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ｍａｓａｌａの辛口映画館

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2009.09.25

映画「ワイルド･スピードＭＡＸ」＠東京厚生年金会館

(5)

テーマ：辛口映画批評(354)

カテゴリ：試写会

　客入りは１階席は７～８割くらいで２階席は未確認。カーアクション映画なので男性客が多い。
　　
　　　

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　　映画の話
　南米に逃亡したすご腕ドライバー、ドミニク（ヴィン・ディーゼル）は恋人レティ（ミシェル・ロドリゲス）とともに輸送車からの強奪を繰り広げていた。一
方、FBI捜査官ブライアン（ポール・ウォーカー）は、麻薬組織のボス“ブラガ”を追い続けていたが、お尋ね者のドミニクが8年ぶりにロサンゼルスに戻っ
て来たという知らせを受ける。

　映画の感想
　これは凄く面白かった！映画会社がタイトルに“ＭＡＸ”と付けただけにオープニングから怒涛のカーアクションで観客のハートをガッチリと握り締める。

　以下ネタばれ注意

　映画はヴィン･ディーゼル演じるドミニク率いる強盗チームが燃料タンクを沢山連結した走行中の大型トレーラーを、ジャックするカーアクションからの幕開けだ。車＆人＆銃といった三者一体となったアクションは普通の作品であったらクライマックスで用意されるものであるが、人気シリーズの４作目という事で映画冒頭に惜しげなく披露してしまう作り手のサービス精神に拍手を送りたい。

　このシーンを見ると明らかに西部劇で見る、荒野を走る幌馬車を狙う強盗団である。乗り物が馬から車に変わったような演出であるが、車ならではのスピード感と道路の地形を生かしたギミックなど文句の付けようの無い素晴らしいオープニングになっている。
　
　映画はシリーズ１作目以来のヴィン･ディーゼルとポール･ウォーカーの共演作であり、１作目の続編のような形になっている。まぁ、２作目はポール･ウォーカー演じる麻薬捜査官・ブライアンの単独主演作であり、３作目は日本を舞台にした番外編であったので、本作は潔い選択といえるだろう。しかし、３作目から主人公の相方を演じたハンが映画冒頭のドミニク強盗団の一員である所が、３作目と本作を監督をしたジャスティン･リンの拘りであろう。

　映画はオープニングにドミニクとブライアン二人の主人公を印象付ける登場シーンからして好感触で、このテンションが最後まで持続している所が良い。ストーリーも至ってシンプルで、大物麻薬組織に恋人を殺されたドミニクの組織への復讐と、組織を撲滅させる為に潜入捜査をするブライアンと言う物語だ。ドミニクの恋人レティを演じるのはシリーズ１作目以来の出演したミシェル・ロドリゲスなのだが、映画冒頭であっという間に物語から消えてしまうのが本作の中で唯一の不満点である。レティを殺された現場の跡地を一瞬にして調査して事故状況を分析してしまうドミニクは交通事故鑑定士のようであるが、台詞で事故状況説明して終わらせずに、映像トリックで見せる演出も上手い。

　映画はカーアクションを売りにした作品だけにものすごいカーアクションが多数用意されている。麻薬組織の運び屋を選別する為に行われるストリートレースに始まり、アメリカからメキシコに不法入国をする為の国境沿いに作られた車一台がギリギリ通れる極細のトンネルを、フルスロットルで車列が爆走するアクションなど見ごたえ十分だ。この極細のトンネルは「スター･ウォーズＥＰ４」＆「ＥＰ６」のデス･スター側面の溝や内部でのスターシップのファイトシーンから影響を受けているように感じる。そして本作は車の走行シーンは変にＣＧを使っていないのが良い。アクションシーンの背景はＣＧであろうが基本の車は実写と言うのが良い。

　映画のキーポイントとなる麻薬組織のドン“ブラガ”のトリックなど脚本も上手く作りこまれており、クライマックスのブラガを拘束したブライアンとドミニクを追う組織の追っての姿も正に西部劇と言った所で、荒野を爆走するチューナップされた車は「マッドマックス」の様でもある。現在公開中の「ドゥームズデイ」のクライマックスも「マッド･マックス」であったし、現在の映画製作者は「マッド･マックス」をリスペクトしているようだ。

　映画のエンディングでのドミニクの選択には意表を付かれるが、最終的にはドミニクをブライアンのチームが・・・・・、と言う思わせぶりな演出もしびれた。映画を見る前は「また３作目のジャステイン・リン監督かよ・・・」と落胆していたが、こんな凄い映画を作ってしまうジャスティン･リン監督の才能を高く評価したい、面白かった！