2007/04/20(金)00:09
消極的安楽死
先日より重態の(16日日記)患者さんが、亡くなられた。
人工呼吸器と昇圧剤で維持していたが、ご家族が
「本人が辛そうなので、もう・・・」
重態になってから、私も含めたスタッフとご家族は、なんでも話し合える関係が維持できていた。自負かもしれないがご家族から積極的に私にそしてスタッフにも、「この数字は何?」
「さっきまで100あったけど何で下がっているの?」などわからないことはどんどん聞いてこられたので、その都度説明していた。
「なんで血圧が上がっているの?」
「昇圧剤で維持しているんですよ。通常は10程度ですがその5倍を使っています。それでようやくこの血圧です。」
「へー、昇圧剤ってこんなに効くの?」
「ええ、効果は人によって異なりますが、よく反応していますね」
「これだけで生きているの?」
「本人はこの間、覚悟していると言っていた。死んだ後のことも聞いているんですよ。
いろいろあったんでね」
ご家族はある程度の覚悟をしておられることが読み取れた。
そして今日、昇圧剤を止めて欲しいと要望され医師とじっくり話し合い昇圧剤は止められた。
お見送りの時
「こんなかたちで退院するとは思ってなかった。」
ぽつりと言われた、ひと言は・・・こたえた
頑固、神経質、かたくな、でも人一倍気をつかい優しい人。
まだ元気な頃
「薬が違うやんか、ようみてくばってえな」
「すみません。」
「すまんけどちょっとおこしてえな」やさしい気弱な目。
「ありがとう」 はにかみながらの笑顔
あなたとは出会うはずがないのに、なぜかここで出会いました。
そしてほんの少しの時間ですが、でも入院生活の辛さとわびしさ、ひとり身の寂しさ
を教えてくださいました。
生き方を学ばせてもらいました。