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カテゴリ:Cibo食べ物

Confettura di Prugna Giapponese

 

confettura di prugna giapponese

火山が食べるかと買ってきた杏があまりにまずくて、砂糖をまぶして20分くらい置いた後15分だけ煮て即席ジャムをつくった。杏は皮ごとでも短時間で美味しいジャムになる。それでそろそろ完熟梅の季節ではと思い探すと、あったあった。小粒だけれど1kg500円なり。早速ジャムです。3kgつくりました。

 


シチリアにいた頃は毎年大量にジャムを仕込んだ。

日本に帰ってきてもその熱は冷めず...しかし果物が高くて割りにあわない!
ヨーロッパにある果物で作ろうと思うとあまりに高価なので、日本独自の果物~夏みかんや梅など(これならイタリアと比較して悲観したりせずにすむ)で作るようになった。

わたしが暮らしていた町はエトナ火山の標高700mに位置し、冬には雪だって降る比較的冷涼な土地だったけれど、さすがは地中海性気候、一年を通してさまざまな果実を収穫することができた。

保存食作りの一年はフィノッキエットで始まる。野生のフェンネルだ。上質のワインヴィネガーとオリーブオイルににんにくとアンチョビで味付けしたフィノッキエットを漬け込む。これはもう造るはしから完売御礼だった看板商品。実際よく食べた。ふいのお客様があっても地元のチーズやサラミをスライスして、皿のはしにコレを添えておけばとりあえず前菜になった。2~4月いっぱいと仕込みの時期が長い。摘めば横から脇芽が出てくるので穴場を押さえておけば収穫が楽なのです。

その後はもう毎月何かがある。もちろん毎年全てを作っていたわけではないけれど、試作などもかなりしたのでここに書ききれないアイテムだってあったはず。たった一度だけ造った野生に近い品種の黄桃をデ・バルトリのブックラム、しかもオールドヴィンテージに漬け込んだコンポートとかみたいに。これにはレナート・デ・バルトリも感動して食べてくれたっけ。

5月にはさくらんぼ、6月に杏、キウイは一年だけ試して以後やめた。ジャム向きの果物と思えない(本当いうと果物としてもあまり美味しくない)。7月はブラックベリーとプラム、すももに桃。8月はレモンといちじくと桑の実、それから忘れちゃいけないトマトソース造り。毎年牛乳瓶をためておいて100リットル以上作った。9月10月はりんご、11月にはマルメロと花梨、そしてブドウの収穫時には摘果したぶどうでモスタルダ作り。ここには畑にあるクルミやアーモンドも入れるので事前に木の実の収穫もする。栗もよくとったなあ。冬になるとオレンジ。冬も終わりに近づくとブラッドオレンジ=シチリア名物タロッコだ。

色々造ったけれど、とにかくダントツで美味しかったのは杏です。

わたしの中では杏はジャムになるために生まれてきた果物。生食より数倍美味しい。日本では残念ながら美味しい生の杏にあたったことがない。熟しているものは大概実がぼけている。木の上で熟させないからだろうか。シチリアで食べた杏はすごく美味しかった。でもジャムはまた別物、である。そしてイタリアでもシチリアでしか見ない野性の杏で作ったジャムといったら...。この杏はノートNOTOあたりに昔はあったといわれる絶滅寸前品種で、maialino子豚ちゃんという俗名で呼ばれている。直径2~3cmくらいの小ぶりの実だが、これはわたしのジャム歴過去最高の出来。


ジャムを造るという行為がこの上なく好きなのである。

正確には食べ物をそれが一番美味しい瞬間を狙って瓶に閉じ込め好きなときに好きなだけ取り出して食べる、そのまま食べたりアレンジしたり...その保存食というシステムそのものを愛しているのだと思う。味は劣るのに値段は高いというオフシーズンの野菜や果物を有難がって食べるより、何倍も気が利いている。

それでもジャム。何がなんでもジャム。コンフェットゥーラConfettura,マルメッラータMarmellata(ものの本によると、コンフェチュールは果物のジャム、マーマレイドは柑橘のジャム、だそうだ)。家中を満たすあの甘く切ない香りが、ジャム作りをその他の保存食作りから別格に位置づけているのだと思う。

狭いテラスに、どかりどかりと椅子と大なべを持ち出し、好みの音楽をかける(ジャムの下準備にはロックの方が向いている。普段はクラッシック党だけどこの作業にはあまり合わないみたい...NirvanaのUnplugedとかよくかけてた)。テラスからはエトナから細く立ち上る煙も見える。雲ひとつない晴天の日にこの白い一本の筋を眺めながら作業するのは気持ちがいい。一人でもぜんぜん苦じゃなかった。まあ、量によるけれど。

なかなか減ってゆかない山と詰まれた果実の箱を横目でちらちら見ながら、延々と種や芯を取り除き続けるあのうんざりするような労働(花梨が一番キツイ...恐ろしく固い)も、50リットルの特大銅鍋を屋外用のガスコンロにかけ、秘薬を混ぜる魔女みたいにかき混ぜ続けて腕がだるくなってしまっても、瓶詰めし逆さまに並べられたバラバラサイズの瓶を数える瞬間のあの充実感できれいさっぱり帳消しなのだ。

朝起きてエスプレッソを淹れ、パンをスライスしてぱかぱかぱかと3、4種類のジャムを食卓に広げる。ヨーグルトにもどばどばかける。

さあ、次は何味にしようかな~なんて悩みながら始まる、こんな幸せな一日のスタートが他にあるだろうか?






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Last updated  2008年07月20日 15時44分24秒
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