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カテゴリ:万年筆
最近、息子が万年筆を見て「それ、ゴンブラン?」って聞いてきます。
そんな怪しいメーカーの万年筆は持ってないですが、どこでそんな言葉覚えた? あっ、私か! しかし、そんなに普段、言ってるかな? ということで、今回は「ゴンブラン」。 じゃなくて「モンブラン No.32」です。 ![]() 「モンブラン No.32」は、1960年から1969年にかけて発売されたモデル。 2桁型番を持つ、60年代のモデルの中では、30番台は一番の廉価版になります。 同時代の10番台、20番台が勘合式のキャップを採用したのに対して、No.32は、螺子式のキャップが採用されています。 ![]() この時代は、149などのモデルを除いては、高級モデルが勘合式、廉価版が螺子式になっていました。 ブルーのインクビューは、お世辞にも高級感があるとは言えません。 10番台、20番台には見られる金属リングも省略されています。 ![]() ネジ溝が切られたインクビューでキャップを留める構造的にも単純な仕組みで、インクビューは破損しやすいので注意が必要です。 キャップリングは、シンプルなものが1つ付いているだけ。 これは、60年代、70年代以降の廉価モデルの特徴でもあります。 ![]() 10番台、20番台のクリップやキャップリングが金張りであるのに対して、30番台はメッキ。 こんな所にも、廉価版故の仕様の違いが見られます。 キャップリングには、「MONTBLANC - No 32 -」と刻印されています。 ![]() 前期型には、「No」の刻印が無いので、これは後期型。 天冠と軸の後端には、ホワイトスターが入っています。 ![]() 70年代のモデルには、軸の後端のホワイトスターが取れやすいですが、60年代のモデルは、そんな事はありません。 廉価版とは言え、ピストン吸入式が採用されています。 やはり、モンブランならピストン吸入式ですね。 ![]() 70年代以降になると、両用式が増えてくるので、60年代は、モンブランにとって最後のピストン吸入式全盛期と言えるかもしれません。 「モンブラン No.32」は、当時は廉価版とは言え、中古市場やオークションでは、No.22と劇的に価格差があるわけでもなく、コストパフォーマンスを考えればパスしても良い万年筆なのですが、無視できない特徴があります。 ![]() ![]() 「モンブラン No.32」の最大の特徴とは、ペン先。 10番台、20番台が、表面が平面的なウイングニブを採用したのに対して、やや立体的な造形のインタルシア(Intarsia)ニブが採用されています。 ![]() このペン先には、「585」と刻印があるように14金ですが、No.31では、合金製のものが採用されていました。 30番台は、バリエーションが豊富で、通常のオープンニブを持つNo.32Dなど、変わり種もあります。 いつもなら、そろそろ試し書き。 普段の私のレビューは、まず、万年筆の写真を撮って、インクを吸入して筆記サンプルを作成し、スキャンして準備完了となるのですが、実は、ペン先のせいで苦労しました。 この万年筆、長く書き続けたり、少し放置していると、インクが途切れだし、以後、途切れまくりとなり、使い物になりません。 ピストンを緩めて、締めなおし、インクが垂れない程度にペン芯にインクを送ってやれば、暫くは、ご機嫌なのですが・・・。 で、ペン先ユニットを抜こうとしたのですが、簡単に動いてくれない。 1週間ほど、ぬるま湯に漬けながら作業したのですが、もう、抜けても良いのではと思えるところまで引き出せたのですが、結局抜けず仕舞い。 とりあえず、先にレビューを完成することにしました。 という事で、今回の汚い字で試し書きは、最良とは言えない状態でのものです。 使用した紙は、ブロックロディア。5mm方眼が入っています。 インクは、セーラー 杜の四季インク 松島ブルー。 ![]() ペン先は、Fくらいだと思います。 ウイングニブと比べると、如何にも弾力が無さそうな形状ですが、かと言って硬いということはなく、書きやすいペン先です。 切り割りが垂直方向にみて、若干斜めになっており、前の持ち主の癖かイリジウムの減りも均等ではありません。 若干、ペン先に癖があるのですが、それを差入引いても、書きやすいペン先だと思います。 勿論、フローが安定してくれればの話ですが・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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