Maryam's HP 日記

Maryam's HP 日記

2011-2012  詩作




2011-2012  詩作




過去





過去を

過去の自分を

投げ飛ばしては駄目


投げ飛ばすと思っていながら、、、

実は過去に腕をとられてひっぱられる



過去は腕をのばして

自分の方へ引き寄せ 

今 ここで

現在の胸のうちで

過去の自分を

愛しく 優しく

抱きしめてあげるの



それが必要だと

やっと やっと

私にはわかりました





答えのない問い





想いは

行き場がなく 受け手がなく 

望みもなく 目的もない

強い 強い 思いは

空を突きぬけ 存在し続ける


人の一生よりもはるかに長い時間

消滅することはないのだろう


そして再び同じ対象にめぐり合ってしまったとき

同じような想いを引き寄せ 再び抱く



自分が変わらなければ

運命の車輪は繰り返すだけ

いつまでたっても堂々巡り



今こそ変化の時は至れり!

壁をぶち壊せ!


そんな気持ちもないわけではない



しかし

私の前にそびえる壁は

どうにもこうにも動かし難い


この壁は・・・


私を縛っている外部的要因が作っているものではないから


ガラスの壁はガラスではない

一枚の薄いガラスではない


それは

テレビを見ている自分自身と

テレビの中に映っている風景の間の距離に等しい


この隔たりは

長い 長い 長い 時空 を経て作り出されたもの




それでも大いなる力は

人生を歩めと命を送り出す

死という一時的な終わりをお与えにはなるが


再び出会え と背を押す


私にはいつその車輪を止めることができるのか?

果たしてそれは可能なのか?

果たしてガラスの壁の真の距離が縮まることがあるのだろうか?



答えが出ない




帰り花



花が咲く 今この時に咲いている

遅すぎることもなく

早すぎることもなく


花が咲いている


その花の姿しか私たちには見えない

しかし 花が姿を現すまでに

いろんな過程があったはず

いろんな状況があり

いろんな条件があったはず


そして花は 今 

硬い花弁を柔らに ほころび

輝きを一身に纏い

咲いているのだから!



私の中のつぼみはいくつ残っているのだろうか?



それとももう実を残すのみで

次世代へ受け継ぐだけなのだろうか?





抱きしめてしまいそう




昨日の夜から寝ていない

なぜか 興奮して眠れない

理由はない


神経がぴりぴりしている

でも病的なぴりぴりではない


午前4時

ここはまだ 月が美しい


湖面に映る月をみていたら

その美しさに

たとえ幻だと思っていても

冷水に飛び込んで

抱きしめてしまいそう


1年前まであれほど畏怖し

目をそらして 

見て見ぬふりをしていた月をね・・・






冬薔薇(ふゆさうび)





ふゆさうび の忍耐と潔さを愛する人もいる



私には彼女をジッとみつめられるだけの

心の強さがない


薔薇であって薔薇でない

華やかさと豊満さをほとんど失った

最低限の姿



それでも



ああ・・・彼女は薔薇なのだ



芯の強さと健気さだけで

その場に凛と咲き香る


私の胸には棘が刺さる


())だけを残した美しさが

私の心を締め付ける


世にも気高い悲劇のヒロイン





私が心惹かれるものは





数日前に夢をみた

切れ長で目と目の距離が狭い澄んだ瞳

この人は自分の夫なのに顔が違うと私が眺めていると

はにかむような 眩しいものをみるような

そんな瞳をしていた・・・



叶うこと と 叶わないこと

これはある程度決められているような気がする


ただそのサダメは広さと幅と高さがあって

見渡せなくて その存在すらも気がつかない

その中でいろんな選択ができるけど

そこまでのような気がする


私はまだ自分がそのサダメという結界を


破った と思ったことはない


サダメとの戦いは 

全敗し通しで42歳

でも私まだ 参った と

言ってはいない 


思ってもいない



私は 軍神マルス のような性質の 女 だから



今のままなら 今のまんま



だから私は戦うのだ


負け戦だとわかっていても戦わずにはいられない


それが 私 


最初からわかっているからこそ

相手に対する恐怖はない

ただ痛手を負わないように

全神経を集中させて相手の動きを見据え

相手の隙をみたら狙いを定めて攻撃するのみ




組手の試合をみていると

一人か二人こういう瞳に出会う


研ぎ澄まされたその瞳は

私を心底魅了する



私が夢でみた瞳

それは誰の瞳だったのか?



阿修羅の瞳だった




はたして

軍神マルスの性質の女の夫は阿修羅であった!

(阿修羅 常に帝釈天と戦う戦闘神、帝釈天と戦争をするが 常に負ける存在)


私が心惹かれるのは仏ではない



釈迦を守護する阿修羅なのだ




私を包み込む力




この世は

目に見えない沢山のエネルギーで溢れている


エネルギーは日の光だけではない

空も海も山も木々も風も動物も人も

エネルギーを放っている

それが溢れ 入り乱れている



それが己に影響を与える

身近にあるエネルギーで長時間接しているほど

そのエネルギーの影響は大きい

己の放つエネルギーが強いほど相手から受けるものより

外へ放つエネルギーのほうが大きくなる



思い もエネルギーのひとつ

人であっても 人以外のものでも

生きている者の思いでも 亡くなった者の思いでも

強ければ 強いほど

時も空間も越えてその対象へまっすぐと向かっていく

己にとってマイナスもあればプラスもある



私はなんと無防備だったのだろうか?

私の綺麗事を信じる(さが)

そのまま私というエネルギーの存在のありかた

私と他を仕切るのは網戸のようなものだった


私は今それをやっと理解した


もちろん今まで悪いことばかりではなかった

悪い影響を受けたぶん

良い影響も沢山受けてきた

悪いエネルギーという名の風邪に対する免疫もたくさん出来て

私を強くもしてくれた


しかし大きな痛手も受けた

それはなかなか治らない持病や

今でも尚 時として疼く古傷を負わせた

それはもちろん私だけではない

この世にそういうタイプは山ほどいる

ただし気付いていない人がほとんどだろう



私はようやくそれに気がついた

なぜなら

私よりも大きな力に気付いたから

それは私を守ろうとしている

私を包み込むように、私の周りにバリアーを張ってくれるように


今 私はそのことをはっきりと感じている

心の奥から温かさを感じているから


人は孤独を感じる時

心に氷の破片を掴む

破片が大きく育っていくと

自分に深手を与えるのかもしれない



大きなエネルギーが私を包む


凍えた心にゆっくりと奥のほうまで射し入るように

太陽が植物を育むように

暖かい光を浴びせてくれる


乾いた心の土壌に水をたっぷりと撒くように

迸る清水が流れ入るように

潤いを与えてくれる





私は

やっと自分を弛緩させられそうだと感じた

大きく、温かいクッションのなかで

憩うことができるのだろう


私を苦しめる持病も古傷も

弛緩という休息で癒されていくのだろう









心の刃






私の心の剣(つるぎ)



その 刃(やいば) は時に




我 を 彼 を 守るために


我 を 彼 を 傷つけた




今 私の心に


(にご)り 翳(かげ)り 迷い はない




このような時なのだ


この 刃(やいば)の力 を 真に 行使できるのは




(しのぶ)  とは 我慢 で するものではない


(しのぶ)  とは ゆとり で するものなのだ 





孤独





我は孤独

彼も孤独

皆 孤独


どれ程それを感じているか

人によって違うだけ



私は孤独だった

寂しかった

傷つきやすかった


そして 

傷ついた

また

傷つけた



自分を突き放して


生きてきた


そうして


傷つきやすい自分を なんとか保って 生きてきた


それは


孤独を人一倍感じていたから




学び




サダメをほとんど意識しないのは

サダメに則(のっと)って生きている者


サダメを意識せざるを得ないのは

サダメに逆らって生きている者


と言えるかもしれない


則って生きている者にとって

サダメは 春風であり そよ風である


時に 追い風 だったりする




逆らって生きている者にとって

サダメは 向かい風であり 突風である



時に 暴風雷雨 だったりする



私という人間は・・・


注意報が出ていても出掛ける


身一つで 心意気だけで


暴風雨なんて 気のせいだ 目の錯覚だ


などと嘯(うそぶ)いたりもする




暴風雷雨の時には 日を改める 外出を控える

外出するなら せめて

傘を持つ レインコートを着る




やっとそれを理解したのだ



そんな馬鹿でも学んだことはある


自分が一度通った道


それと同じ道を通った者 通っている者


それが見える


自分にとって 金の粒 とはなんなのか 誰なのか


それがわかる



これこそが


サダメとの 0勝全敗の戦い で 身についたこと








変化




言葉というものに


今までも頼らざるを得なかった・・・



いつもいつもいつも


満足したことはなかった


それでも


他に手段がないから


今も頼らざるを得ない


だから私は 


執念深く 学習能力のない自分 にできる努力を傾けてきた


もちろん


それでも満足することはない



しかし 一番私に必要 なこの時


その努力が私の思いを伝える 立派な身体 に育っていた


それには全く 不満 はない




自信が生まれたのだろう



人に思いを上手く伝えられない 


子供の頃からの コンプレックス が


やっと



自信 に 変化 したのだ





こころの痛み




こころの痛み にも
 

いろんな痛みがあります



チクチクするような


むせび泣くような


こみあげてくるような


突然急所を突かれたような


ぽっかりと大きな穴が空くような


何か悪いものを飲み込んだような




何歳(いくつ) になっても

どんなに年を経ても


私は自分の こころ の取り扱いに


手を焼くことでしょう




実感



書かずにいられなかった




書くことを覚えてからは日記を書いていた

書くことで客観的に自分を見つめられたから



生 をなんらかの形で遺して置きたかったのか?

死 を身近に感じていたから


言葉にすることで実感したかったのか?

自分がこの世に存在していることを



思春期からは

理解されることなどない

理解者など一人もいないと思っていた



それでも理解されたい


祈りのような願いを捨てられなかった




その願いを捨てずにいて良かった


今 心からそう思っている





ステップ  人生の(きざはし) 





ある時期がくると


どうやら目の前に一段の階段が出現するようだ




どんな状況で

どんな状態で

どんな心情で

どんな体調で




そのとき一歩を踏み出すか定かではないが・・・


目前に存在する高い階段のステップは


どうしてもあがらねばならぬようだ


そして階段は上へ行くほどに 


もう一段上にあがるステップが高くなっているのに

フェンスが減って 周囲には崖底がみえてくるらしい



階段を一段あがったら弛緩が必要


ふたたび緊張が始まるから 


それはまた、新しいステップへの過程




日々を生きる・・・



時間は後ろに流れはしない



人生山あり谷あり



地にしがみついていたくてもそうさせてくれないもの




後ろから背を押されたり


前から腕をひっぱられたり


自分が石につまづいて 




ステップ させられたりすることもある









般若の(おもて)


hannya.GIF


画像拝借  Bing




手弱女(たおやめ)


尽きぬ情けを包み(かづ)


静座し徹す般若の(おもて)




般若の面をみるとき

私は恐怖を感じない

悲しみだけを強く感じる


かような姿に好んでなったわけではあるまいに

しかもそれを裏にではなく (おもて)(かづ) き 


・・・と






心の(うち) に般若を秘める

美人で愛くるしい女性はこの世に沢山いるだろう


しかし



般若の面を(かづ)き振舞う女性

こういう女性の心をほとんどの男性は気付くことはないだろう




秘めた般若は 嫉妬と恨み


面の般若は 鬼にした(おの) が心






それは確かに (おもて)なのだ

そして、その心には裏があるのだ



般若の面の裏にある彼女の心を(おもんぱか) るとき


私の心は締め付けられるような哀しみを感じる


なんて刹那(せつな) いのだろうかと







自問  木枯らしの吹き荒ぶ季節に 




木枯らしが吹き(すさ)ぶからなのか?


過ぎ去った記憶が行き来するのか?


だから心の傷は


なかなか癒えぬのか?



遠い、遠い過去に負った


疼くような古傷の痛みでさえ


心は憶えているのか?



人は誰でも


そんな傷を


抱えているものなのか?




冬は厳しいものだと


()(ひと)



言ったからなのか?





今宵望月逢瀬の刻  ~2011年11月の満月に捧ぐ~





今宵望月逢瀬(あふせ)の刻



月を望む()が思いが満たさるる時



月が


(われ)を引寄せ 


(われ)(いだ)く   



月と我が(いつ)となる時




(さや)かなる月影の道しるべ


月は煌々(こうこう)と我をみつめ


我を(いざの)




月と地に何の違いがあろうぞ


夢と(うつつ)に何の違いがあろうぞ


()が心に刻まるる (しょう) こそ 真実(まこと)






月よ


我を抱け


存分に抱け


(おの)を満たし


(われ)を満たせ






(とう)(こく)







強くて大きな力が



わたしの心を



揺さぶりました







発せられる波動に



わたしの心が共鳴して



それが指の先まで伝わり



小刻みに震えました







それはまるで


(いかずち)に打たれたようにです







その衝撃で



長い間 忘れていた時が



眠っていた針が



確かな音をたてて



時を刻み始めました





憶えあるあの音



コツ コツ コツ コツ



時を刻み始めました








慈愛(いとほし)  ~2011年秋の長雨の一日(ひとひ)に~







空は 地に 涙をそそぐ





大地に 涙が 染み(とほ)





(かぐは) しき 草と土の 





懐かしい故郷(ふるさと) の (にほ)い はなち





天地 の (さかひ) にて





飢ゑ  乾き  もがく  我に





(いとほ)し  愛し  愛し  愛し





哀し  哀し  哀し  哀し











垂れやまぬ






・・・で?





・・・で?



言葉ではなんとでも言えるし


言葉では何ひとつ伝わらない



所詮


ここまで ここまで ここまで ここまで



限界という壁


今、ここ という壁 


壁 壁 壁 壁



私はそれでも


それでも私は



書かずにはいられない














もとから実体のない言葉に




肉体(からだ)を伴わせる虚しさよ




幾程の誠意で言葉を(つむ)いでみても




誠意ばかりが





吹き(すさ)ばれ




(もてあそ)ばれる





運命(さだめ)





運命(さだめ)とは




なるようにしかならないもの





別の言い方をすると





逃れたくても  逃れられないもの




投げ出しても  再び手元に抱きかかえているもの







運命(さだめ)のような人物



運命(さだめ)のような事物




に出会ってしまった人は 



観念 するしかない



せめて 



みすぼらしく みじめにならないよう 



覚悟 を決めるしかない








代償





(すき)を見せる時とは



隙を見た相手が



そこを突いてくるのを



待っている時に限るべし



ということを



ようやく



私は学んだ








突いてきたもののことを


突かれたというそのことを


とやかくいっているのではない






泥のはいったバケツを



頭上から全身にぶちまけ



誰にも触れられたくなかったものまで



穢してしまったのは



他でもない



自分自身だった



ということ






...ないではいられない





信仰 と 愛 の違いとは・・・


信じるものが 無形のものか有形のものか

その見返りが 無形のものか有形のものか


の違いなのかもしれない



もちろん


信仰と重なる愛も存在する





もし 


とても愛して信じている人に裏切られたら・・・


あなたはどう思いますか?

どうしますか?




泣きわめきますか?


嫉妬しますか?


訴えますか?


復讐しますか?


それとも


矛先を自分にむけ


自己嫌悪し 


精神を病みますか?



でも


裏切られたと思ったら


実は


自分が相手を疑っていたに過ぎない


こともあります




そんなにややこしいのに






どうして


愛さないではいられないのでしょう?



どうして


信じないではいられないのでしょう?




命懸け






気紛れ

偶然

行き当たりばったり

風の悪戯



そんなものは


頼りにならない 


なんてことは 重々 承知 してるの



それでもそれを


頼みの綱 にしているのは


それしか私には


残されていないからよ




大馬鹿者



それも わかってるわ
 


でも



それ を捨てたら 


人生は 楽 



でも



それ を捨てたら 


私 じゃなくなってしまうじゃない?!




相応(ふさわ)しい





魑魅魍魎(ちみもうりょう)より


可愛らしく


野性的


灰汁が強く


フテブテシイ


そして


舌が長い



二枚だったりもする?!





こういう人が





百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)より恐ろしい人に・・・







 嘔吐  ~自己嫌悪の肉体的症状~






自分 相手に



闘い 続け



もがき 続け




勝ったなどとは 


これっぽっちも 


思ったこともないけれど



やっと



自分を見つけた と思ったら



そんな 錯覚 に 二日酔い しただけで



とうとう



道 まで失った




A tunnel  






トンネルを走っている


ただひたすらに走っている




セピア色のトンネルを


無機質な(あか)りが


名残惜しそうに


引き伸ばされ


流れ去っていく




目に見える景色は 


唯 それだけ





このトンネルはいつ終わるのか?


長さはどのぐらいなのか?


一体どこへ私を導くのか




全くわからない





私は もう 迷ってない


わかっているのは


唯 それだけ




一方向を突き進んでいくだけ




トンネルの先の 光 を


出口を示す 光 を





私は目にして進んでいるのだろうか?


それとも 思い浮かべて


それを目指しているのだろうか?



何れにせよ



光 はある


出口 はある




まずは 信じる こと





信じなければ


日々の生活でさえ


足を一歩踏み出しているという


現実でさえ


夢 となってしまうから












恋ふ は 乞ふ 



覚悟 が要ります




好きで 好きで


恋しくて 恋しくて


愛おしく 愛おしくて



堪らない思いに


悶え 苦しみ


夜な 夜な 涙する






恋ふ は 乞ふ


どうしょうもないのです





魂が


知らず 知らずに


惹き寄せられ


惹きつけられ





昼も 夜も


寝ても 覚めても


気が付くと心はそこにあらず




そして


かの存在が


最も私の心の近くにあり


最も多くの領域を


有してしまうのです




ほんのちょっぴりでも欲しいのです


かの心の中に自分のスペースを



いつでもいい


どこでもいい



スペースを分けて欲しい


そう願わずにはいられないのです





哀れです


惨めです


情けないです



乞ふ のですから





感謝





いつも いつも 不思議に思う



きっかけはただ・・・だった


ちょっとした風の吹き回し

幸運と言えることだったのかもしれない



感謝しないではいられない



そんなほんの些細な きっかけ でも

私をある人に結びつけてくださったことに





人が誰かに惹かれるのはなぜ?


いくら理由とか説明をつけようとしても


無駄なこと



きっかけはともかく


ある人に私は いろんなもの を 感じた


心を揺さぶる何か を 感じた


ある人の 魂から放たれるエネルギー に惹かれた


それは


その人が選び使う言葉の底に流れているものなのだろう


言葉 であって 単なる言葉 ではない

 


ありふれた どこにでもある


誰にでも使える言葉であるのに




その人だけ の言葉 なのだ




出会い に



感謝してもしきれない   




2012年 詩作



(みそぎ)



物事には時と場所

そして心身の条件が揃わないと

為せないものがあるようだ


私は 禊 をしたかった

しかし

水がでなかったり

混んでいたり

誰かが じっ とみていたり

やっと水の前までやってきても

自分の後ろに並んだ大勢の人のことを考えると

足だけしか清められなかった


自分の家でやればいい


そう思って家路に向かおうと

息子を乗せて自転車を漕ぎだすと

今度は 後方へ しか進まなかった


夢の中でも試行錯誤していた私は


では自転車を後ろ前にして乗ってみたら?


試してみた


自転車は

ノロノロ ヨタヨタ フラフラ

それでも少しずつ 前へ 進んでいった



乗って行った先には

海があった

海の前には

たった今 干潮を迎えた かのような

広々とした 干潟 があった

私はその干潟を

ますます重くなった自転車のペダルを

渾身の力をふるって漕いでいた


太陽は光り

海はまるで 大きな鏡 だった


私の視界は

だんだんと広がって

干潟と大海原と輝く太陽を

見渡せるようになっていった

私は自分が 上空へ向かっている ことを感じた



禊 は 水 があれば出来るわけではない

そして

禊 は 水 だけで出来るものではない


包み照らすような 光 が

私を清めるのだろう




そしてそこには


ふるさとの海 には


私を 待っている人 がいるのだろう




花は花



想う数だけ 花よ咲け

我が想いよ 花となれ


そう こんな花がよい


心の臓から滴れる

鮮血色した花びらの

姿も 形も おどろしい


葉は花を 花は葉を 想い

相見ることの決してない

曼珠沙華の花がよい


そして

清楚可憐な純白の

そよ吹く風にも

身を震わせ 小刻みに

音なき音 さえずり奏でる

鈴蘭の花



そして

望月の夜の夢枕

青い光が射し入るように

尽きることなく 蜜を噴く

とりかぶとの花がよい



求めてやまぬ

想いよ 花となれ

この手届かぬならば

花となり そして 散れ


湖面に映える白月へ

投じた 想い 花となれ

罪も 罰も 花となれ


人を 殺める毒を持つ

そんな花でも


花は花




化け物 と 怪獣




日常という 化け物は

息を殺し 気配を消し 

忍び足で近づく

限りある 貴重な 人の生へと


そして


ぬるま湯のように 心地よく

絹のように 肌触りのよい

惰性 という名の とばりで

すっぽり 覆い 包み込む


しかし


私の奥に住まう

性 さが という名の 怪獣は

日常という名の 化け物 に

牙をむき 爪をたて 

目を剥き 吠えたてる


日常に 惰性に 流されるなよ

気を引き締めろ

前へ 前へと

前線に追い立てるのだ


僅かな安穏を享受しようとすると

けたたましく 吠えたて

私の心を かきたて かき乱す



性という怪獣は

飼い犬でも 番犬でもないから

誰にも 私自身でさえ

飼い慣らすことはできない





泳げもせぬのに・・・




泳げもせぬのに





海に憧れ



その姿に

心奪われ

惹き込まれ

踏み入りぬ




そしてついに

水は顎の高さへ





波と


戯れ

戯れ

戯れ




甘美な水の感触は

肌を刺激し

えも言われぬ



海に耽溺す






いつしか陽は落ち

風は吹き

雲はたちこめ



なお 気付きもせずに



戯れ

戯れ

戯れ





水底の足 揺れ

身を保ち難く


ようやく 気付きし時は



満潮であったか


干潮であったか







近付くべからず


近付くべからず





我にとって 海とは

遠方より眺めるもの




心惹かれ


心奪われ


たとえ 


それが


手招きせしとも







近付くべからず


近付くべからず













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