残り香人が溢れる街中を歩いてると「助けて」って、今にも消えそうな弱々しい声が聞こえた。 周りを見渡しても「君」の姿は何処にも無かった。 悲しくも「君」の声は街の雑音に掻き消された。 僕は人が少なくなるのを待って 夜中にもう一度その場所へ行ってみた。 「君」が居るかも知れないと思ったから。 すると「助けて」って、弱々しい細い声。 声のする方向へ歩いて行くと 其処には肩を震わせて小さく蹲った「君」が居た。 「何で泣いてるの?」 「・・・私生きてて良いの?」 「勿論だよ。」 そう言うと「君」は有りったけの笑顔を残し消えた。 甘い香りだけ残して。 次の日また「君」が居る様な気がして その場所に行ってみたけど「君」は居なかった。 「君」だけど「君」じゃない。 居たのは無残な姿の「君」だった。 何処からか「君」の声がした。 「有難う」と強く明るい声だった。 残酷にも死臭を漂わせて。 ジャンル別一覧
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