masalaの辛口映画館

2011/02/05(土)22:06

映画「60歳のラブレター」@ヤクルトホール

試写会(162)

 試写会の主権はテレビ東京さん、客入りは7割ほど。        【23%OFF!】60歳のラブレター(DVD)  映画の話  仕事一筋の夫・孝平(中村雅俊)と献身的な専業主婦ちひろ(原田美枝子)は、定年退職を機に離婚を決意。時間を持て余すちひろは家政婦の仕事に挑戦し、翻訳家・麗子(戸田恵子)の家で働き始める。一方、張り切って第2の人生を歩み出すもさまざまな挫折を味わい、自信を失いかけていた孝平は、娘(星野真里)の出産見舞いでちひろと再会し……。  映画の感想  本作は昨年、私の邦画ベストテンに選出した「真木栗ノ穴」の深川栄洋監督がメガフォンをとったと聞き興味を持った作品です。 【20%OFF!】真木栗ノ穴(DVD)  映画は一般公募した手紙から物語を作り出した作品だ。離婚を決意して別々の道を歩き始めた“孝平とちひろ”、妻に先立たれ娘と暮らす医師・静雄と第一線で活躍する翻訳家・麗子、魚屋を営む仲良し夫婦・正彦と光江。この3組の熟年カップルをあえてオムニバスにしないで、それぞれ接点を持たせ一つの物語にしたのが本作のポイントであるが難点でもある。  2時間の作品の中で3組のカップルを交差させながら、各カップルの関係や人物像を掘り下げるのにはベテラン監督でも至難の技である。それを本作では76年生まれの深川監督ではまだまだ人生経験も浅く、部分的に良い所もあれば、もっと掘り下げられた点もあり、全体を通してアッサリとした印象だ。本作で深川監督は作家性を消して職人監督に徹した感じである。  まず良い点を上げると、オープニングの中村雅俊演じる孝平の帰宅シーンのギミックは「真木栗ノ穴」を彷彿させるギミックで「はっ!」とさせられる。映画の出足は快調で段々と優等生的な無難な演出に終始してしまうのにはもどかしさを感じるが、孝平が新しい会社でのプロジェクトを、前に務めていた大会社に妨害された事を察知して大会社に直談判に乗り込み大見得を切るシーンは、中村雅俊のキャラクターを一瞬だか最大限に引き出した手腕は見事であり、短い出演ながら会長を演じた佐藤慶のふてぶてしい演技にはシビレた。個人的には松田優作主演「蘇る金狼」の佐藤慶と被った。  しかし先にも書いたとおり、3組のカップルをそれぞれ掘り下げきったとは言いがたい。特に魚屋夫婦の出会いを台詞だけで語らせるのは手抜きのように感じた、ここは少しでも良いので回想シーンとして描いて欲しかった。そしてラストの孝平の心動きも見えてこないまま唐突な行動に出てしまう辺りは若干冷めてしまった。そんな中、意外と良かったのが井上順演じる静夫と戸田恵子演じる麗子のカップルは3組の中では2番手的な扱いであるが、役者のチョイスが良かったのか一番心に入ってきた。  まぁ本作は私の様な独身者が語る作品ではないのかもしれない。きっと長く連れ添ったパートナーがいる方々には全然違う感想をお持ちになるのだろう。それにしても本作にマイナー作品で活躍してきた深川監督をチョイスした映画会社の大英断には頭が下がる思いである。これからもドンドンと才能のある若い監督たちを世に羽ばたかせるチャンスを与えて欲しい。  映画「60歳のラブレター」の関連商品 60歳のラブレター 60歳のラブレター(2) 60歳のラブレター(3) 60歳のラブレター(4) 60歳のラブレター(5) 60歳のラブレター(6) 60歳のラブレター オリジナル・サウンドトラック

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