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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:ブロガー試写会
今回の試写会はウェブリブログ×シネマスクランブルさん主権のブロガー試写会だ。客席はほぼ満席で客層はお子さんから年配の方まで幅広い年齢層だ。
HACHI 約束の犬 映画の話 アメリカ、郊外のベッドリッジ駅。寒い冬の夜に、迷い犬になった秋田犬の子犬を保護したパーカー・ウィルソン教授(リチャード・ギア)は、妻ケイト(ジョーン・アレン)の反対を押し切って子犬を飼うことに。首輪のタグに刻まれていた漢字から、ハチと名づけられた子犬は、パーカーの愛情を受けてすくすくと成長していく。 映画の感想 日本で生まれた感動秘話「ハチ公物語」が海を渡りハリウッドで映画化されたと聞きかなり疑問に思っていたが、蓋を開ければラッセ・ハルストレム監督らしい良質な作品に仕上がっていた。私は知らなかったが、この作品は87年「ハチ公物語」の正式なリメイク作品である事がエンドクレジットで判明した。87年版「ハチ公物語」は06年に日本テレビで泉ピン子主演ドラマでリメイク?されているのでご覧になった方も多いはずである。しかし、意外と“ハチ公”って知ってて知らないって方も多いのでは? 以下ネタばれ注意 映画は小学生のクラスで“自分にとっての尊敬するヒーロー”と言う授業の中で、主人公の孫に当たる少年が「自分の尊敬するヒーローは“ハチ公”だ」と言う何とも強引な幕開けで、少年がクラスメイトにハチ公物語を語りだすと、時代はさかのぼり、ハチ公が日本からアメリカの誰かに航空便で送られるという、これまた強引なプロットを経て、映画の舞台となるベッドリッジ駅で運搬中の荷物からハチ公の入った籠が落ちてリチャード・ギア演じるウィルソン教授に拾われる、とここまでは強引であるがその後の展開はハルストレム監督らしい丁寧なドラマに入ってゆく。 映画冒頭は動物好きの夫とそれを好まない妻という良くあるパターンがコメディタッチで描かれ、なし崩しでハチをウィルソン家で飼う事になるのだが、ハチの首輪には丁寧に漢字の“八”と彫られた木札が付いているのが可笑しい。それにしても本作はキャスティングが上手い。主人公の妻役がジョーン・アレンに対して娘が「ディスタービア」でヒロインを演じたサラ・ローマーだ。全然似てない母娘で絶句した「マンマ・ミーア」とは大違いに二人は良く似ている、キャスティング・ディレクターのセンスを感じる。それにしてもリチャード・ギアは本当に動物が好きらしく、ハチと接するシーンはムツゴロウさんの様な猫なで声になるのが可笑しい。 映画の詳しい時間経過は不明であるが、教授の通勤に駅までお供するハチと、帰宅を駅まで向かいに行くハチの日常が繰り返し描かれ、街の人々にも愛されているハチの様子がとても微笑ましい。本作は台詞で説明するのではなく、ハチの目線である白黒映像などを使い物語を展開させる手法も上手い。そんな中、駅前でホットドックの屋台を出す主人を演じるのは「スターゲイト」で古代人を演じたエリック・アヴァリだ。後のシーンで彼と教授の親友ケン役のケイリー=ヒロユキ・タガワとの共演シーンがあるのだが、二人はティム・バートン版「PLANET OF THE APES/猿の惑星」でケイリーが猿のご主人様でエリックが人間の使用人を演じた関係で「猿の惑星」ファンとして個人的に嬉しい共演シーンである。 まぁ、伏線も無く突然教授が逝ってしまうのはかなり強引であるが、人間の体とはそう言うものなのかもしれない。教授が逝ってしまってからが本作の本題ともいえる展開で雨の日も雪の日も、ひたすら教授の帰りを駅前で待つハチの姿は悲しくもあり、忠犬といわれる秋田犬の神秘性がまじまじと画面から感じ取れる。2年間の時間経過を木の葉っぱで表現したCGも秀逸である。それにしても秋田犬って大きい犬なんですね。渋谷のハチ公の銅像が小さいのであんな小さい犬かと思ったら、映画の中の犬は凄く大きい。しかし、年をとったボロボロのハチの姿は悲しかった。教授の妻とハチの再会には思わず目頭が熱くなってしまった。 映画は動物映画によくあるあざとさも無く非常に好感が持てる。ラストが若干蛇足であるが、オープニングがああいう風に始まったので仕方が無いだろう。本作は日本語吹き替え版も上映されるのでお子さんと見るのにも丁度良い作品であるし、渋谷駅のハチ公銅像を待ち合わせ場所にしか思っていない若い人たちも是非見て欲しい作品である。 映画「HACHI 約束の犬」関連商品 Hachi約束の犬 Hachi約束の犬公式ストーリーブック HACHI 約束の犬 ORIGINAL SOUND TRACK/サントラ[CD] 松竹 ハチ公物語 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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双葉1124さん
>8月8日、わが家の近くにある映画館で公開予定なので、 >家の子を誘って見に行こうかなーと思ってます。 > >リチャード・ギア~素敵!! ----- 「HACHI」良いですよ。 お子さんと見るのに丁度良い作品です。 “ハチ公”の話って知っているようで知らない部分もあるので面白かったです。 リチャード・ギアは本当に犬好きみたいで、ハチと接するシーンは必見ですよ。 (2009.07.29 00:52:42)
こんばんわ。
犬の映画はそんなに見てないですが押し付けがましい感動がなく今でもこういう映画があるんだなと思いました。 (2009.08.09 21:03:09)
マサラさんは試写で早くから観られてたんですね。
ハチがほんとうにコロコロしていて文句なく可愛かった。 犬の世界はモノクロの世界だと言われていたので、 そう言うハチから見たモノクロ目線を組み込んだ手法が面白かったです。 まぁ、強引と言えば強引とも言えますが、許せる範囲でした。(笑) (2009.08.12 00:53:17)
>映画の詳しい時間経過は不明であるが
実際のハチ公が上野教授と暮らしていたのは ほんの一年ちょっとだったようですよ。 この映画の中でも、ハチが生きている間にパーカーの娘が妊娠して、パーカー亡き後、娘の家に引き取られたときその子どもは赤ちゃんでしたから 実話に基づいた時間設定だったのでしょうね。 たった一年の思い出のために、その後10年近く駅で待ち続けたハチを思うと、悲し過ぎます。 (2009.08.14 12:59:01)
こんにちは!ミスターシネマです!
トラックバックありがとうございました。 監督やリチャード・ギアの犬好きが垣間見えた作品でしたよね。 特に、ハチと一緒にヤンキースの試合を見るシーンは演技ではなく、素のリチャードに見えました。 あと、犬の視点で撮影したカメラワークも良かったですよね! コンパクトにまとめすぎた印象を持ちますが、結構良い作品だったと思いますね。 また僕のブログに遊びに来てください! (2009.08.24 10:40:35)
ミスターシネマさん
>こんにちは!ミスターシネマです! >トラックバックありがとうございました。 > >監督やリチャード・ギアの犬好きが垣間見えた作品でしたよね。 >特に、ハチと一緒にヤンキースの試合を見るシーンは演技ではなく、素のリチャードに見えました。 > >あと、犬の視点で撮影したカメラワークも良かったですよね! >コンパクトにまとめすぎた印象を持ちますが、結構良い作品だったと思いますね。 > >また僕のブログに遊びに来てください! ----- こちらこそ、ありがとうございます。 「HACHI」は若干コンパクトな作品でしたが、そのコンパクトさが良い方に働いたように感じました。 あくまでもパーカー一家とその周りの人々とハチという小さな関係だけで、変に風呂敷を広げなかったのが個人的には好印象でした。 これからもよろしくお願いします。 (2009.08.24 13:55:45) |
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