The Hilliard Ensemble & Jan Garbarek / MNEMOSYNE
学生時代の友であり憧れでもあった(身近に思いすぎだが)ヒリアードアンサンブルがJazzのSaxプレイヤーとコラボレーションしていたことを、本当に偶然知って、ものすごく驚いた。しかも、このMNEMOSYNEはそのコラボ作品の第二作目だが、1999年の作品。第一作の「Officium」はそのまた昔の1994年にリリースされていた。こんなすごいことを10年も知らなかったなんて(汗)。ヒリアードアンサンブルといえば、グレゴリオ聖歌や、中世・現代のポリフォニーの作品が代表的と思っていた。厳格な音程のアンサンブルから生まれるハーモニーが真髄と思っていたのに、そこにSaxのインプロビゼーションが絡むとは、いったいどんなことになるんだ?どうもこうも、聴いてみれば答えなんて簡単、いや、問う必要さえないことだった。アンサンブルの声を超えた「声」と、ガルバレクの声に憧れ、ついにそうなった「音」が出会ったとき、今まで想像もしなかった美しい広大な世界が広がる。ガルバレクのSaxは、本当にもの悲しく、けれども強く、歌詞以上のものを歌う。知るのは遅かったし、このコラボの来日公演も見逃したけど、でも出会えただけでもとても幸せな音楽だ。