赤いライオンを探して

昔、日本は金持ちが金持ちであるということを自慢しないで

慎ましい生活をしていました

今みたいに情報が瞬時に流れなかったせいもあるでしょうが

いつごろからでしょうか

小泉改革の頃からでしょうか

金持ちが金持ちであることを自慢するようになりました

マスコミも金の有る無しで

人間に勝ち負けをつけ

金持ちをジャパニーズドリームの成功者として

もてはやしました

僕のような貧乏人は

金持ちの生活を知らず

そこそこの幸せを感じて生きてきたのですが

幸せとは金があることだと気付かされました

昔、日本は額に汗して働く人間が尊いとされてきました

それが、手段はどうあれ

金を沢山持っている人が

偉そうな意見を述べ

それをみんながもっともだと思うようになりました

工場は人件費の安い海外へ流れ

国内で働く場所といったら

賃金の安いサービス業か小売業

又は派遣労働になってしまいました

しかし僕は、幸せの価値が金だということを思い知らされ

労働の中に幸せを感じられなくなっていました

簡単に早く金を稼ぐ方法を見つけなければ

生きているうちに幸せになれはしない

こんな悲しい人間になってしまったのです

財布の中に五百円しか入ってなくても

あの人は何故だか幸せそうに見えました

あの人の価値は金にはありませんでした

あの人は人を愛することが幸せでした

いつの時代もそこに生きている人間にとっては

生きづらい世の中かもしれません

みんなが幸せになりたいのに

ここにいることに幸せを感じられない

世の中になってしまいました

手の届かない所にぶら下げられているニンジンのように

そんな所で満足か？満足か？

手を伸ばせば届く所にチャンスがあるのに

貧乏なのはお前の努力が足りないせいだと

言われているようです

しかしそのニンジンは微妙な高さにあって

踏み台に乗らないと取れません

そして踏み台は限られた人しか持っていないのです

そんなことを知らない僕は

今に届く今に届くと

ピョンピョンとジャンプを繰り返しているのです

そして届かないのは

自分のジャンプが足りないせいだと思っているのです

政権が交代します

日本は変わるのでしょうか

いい方に変わればいいのですが

悪い方に変わる可能性もあります

しかしもう見せかけのニンジンに飛びつくような

馬鹿な真似はしないようにしたいです

あの人のように