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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会
![]() P.S.アイラヴユー プレミアム・エディション 映画の話 最愛の夫ジェリーを脳腫瘍で亡くしたばかりのホリーは、失意で電話にも出られず自宅に引きこもっていた。やがてホリーの30歳の誕生日がやってきた。届いた贈物の箱を開けてみると、テープレコーダーに入ったジェリーからのメッセージが。思わぬプレゼントに喜びと驚きを隠せないホリー。翌日、メッセージの通りジェリーからの手紙が届けられた。それから、次々と消印のない手紙がホリーのもとに届くようになる…。 映画の感想 これは酷い!観客を欺く幼稚な作品である。 以下ネタばれあり。 映画は始まって直ぐ、見ている観客がイライラする主人公夫婦の喧嘩から仲直りが10分程続いて、あっという間に夫ジェリーは逝ってしまう。呆気にとられて映画を見ていると、死んだジェリーから妻ホリー充てにバースディ・ケーキとジェリーの声が吹き込まれたカセットレコーダーが届き、ホリーに対して「これから送られてくる手紙に従うように」と言うメッセージがあり、翌日から本当に消印の無い手紙が届くようになり、その指令にホリーが従っていくうちに、ホリーの生きる道が見えてくると言う設定だ。 それでホリーが手紙の指令通りに動くことで夫婦二人の想い出を遡っていく仕組みで、ホリーの現在とホリーとジェリーの想い出が並行して描かれる。ホリーの現在はいかにも女性観客が喜びそうな緩いエピソードばかりでゲンナリトしながらも我慢する。所々でジェリーが現在のホリーに寄り添うように現れるのは、現在公開中「幸せの一ページ」でジェラルド・バトラーが演じた主人公だけに見える小説の中のヒーローを思い出してしまった。 ユルユルの物語が展開される中、注目すべき点は「月一回送られてくる消印の無い手紙、全10通」を誰かが出していることだ!ほぼ1年間掛かる壮大なプロジェクトをホリーに仕組んでいるのかが気がかりになってくる。その首謀者はラスト間近に明らかになるのだが、なんとも呆気なく「実は私がジェリーに頼まれてやりました」って台詞で言ってお終いである。 壮大なプロジェクトと言えば、ジャンルは全然違うが「SAW」と言うシチュエーション・スリラーは、ジグソウが考え練りに練ったトラップをラストの数分間を使い凝縮した映像で種明かしを見せる事で映画的な醍醐味を味わう作品なのだが、この映画はあっさり台詞だけで済ませてしまっている。これは致命傷である。「SAW」でジグソウがラストに台詞で「俺が全部やったんだ」と台詞で言って映画が終わってしまう様なものである。 ここは日本人的な安直な考えかもしれないが病魔に苦しみながらジェリーが手紙を書いているシーンや、首謀者が主人公に分らない様にサプライズを仕掛けるシーンを回想シーンで描く必要があったと思う。そう考えるとアイルランド旅行でロッジに置いてあった手紙は誰が仕組んだ?って話になってくるんだけど、その回答は無い。首謀者が居て協力者がいるなら判るがそれも無い。まったくいい加減な映画である。 そしてホリーに恋心を抱くハリー・コニックJr.演じるダニエルとの顛末も散々引っ張っておいて、一度キスをして「妹と同じ味がした」と言って諦めてしまう。「何だったんだよ!今迄あんなにアプローチしてきてそれは無いだろう!」と、密かに彼を応援してきた観客は激怒する展開である。本当にこの監督は役者の使い方が下手で、歌手のハリー・コニックJr.に歌を歌わせないで、歌の下手なヒラリー・スワンクに歌わせたり、まぁまぁのジェラルド・バトラーに歌わせている。少しはハリーのファンにサービス位考えられなかったのかなぁ?あの役ではホリーの“プチ・ストーカー”にしか見えなかったぞ! とにかく映画は死者を美化していて病気で苦しむ夫の姿をまったく描いていない。この病魔のシーンが無いせいでジェリーが死んでしまった実感が観客に湧かない為に、主人公の心の揺れが観客にまったく伝わらないのが駄目である。ちゃんと病魔のシーンを描くことで夫の死を乗り越えて一歩前進する主人公の姿に観客が共感するはずである。まったく、この監督は綺麗事だけを描くだけに終始していて映画を全然判っていない!基本的に映画を見ながら観客が「ああすればいい、こうすればいい」と思わせる作品は駄目な映画である。 そして、ダメ押しするようにエンドクレジットで流れるのは、何故か徳永英明の日本語の歌が流れ出した時は椅子から転げ落ちそうになってしまったぞ! 何を考えてるんだムービーアイさんと東宝東和さん!!! ![]() 小さな祈り~P.S.アイラヴユー/徳永英明[CD]通常盤 ![]() 映画「P.S.アイラヴユー」の関連商品はこちら ![]() P.S.アイラヴユー ![]() オリジナル・サウンドトラック P.S.アイラヴユー
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