、すごいですね、と呟いた。調子に乗った父は何回も包丁を投げては突き刺した。 「お前らもやってみろ。」 そう言われて友達は包丁を投げさせられ、父の指導を受けることになった。 以来、友達は僕の家にあまり来なくなった。 ある日、父が漁から帰って来ていて、いつものように家で船員さん達と酒を飲んでいた。僕は違う部屋に避難していたが、何か大騒ぎになっていたので様子を見に行くと、一人の船員さんが包丁を持ち出し、父を刺そうとしているところだった。父は包丁を叩き落し、その船員さんをボコボコにした。 どうも我が家は普通の家ではないのではなかろうか、と気づき始めたのはこの頃である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.22 21:22:04
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