波乱の幕開けで始まったキャンプ・・・
かえでのウンチ騒動のあと、無事に可愛いMさん(いちいち可愛いって言わなくてもいいか^_^;)と合流。
着いてからの事の顛末を話し、くれぐれもよろしくお願いしますと言って、かえでを引き渡した。
この宿泊研修は、2泊3日で、帰るときまで親子は離れ離れになる。
もちろん、寝る時も
今まで、かえでと3日間も離れたことなんてないから、
いくら可愛いMさん(しつこい!)が信頼できる人だからと言ってもやっぱり不安だった。
大丈夫かなぁ・・・
一緒に行ったTくんのお母さんは、やっと離れられるし、
この際羽を伸ばしてのびのびしてやる~なんて言ってたけど、
いきなりTくんがパニクっていたので、心配で心配で・・・とヤキモキしていた。
やはり参加者の中には、いつも自閉症児の面倒で気が休まることがないから、
家族総出で参加して、親の研修はそっちのけでひたすら寝ます、と言う人もいた。
みんな大変な思いをして自閉症児を育ててるんだなぁと思うと、
私だけじゃないんだと心強かった。
保護者は、3日間研修のスケジュールが組まれていて、
午前と午後は、主に大学教授や専門機関の先生の講話を聴き、
夜のひとときには、グループでわいわいと話し合う。
と言ってもアルコールが入るので、難しい話は抜きで、けっこう楽しくいろんな人と話せた。
知らない人と和気あいあいっていうのは、正直言って苦手なんだけど、
子供が自閉症という共通のことがあるせいか、意外とすんなり話が盛り上がってしまった。
以前から思っていたのだけど、自閉症児の親って、頭がいい人が多いような・・・
養護学校の親もそうだけど、この研修に参加した親も、両親揃って有名大学出身だったり、
学校の先生だったり、医者だったり、弁護士だったり・・・
もちろんそうでない人も多いけど・・・
かえでが通っていたこども発達センターの先生は、
世界中どこを見ても統計的にそういう頭が良い親が多いのだと言ったことがある。
昔は、自閉症の子は、お金持ちの家に生まれると言われたこともあったらしい。
要するに頭が良いとお金持ちになれるから、と言うことだと思う。
両親揃って頭が良いと、天才の血が濃くなりすぎて異常になっちゃうのかな?
でも私達夫婦は揃って頭が悪いから、血が薄くなっちゃったんだよね、と夫と話したことがある
食事の時間は、親と子と少し時間をずらして食べるようになっていたので、
こっそり柱の陰から様子を見たりした。
偏食の激しいかえでは、家から持参したふりかけをMさんに掛けてもらって、
何とか食事を摂っていた。
『待つ』ことが非常に苦手なかえでが一番苦労していたことが、
スケジュールの間の空いた時間を過ごすこと。
次々にやることを指示してもらわないと、たちまちグズグズ言い出すので、
Mさんも大変だったようだ。
空き時間には、外のコンクリートの斜面ですべり台のように滑っていたので、
すぐに半ズボンのお尻が破れて、何枚もダメにしてしまった。
予備の洋服は多めに入れておいたけど、最後はそれ一枚しかないというところまできてしまった
3日目の午前中、最後の研修が始まった。
遠く山口県から、上田豊治(うえだとよはる)さんという自閉症のかたと、
そのお母さんが来てくださり、お母さんの幸子さんがお話してくださった。
上田豊治さんは3歳の時に自閉症と診断され、その後歩んできた道のりのお話だった。
豊治さんはすごく絵が好きだったそうで、
小さい頃に描いていた絵を、お母さんがきれいにスケッチブックに貼って保存してあった。
その後、切り絵をするようになるが、ものすごい細かな切り絵を丁寧に仕上げる。
そして、切り絵作家として活躍するようになった。
作品もいくつか展示してくださり、目を見張るものばかりだった。
良かったら、こちらを見てくださいね
とにかく凄い!自閉症ならではの技かもしれない。
かえでも何かこういうことができればいいのになぁと溜息も出てしまったけど、
私自身が絵を描くことが好きなので、ただその切り絵にうっとりとしてしまった。
3日間の研修で、この上田豊治さんのことが一番強く心に残った。
偉い先生のお話はそれなりに勉強になるけど、
同じ親としての上田さん親子のお話は本当に印象的だった。
研修が終わって、「あ~眠かったぁ」と言った隣の席の人の退屈そうな顔には、
ちょっとムカついたけどね
最後に全員で写真を撮ります~と係りの人の声がした。
早く帰りたくてギャーギャー泣いていたかえでは、無理やり姉妹と一緒に写真に納まり、
不機嫌そうな顔で写っている
姉妹は、やはり兄弟グループで友達になった子と住所を交換したり、来年も会おうねと約束していた。
こうして、キャンプは幕を閉じた。
同室の仲良くなったお母さん達とお別れして、
一番お世話になったMさんに丁寧にお礼をし、研修施設をあとにした。
疲れたけど、収穫の多い研修だった。
かえでにとっては、ちょっと、いやかなり苦痛だったかもしれないけど
ごめんね~ かえで・・・