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行こか戻ろかイギリス生活

行こか戻ろかイギリス生活

Rafaela Carrasco

(2005年4月1日)
今日はQueen Elizabeth HallにRafaela Carrascoを観にいった。素晴らしいステージだった。

Rafaela Carrascoは今週火曜日までLondonのフラメンコスクールのイースターコースでIntermediate(中級者)とAdvanced(上級者)を教えていたのだが、この有名なフラメンコダンサーの素の姿を一目見ようと最終日にクラスを覗きに行くと、鏡のすぐ前に立っていなければ生徒だか先生だかわからないくらいオーラが消えていて、とても「普通」な感じが印象的だった。

このRafaellaを私は、へレスフラメンコフェスティバルの最終滞在日の夜、フェスティバルの「締め」に観ている。照明の使い方や衣装がモダンで、洗練されたシンプルないいステージだったが、なんせ2階席だったので細かい足の動きなど見えるはずもなく、今日はCarrasco様を間近で見れるのをとても楽しみにしてきた。

今日のロンドン公演では、ダンサーはRafaelaひとりで、メニューは下記のとおり。
Dancer - Rafaela Carrasco
Singer - Miguel “Picuo” and Antonio Campos
Piano - Pablo Suerez
Cello - Jose Luis Lopez
Guitar - Jesus Torres
Percussion - Daniel Suarez

プログラム
1. Buleria - Dancer, Piano, Cello, Percussion
2. Solea - Vocal, Guitar
3. Varriacion - Dance, Cello
4. Vocal - Piano
5. Malaguena - Dance, Vocal, Guitar
Intermission
6. Tanguillos - Guitar, Cello, Pecussion
7. Zambra - Dance, Vocal, Piano
8. Solea por Buleria - Guitar
9. Martinete - All

最初のブレリアは、Jerezで見た内容と似ていて、Jerezでは舞踊団員6名が順番に踊っていたが、今夜はRafaelaが一人で照明が切り替わるたびに3箇所のスポットに移動して、モダンなブレリアを踊った。ビックリしたのは、両腕を上にあげたり水平方向に動かすときに、残像が残って腕の動きの軌跡が分解写真のようにきれいに見えたこと。私の目がおかしくなったのかと思って何度も瞬きをしてみたが、同じように残像が残る。後で、一緒に行った日本人の友人も「私も最初は自分の目がおかしいのかと思った。千手観音みたいでしたよねぇ」と言っていたし、会場で会ったスペイン人も「オクトパス(蛸)みたいだった」と(例え方は違うが)言っていたので、あれは偶然ではなくどうも計算だったようだ。あんなの初めて見た。どこかの大学の研究者にでも相談して人間の視力のメカニズムの分析結果を元に、効果的な腕を動かすスピードを割り出した違いない。凄過ぎて鳥肌がたった。

音楽はチェロが入ったり、ピアノが入ったりとちょっとジャズ・クラシック風だったが、チェロだけで踊ったVarriacion等は、パルマも、ギターによるコンパスに沿った演奏もない状態で、流れるように、同時に自分がリズムを作りながら踊っているのにまたまた感動。もう、全然別世界の巨匠ぶりだった。私の席は前から5列目だったので、時々Rafaellaの「ふぁ―っ」「ふぁ―っ」っていう息遣いが聞こえて臨場感一杯だ。

休憩を挟んで後半のプログラムでは、Zambraで、あの裾の長いドレスを着て登場。前に見たMercedes Ruizもこのドレスの裾さばきがうまいと思ったが、今日のRafaelaはさらに先を行った感じで、ドレスの先がいつも正しい位置にあるのは勿論、途中で所々、ドレスに空気をいれてわざと膨らませて、自分の踊りに合った早さで裾が着地するよう計算していたと思われる箇所があった。絶対、あれは計算だと思う。凄過ぎる。

最後のMartineteでは、シンプルな歌とメンバー全員によるパルマで、力強い、でも洗練されたコンパス感を十分に披露。ここにきて観客からも思わず「おぉ」という感嘆の声があがる。

今年に入って、ロンドンフラメンコフェスティバルやへレスのフェスティバルで有名どころのパフォーマンスは何度も観てきたし(というか、拝見させていただいたので)、ちょっとやそっとでは驚かないような気分があったのだが、このRafaellaは、近年稀に見るヒットだった。凄かった。ただ、ロンドンでは知名度がいまいちなのか、会場が半分しか埋まっていなかったのがちょっと残念。もっとたくさんの人に見て欲しい舞台だった。


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