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第8章 黒影狩り 後編
損傷した赤ボディ。ブラックシャドーの鋭利なフロントボディがもろにピーオーの体に食い込む。じっと耐えたピーオーは呟いた。 ピーオー「ふざけんなよ。なんで先に行ってゴールしないんだ。レースの勝ちを捨ててまで俺を潰したいか?・・・・・・・・・・ずっと変だとは思ってたが、わかったぜ。おまえ、レースに対する情熱が消えてやがる。」 そのころ、立体駐車場ではサイバーが事実を聞いていた。 サイバー「レースに対する気持ちを消しただと?」 テルドム「ええ、そうです。レースを楽しみ、1位を狙う感情なんて、ハンターには邪魔ですから。」 なんということか、シャドーはテルドムの改造によって、レースを楽しむ感情が消えていた――つまり、今のシャドーはただ速く走るだけの物体である。今のシャドーにとって、レースはピーオーを潰すという単なる”作業”にほかならなかった。 ピーオー「忘れちまったなら思い出させてやるよ。多少イカれちまったが、まだ走れるぜ。」 潰れたヘッドライトの奥には燃え盛る瞳があった。再び立ち上がるピーオー。残り半周。 ピーオー「もし、おまえがこのレースで俺に勝ったなら、そんときはQコアでもなんでもくれてやるよ。」 ピーオーの情熱にシャドーも応えた。ドリフトも冴え渡り、戦いは互角だった。彼らの装備では、時間にして20秒もないであろう区間だった。だが、長かった。命を削り取る気でタイムを削り取り、互いに隙を探していた。ゴール前の直線に来たときは平走、ゴールは同時―――。 レースは終わった。勝ったわけではなかったため、ブラックシャドーには『悪魔の力』が残っている。けれど、ピーオーは最後はすがすがしい気分に浸っていた。 シャドー「何か、俺のQコアの真ん中にぽっかり空いた穴が少し小さくなった気がする・・・。」 ピーオー「レースの最初のころのおまえはレーサーじゃなかった。さっきの戦いでレースを愛する気持ちも少しは戻ったんだろうな。」 シャドー「俺のエンジンの中に閉じ込められたQコアたち・・・。こいつらも、レースがしたくてうずうずしているだろうな・・・。」 ピーオー「そうだな。できれば、返してもらいたい。」 シャドーは考えていたが、結論が出るまでそれほど時間はかからなかった。二人はツートーンファクトリーの地下の’あの部屋’へ向かった。 今回やけに会話が多いような・・・。うまく書けませんでした。 これで、第8章完です。『黒影狩り』できてないじゃないか!というつっこみも飛んできそうです。とにかく、これでQコアは戻ってくる。しかし、悪魔たちとの戦いはまだまだ終わらない。さて、テルドム討伐へ行ったサイバーはどうなったのか。次の章はそのへんを予定。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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