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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会
主権は東京新聞さん。客入りは8割ほど客年齢は非常に高い。
映画 ハゲタカ 映画の話 投資家から募ったファンドで徹底した合理主義を貫き、企業を買いたたいく“ハゲタカ”の異名を取っていた鷲津政彦(大森南朋)は、閉鎖的な日本のマーケットに絶望して海外生活を送っていた。そんな鷲津のもとへ盟友・芝野健夫(柴田恭兵)が現われ、日本有数の大手自動車会社を巨大ファンドによる買収の危機から救ってほしいと頼む。 映画の感想 私はオリジナルドラマ版は未見です。その為に登場人物のバックボーンが不明であり、台詞から推測しながら人物相関図を頭の中で組み立てながら映画を見る事が難点だ。映画は初見の観客に対してこれと言ったフォローもないので、やはり最低限にオリジナルの予習は必至の作品である。オリジナルを製作したNHKはゴールデンウィークにオリジナル全6話を再放送したのだが、私はそれさえ知らずに観損なってしまった。NHKも民放を見習い映画公開直前に再放送する位のサービス精神が必要だ。まさかこれから映画公開に合わせて再放送するのかな? 映画は大手自動車会社“アカマ自動車”を中国ファンドが買収を仕掛ける。それを阻止する為に主人公・鷲津率いる“鷲津ファンド”が迎え撃つと言う物語だ。主人公・鷲津を演じるのは大森南朋だ。彼は私の中では準主役というイメージの人物であったが、いつの間にかこんな立派な役を演じるようになっていて驚いた。そして敵対する中国ファンド代表の劉一華を演じるのは玉山鉄二で、元々劉は鷲津の同僚であった人物であり、かつての鷲津の分身とも言える設定なのだろう。 映画はとってもタイムリーな作品で海外ファンドが日本企業を買収、派遣労働者問題、リーマン・ショックなど、現在の拝金主義に突っ走る日本の社会事情を大きく反映している所にリアリティーを感じ作り手達の努力が感じられる。 映画は“アカマ自動車”を巡り、ホワイトナイツとなる“鷲津ファンド”と敵対する赤いハゲタカ“劉一華”を区別する為に画面の色温度を意図的に分けているようだ。劉一華のエピソードや彼のテリトリーの出来事は赤みかがかった色温度“低”だ。そして鷲津のエピソードとテリトリーは青みがかった色温度“高”に設定されている事を映画中盤辺りで気がついた。この事を念頭に入れながら映画を見ると面白いのでは? 以下ネタばれ注意 映画は今の時代を上手く反映していて企業サスペンスとしても楽しめた。特に金に物を言わせて自分の操り人形に仕立てられる派遣労働者・守山と劉の関係が興味深く、金で人を操ろうとする劉に対して、プライドを守ろうとする守山が金の力に負けてしまう件は悲しい瞬間である。劉の最後は「蘇る金浪」(79年)の最後を思い出してしまうし、地面に落ちた金に群がるホームレスの姿は弱肉強食時代を生きる今の日本国民の姿のように感じた。 そして最後に音楽について書きたい。本作の音楽は「ALWAYS 三丁目の夕日」などで知られる今一番忙しい作曲家の佐藤直紀だ。彼の音楽は一概には言えないが饒舌すぎて耳障りな曲を書く事が多い作曲家であるが、今回は劇伴に徹してエスニックテイストを加えた力強いスコアが非常に上手く好感を持った。 映画「ハゲタカ」の関連商品 ハゲタカ(上) ハゲタカ(下) ハゲタカ(2 上) ハゲタカ(2 下) ハゲタカ(「日本を買い叩け!」編) 【送料無料選択可!】映画ハゲタカ オリジナル・サウンドトラック / サントラ ハゲタカ DVD-BOX(DVD) ◆20%OFF! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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