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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会
人気作品だけに開場後直ぐに多くの座席が埋り立ち見客が出てしまう。その為に主権者が空席探しに時間がかかり開映時刻も10分遅れて上映が開始された。客層はほぼ女性ばかりで小学生位の女子の姿もある。
![]() 【21%OFF!】愛を読むひと 完全無修正版 【初回限定生産】(DVD) 【発売日お届け!2010年1月8日発売】 映画の話 1958年のドイツ、15歳のミヒャエルは21歳も年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と恋に落ち、やがて、ハンナはミヒャエルに本の朗読を頼むようになり、愛を深めていった。ある日、彼女は突然ミヒャエルの前から姿を消し、数年後、法学専攻の大学生になったミヒャエル(レイフ・ファインズ)は、無期懲役の判決を受けるハンナと法廷で再会する。 (このあらすじは「シネマトゥディ」さんより抜粋した文章であるが、文中ミヒャエルとなっている名前は劇中マイケルでしたので、私の感想はマイケルで統一してあります) 映画の感想 よく出来た物語であるが大事な部分が描かれていないのが不満だ。映画は1995年の現在を軸に主人公が過去を回想する形で、現在と過去が交差しながら展開する。映画は主人公の少年期、青年期、中年期と、大きく分けて3部構成とも受けとれる。 舞台は58年のドイツ。路面列車で気分が悪くなったマイケルを車掌のハンナが介抱した事により二人の出会いが始まる。長期間の闘病生活を経てハンナの家にお礼に行ったマイケルはあっという間に男女の関係になってしまう・・・。まず私は本作に対して予備知識なしで見たので物語冒頭から直接的な性描写が始まってしまい正直驚いた。本作はPG-12指定されているが、外国ではR指定作品だ。(本作をお子さんと見に行く方はいないと思いますが注意が必要です。)少年に年上の美しい女性が性の手ほどきをすると言えば70~80年代に流行った「青い体験」「青い経験」「プライベート・レッスン」など、少年の童貞喪失物かと思ってしまう位の性描写があるが、この描写が後々大事になってくる。それにしても主演のケイト・ウィンスレットは相変わらず脱ぎっぷりが良い。 以下ネタばれ注意 映画は突然ハンナが姿を消してしまい(その理由も後々考えると納得なのだが)少年の恋は終わってしまったと思われたが8年後の66年、マイケルはハンナと意外な場所で再会する。法学生となったマイケルが傍聴した裁判でナチス親衛隊(SS)の戦犯裁判での被告としてハンナの姿があった。 ここからが本作の本題となる訳だが、本作はあくまでもマイケルの目線に主眼が置かれている。その為にハンナが犯した過ちは全て台詞のみとなっている。マイケルが裁判所で傍聴したように、観客も裁判でのやり取りだけで事件を把握しなければならないのが難点である。特に証人として招かれるアウシュビッツ収容所で生き残った親子の話は大事なポイントだけに映像化して欲しかった。この映像がないために、後々に出てくるハンナが残した空き缶への思いが見えてこないのは駄目だ。そんな訳で空き缶がラストの小道具としても機能していないのが残念だ。個人的にはハンナのナチス親衛隊時代の話もフラッシュバックでもいいから映像化して欲しかった、そうすれば観客にハンナや被害者の心情も観客に容易につかめたはずだ。台詞の中で「ハンナが収容所から若い娘を選別して自分の部屋で・・・・」と聞いた時は「バイセクシャル?」なんて思ってしまうし(この話も後々理由がわかるのだが)、何か小説で言う行間を残した演出が非常にもどかしい。小説であればこれでOKなのかもしれないが、映画なのだから映像で見せて欲しい。 映画は年齢の違う二人の男女の交差する瞬間を濃厚に描いた愛の物語であるがドラマとして出来すぎ感は否めない。本年度アカデミー賞最優秀主演女優を受賞したケイト・ウィンスレットが36歳から晩年までを上手く演じ分けていたが、流石にメイクで年を取らせる事は出来るがケイトの目力は晩年でも鋭すぎるのが難点であろう。 映画「愛を読むひと」の関連商品 ![]() 朗読者 ナチスの戦犯に興味のある方は「消されたヘッドライン」のケヴィン・マクドナルド監督のドキュメント作品「敵こそ、我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~」がお勧めです。 ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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