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MARUYAMAYA まるやまや Blog

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カテゴリ:Produttore造り手

この記事は、9月6日配信のメルマガ『ほぼ日刊まるまや』で書いた記事が呪いのように長く超大作になってしまったために、興味のある方だけに読んでいただけるよう、メルマガで一部を、全文はブログ上で公開することにしたものです。一部内容が重複しておりますのでご了承ください。 

 

イタリア白ワインの聖地、世界遺産のチンクエテッレ

まぶしい太陽と海からの冷たい風、唯一無二の土壌。

絶壁とみまごう急斜面に広がる宝石のような畑...。
ポテンシャルの高い品種とストーリー。

全てがそろうワインの聖地にただひとつ足りなかったもの。

......情熱を持った生身の人間。

Samuele Heidi サムエーレ・ハイジ (チンクエ・テッレ/リグーリア)
vigna di heidi.jpg

誰もがイタリアを代表する比類なき銘醸地とあがめ、認めながらも実際に偉大なワインを数え挙げると決して名がでない。いたずらに景観だけが語られてしまう特殊な場所。
それがチンクエテッレだ。

世界遺産に登録され、世界中から観光客が訪れるが、持って帰るのは観光用に手入れされたブドウの段々畑の写真だけ。

イタリア各地の星付きレストランのワインリストにも、申し訳程度にチンクエテッレは登場している。

しかしそれはワインの品質で選んだというより地方を網羅するためであったり、有名アペラシオンをカバーしておく、という程度の扱いであることが多い。
どんなにワインにこだわったお店でも、みかけるチンクエテッレはいつも「協同組合」のものだった。

他に選択肢がないのである。

誤解がないようにいうけれど、チンクエテッレ協同組合のワインのレベルは非常に高い。素晴らしいワインだとさえ言いたい。

けれどそれは決して誰かを魅了したり、感動させたりとかいう種類のワインではないのだ。


わたしは長い間、どうしてこの素晴らしい土地で、もっと緊張感のあるワインが生まれないのか不思議でならなかった。

ここまで条件はそろっているのに、と。


だから去年の6月にイタリアに出かけた際、カーゼ・コリーニのロレンツォ博士に

「チンクエテッレにおもしろい造り手がいるんだけど」と言われた時にはいちもにもなく飛びついた。

...それがね、笑える話なんだ。とロレンツォが続ける。

彼はチンクエテッレ協会から土壌の調査・コンサルティングを頼まれ、もう20年も前から研究を続けているのだという。

その関係で、チンクエテッレのDOC認定官能テスト(テイスティング)にも何度か呼ばれたことがあり、そこでこのハイジのワインに出会った。

「ワインを飲んですぐ本物だ、と思ったんだ。これだけずば抜けて美味しく、他のものはみなつまらなく思えた」

ところが、その会場で唯一認定されなかったワイン、それがハイジのワインだったと聞かされたのである。

「一瞬わたしの味覚がどうにかしてしまったのかと思ったよ」

けれど後日その造り手と知り合う機会があり、畑とセラーを見せてもらい、やっと事情がわかったのだ。

「彼は唯一、ワインを造るということがすなわちブドウをケアすることだと分かっている人間だった。ほかのワインと違うのはあたりまえだよね。...醸造についても同じことだったよ」

ロレンツォは、飲んですぐに培養酵母や余計な添加物など使用していないことはわかったのだが、さらにその驚くべきブドウの凝縮度やエキスなどについては畑とセラー、そしてなにより、

サムエーレ・ハイディ(便宜上ハイジと読んでしまいましたが、Heidiハイディと発音するようです)本人、ロレンツォから見れば自分の息子より小さな若造とも思えるほどの青年と話をすることで、「なるほど」と思わされたのだいう。

「目が違う」と、彼のセラーを訪ねた後でロレンツォが指摘していました。

Tシャツにちょっとずり下げたデニム姿のサミュエルは、一見典型的なイタリアの若者。よく日に焼けていて海が似合う。

「彼女は自然に造られているワインを専門に扱っているエージェントだよ」とロレンツォがわたしを紹介してくれると、

緊張した面持ちで、そして若干迷惑そうな、いぶかしむような鋭い視線をわたしに向けた。あまりフレンドリーとは言えない第一印象だ。

チンクエテッレという白ワインの銘醸地という伝統に縛られた土地で、異端ととらえられながらも、ひとり孤高に自分のスタイルを貫くためには数多くの偏見と闘わなければなかったはず。

興味本位の訪問など迷惑なのだろう。


「長い熟成に耐えうる白ワイン、赤ワインと全く同等に複雑さを持ち、テロワールを表現しうるミネラルを備えた強いワイン」

そこを目指す上で、また余計な手出しをしないために、自然と白ぶどうでもマセレーションする手法に行き着いたし、自分のおじいさんはそうやってワインを造っていた。

タンクから飲ませてもらったワインの色を見てもおどろかないどころか、そうこなくちゃという喜々とした態度でテイスティングする私を見て安心したのか、ぽつりぽつりと語り出してくれた。

チンクエテッレでは、どんなくだらなく見える(失礼、でも本当だ)ワインでもべらぼうに値段が高い。

その理由を、土地の有名さからだと思ってはいけない。一度でもこの地を訪れれば、納得できるはずだ。

ドイツのモーゼルはかくありなんという感の、想像を絶する急斜面。

畑の上に立たせられるだけで、足元を見降ろすと転げ落ちそうで怖いほどだ。ブドウを運ぶのに使っていたのだというトロッコのような小型のモノレールに乗せてもらったが、ジェットコースターの100倍スリルがあった。

段々畑は非常に幅が狭く、いっさいの、小型の耕運機さえ入れない状態。ボルドー液を撒くのさえ手動のポンプだけだ。肩で30kgあるタンクを担いで、この急斜面を下りるところを想像しただけでも、足がすくむ。

先に共同組合くらいしか飲むべきワインがないようなことを書いたが、造り手自体がほとんど残っていないのである。みな放り出してしまったのだそうだ。

どんなに真面目にワインを造っても、価格競争となると全く分がない。共同組合にブドウを買ってもらい、観光業で食いつないでいくのが農家に残された唯一の道だったのだ。


最高の白ワインが生み出されるに違いない約束の地であることを知りながら、その極端な生産効率の悪さからワイン造りをあきらめるしかないという厳しい現状。
その真っ只中でサミュエルは育ったのだ。
「絶対に偉大な白ワインを造り出すことができる」という信念だけを秘めて...。

彼はまったく独自に、誰からも影響を受けずに今のやり方にいきついている。

一口飲んだ時の第一印象は、「マッサヴェッキアの白にとても似ている」だった。
「ヴェルメンティーノ(マッサヴェッキアビアンコの主要品種)を強く感じる」とわたしがいうと、

「おかしいな、ほんの少ししか入っていないけれど」といわれた。確かに、ぶどうじゃない。

スタイルなのだ。

そして、偉大...Grandeグランデ...とよばれるワインだけが持つことを許される、強烈なアフター。

わたしは個人的に、ワインの香りにおいて重要なのは、はじめにグラスから香るアロマではなく、飲み下した後に鼻から抜けるほうの香りだと思っている。

そのアフターが素晴らしい。アタックにある多少強めの樽も、アフターでは全く気にならない。そして余韻。

このサムエーレとかいう男の子(ごめんね、わたしから見ると...)、まだ26歳とか言ってなかったっけ?…恐ろしいヤツだ。間違いなく、グラヴナー級のヴィニェロンに出会ってしまった。

10年後、チンクエテッレは世界遺産としてでなく、サムエーレ・ハイジという名前によってその偉大さを世界に示すことになるだろう。


<<以上>>


ふう~~~。ひさびさの大作で、息切れしちゃいました。

メルマガではちょっとはしょりすぎたかしら?最初の5行と最後の5行くらい残して割愛してしまいました。でもその方がいいですよね。もう迷惑ホルダーはごめんだし。

でも、この造り手は、わたしの6年という短いクルティエ歴の中では、1,2を争う大発掘です。

インポーターさんはヴィナイオータさん。

わたしがイタリアから興奮して電話をかけると「あ、その名前知ってる!まったく別方向からも、絶対行ってみろっていわれてたんだ。確か家にサンプルがあるよ」
との答えにびっくり。彼がやってくれるなら、サミュエルの未来は決まったも同然。鬼に金棒です。

その衝撃の出会いから1年以上たってしまいましたが、やっとこさ日本に入荷してきました。

===サムエーレ・ハイジの詳細はコチラ===
    ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

http://www.rakuten.co.jp/maruyamaya/695326/695479/695571/828375/






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Last updated  2008年09月06日 02時14分12秒
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