弘前、大阪屋の『冬夏』
東北へのヴァカンスで滞在した弘前は、城下町だけあって情緒ある家並みに歴史ロマンが漂う素敵なまちで、今も昔ながらの仕事を続ける老舗のお菓子屋さんや染物屋さん、塗り物屋さんなど歩いて回るのに楽しいところが沢山あった。
歴史的建造物に指定されている古い建物の所在地を示すマップを見ながら「大阪屋」という和菓子屋さんを訪ねた。
そこで出会ったのがこのお菓子。

美しいお菓子が並ぶウインドウの後ろに、それは見事な津軽塗りのせいろが置いてある。「昔はお殿様へのお菓子はこれで蒸し上げたんですよ」とお年は召しているがしゃんとした上品な女性が説明してくれ「おひとつどうぞ」と勧めてくれた。
写真とは違い、味見用なのか真ん丸く小ぶりに作られている。
見た目はシンプルな和三盆菓子だ。
ところが。
衝撃の食感なのである。一緒にいたO氏夫妻も同様に衝撃を受けたとみえ、顔を見合わせている。
「うわあ、これはなんともはや…。驚くほど軽いね」やっと出たのはその程度のコメント。
この世のものとは思えない重量のなさなのである。
「つい昨年まではね、献上品ということで、一般にはお売りしてなかったものなんです。それがやっと皆様にもお出しできることになりまして…」
原材料を見ると砂糖・米粉・塩とだけある。
シンプルの極みだ。
「冬夏、というんです。」と先の老婦人が教えてくれた。
なるほど。
…なるほど。
早速2箱求める。
ひとつは自宅に。もうひとつはレストランのスタッフに。和菓子嫌いのフレンチシェフ長尾クン。これには参ってくれるだろう。意外だがエスプレッソにもとてもよく合った。
こんなに衝撃を受けた食べ物、久しくなかったような。
誰かに教えずにはいれれぬような。
大切な人にはどうしても食べて欲しくなってしまうような。
弘前に出かけたら、ぜひ大阪屋さんへ立ち寄ってみてください。