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2007.05.09
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カテゴリ:旅行けば

この記事はあくまでも
『歴史が浅く、全国様々な場所から入植したため冠婚葬祭も合理的に行われ、且つ都会の持つドライさも持ち合わせている北海道』出身の者の目から見た富山を書いているものであり、実際の富山の事情とは異なる場合もございます。あらかじめ御了承下さい。

***

名古屋にいた夫の母方の祖父が、すでに泉下の祖母の許へ旅立ったのは一昨年のこと。

その夫の祖父が富山県は八尾の出身で、長男だった祖父の下にはまだ健在の4人の弟と2人の姉妹がおり、現在も八尾で暮らしています。

祖父のお葬式の際には兄弟で駆けつけて下さったものの、高齢のためその後法事などに参加できないことが心苦しかったのでしょう。

そのようなわけで三回忌を終えた今回、「自分達が元気なうちに是非八尾まで来ていただきたい」とのお申し出があり、祖父の子である義母を含む姉弟3人とその子供達と配偶者、そしてそのまた子供達の大人12名・子供5名・乳幼児3名の総勢20名がお招きを受けて八尾へと集結したのでした。

***

お招きを受けて日程も待ち合わせ場所と時間も決まったものの、一体何処へどうやって行くのか何処へ宿泊するのか一族誰も知らない。

そんなバカなとは思うものの、本当に誰に訊いてもわからないという。

これじゃまるで、
ミステリーツアーじゃないの。

それでも全員無事に富山駅に集合したところ、八尾の家を継いでいる大叔父を始めとする兄弟達が車を連ねて出迎えてくれたではありませんか。

言われるがままに分散して車に乗り込み、まずは八尾の大叔父の家へ。

おお、富山の家だ。
持ち家率ナンバーワンといわれる富山の大きな日本家屋だわ。
私はすっかり色めき立ってしまったよ。

現在潜水艦のようなマンションに住んでいる私は度肝を抜かれたね。お庭はもう「庭園」。一般家庭にこんなものがあるのか?

20名が一斉に入ることのできるお座敷なんて、「ここはどこかの会館ですか?」という感じ。しかも子供らが運動会並みに大騒ぎをしている縁側の広いこと。

昼食として用意されていたお寿司などをパクついているうちに私はふと気がついたよ。

八尾勢のうち、同席しているのは男性のみ。八尾の女性陣はというと、お味噌汁などを運んで来てくれた後はどこかへ姿を消してしまって見当たらない。

ウロウロしていると台所に直結した部屋を見つけたのだが、女性陣はみんなそこに集まっている。

もしかしたらもしかすると、

富山では客人をもてなすのは男性の仕事であって、女性は雑用が済んだら引っ込んでいなくてはならないのではないか。

要するに女性が前面に出てはいけないのではないかということ。

男性と女性のいる場所がくっきり分かれている・・・。

まるでイスラムの国みたいだ!!

結局女性陣の顔を見たのは最初と最後だけ。

他所で宿泊してまた大叔父の家に戻ってきた翌日、お座敷にはすでにお茶やお菓子の用意がされており、家を出発するまでやはり女性陣が顔を出すことはなかったんだよ。

どうやら富山では男尊女卑の風潮が現在も色濃く残っているらしい。

なるほど、お店のレジなどで並んでいる際に人の目の前を何も言わずに横切っていく失礼なオジさん達が多いのはこのためだったのか。こう考えると頷けるよ。

話には聞いたことがあったけど、『歴史が浅く、全国様々な場所から入植したため冠婚葬祭も合理的に行われ、且つ都会の持つドライさも持ち合わせている北海道』出身で、強いおっかあばかり見てきた私には大変なカルチャーショック。

あと、今回のツアーは大叔父の長男氏が幹事となって進めてくれたのだけれど、長男氏が見事に父である大叔父を立てていたのには驚いたよ。

父権なんかとっくの昔に崩壊している都会のお父さん達が見たら泣いちゃいそうな光景がそこにあったね。

なるほど、先日富山出身の友人が上京してきた際に「同居している祖父がご飯の前にふらふら出かけちゃっても食べないで待っていなければならない」なんてことを言っていたので、「待ってないで食べてりゃいいじゃない」なんて言ったのだけど、その意味が初めてわかったよ。

家は家長が中心となって動く。

その晩は宿が用意されており、ずっと車に乗せてくれあちこち案内してくれた祖父の兄弟姉妹6人と祖父のすぐ下のすでに亡くなった弟の長男と大叔父の長男と次男も一緒に泊り込んで大宴会が催されたのだけれど、次の日の朝食の席において富山勢はご飯のお代わりもお茶も見事なまでに仲居さんに申し付けており、仲居さんもくるくる動き回っていたのでした。

オトコたるもの、どっしりと構えていなくてはならないようです。

これは夫にとっても面白い光景だった様子。

そうです。
私は旅館などでは座りっぱなしで、夫がご飯をよそってくれたりお茶を持ってきてくれるのです。

しかし、そうではなくとも自分のことは自分でやるという風に育ってきた夫にとっては珍しかったみたい。

おまけに神戸の父なんかお茶を注いで回ったので富山勢が恐縮すること。(私とお義母さんは座りっぱなし)

いやー、
どこへでも情報が行き渡っている現代、人々の生活はどこでも似たようなものになっているかと思いきや、日本はまだまだ広かったのだなぁ。

私の知らない日本を今回富山で発見したよ。

しかし二日間、私は今まで経験したこともないような大変手厚いおもてなしを受けたのでした。下にも置かぬ扱いとはこういうことだったのか。どうやらこれは私だけの感想ではなく、おギボさんもそう思っていたらしい。

滞在中の費用はすべて大叔父持ち。相当かかっているはずなのだが「客人にはビタ一文払わせねぇ」という気持ちがひしひしと伝わってくる。

***

さて、ここで昨日のお醤油の出番です。

きっと、富山の人々は普段はそれはつつましく暮らしており、お醤油も「味がつけばそれでいい」とばかりに安いもので十分なのでしょう。
しかし、冠婚葬祭やお付き合いには惜しみなくお金を使うという気質なのかもしれません。

富山県の家はなぜあんなに大きいのか。
家長とそれに続く者たちを収容し、そしてお付き合いのある人々をもてなすための必要不可欠な場所でもあるので、そのため持ち家率ナンバーワンという結果を生み出した可能性が考えられるのです。

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最終更新日  2007.05.09 22:04:52



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