ｍａｓａｌａの辛口映画館

　客入りは９割くらい。

　
［DVDソフト］ ファイナル・デッドサーキット スタンダード・エディション（通常版）　
　映画の話
　ガールフレンドのロリ（シャンテル・ヴァンサンテン）ら友人たちと訪れていたサーキット場で、レースカーがクラッシュして炎上し、会場が惨劇の舞台になるという予知夢を見たニック（ボビー・カンポ）。周りにいた数名とともにサーキットを離れ、難を逃れたニックたちだったが、死の運命を免れることはできず……。

　映画の感想
　「ファイナル・デスティネーション」シリーズ４作目にして全編フル３Ｄ作品だ。映画の内容は「ファイナル」シリーズの良いとこ取りをした“ベスト・オブ・ベスト”的な作品で、全シリーズ見たコアなファンから見ると、パターン化された死の法則は映画の台詞にも出てくるが「デ・ジャヴ？」と思えるほど新鮮味もなく、これと言った驚きも無いが実に楽しい作品である。まぁ、作り手のコンセプトは「『ファイナル』を３Ｄで撮ったら面白いんじゃないの？」的な安直な発想から企画がスタートしたのかも知れない・・・・。

　以下ネタばれ注意

　映画はいつもどおりにサーキット場のレース中に予知夢を見た主人公が、実際に起こる大惨事から仲間と関係者と共に難を逃れる。しかし「一度悪魔に魅入られた者は予知夢で見た順番どおりに死が訪れる」と言うパターン化したストーリーが展開するスプラッターホラー作品であるが、映画の描き方はとてもいじわるなブラックユーモアを交えた構成なのが本作の特徴である。マニアの目から見ると人の死を全面に打ち出したブラックコメディの様で、私は不謹慎なのかもしれないが上映開始から終了までずぅーっとニヤニヤしっぱなしである。

　本作は死の連鎖を断ち切る為に右往左往する登場人物の姿が描かれる訳だが、その人物の死に方も様々で一撃で死の者もあるが、死の切っ掛けまでが連鎖するからくり装置の様なギミックを使い表現されるのが特徴である。その内訳はほんの些細な動作が１＋２＋３・・・・・と輪をかけてドンドン大きくなり、最終的に人を死に追いやる手の込んだ連鎖を見せるのが特徴的だ。本作の中では美容室シーンの様にからくり装置を使いながらも、最終的には別の一撃と死ぬと言うあわせ技のパターンも出てくる。

　映画はシリーズ４作目という事で派手なスプラッタシーンの連続であり、シリーズが進む度にバージョンアップされている。話もほぼ登場人物内の話で、警察やマスコミが絡んでこないので、これだけ大変な事件の連続なのに盛り上がりに欠けるのが難点であろう。今回は火と水攻めがポイントだった。クライマックスはシネコン大爆破でもう笑うしかない。それも爆発する劇場はシアター“１３”と言う凝り様である。映画の中では１３もあるスクリーンがあるシネコンに更に“６”スクリーンを増設工事中というのも笑ってしまう。それにしてもキリスト教徒が多いアメリカ映画は６と１３と言う不吉な数字を絡ませるのが好きだ。映画はシリーズ１作目をリスペクトしたエンディングだったのもファンとして面白かった。

　３Ｄ効果について
　先日見た「戦慄迷宮３Ｄ」と正反対のこれ見よがしの飛びだし映像の連続が楽しい、絵も明るく色乗りも良く鮮明である。

　日本語吹き替え版について
　本作は日本全国３Ｄ上映と言う事で吹き替え版のみの上映になるのだが日本語キャストが駄目だ。近年のお笑いブームにのっとり主人公の青年の声がココリコ田中である。どう見ても顔より声が老けていて、しゃべっている声がココリコ田中にしか聞こえないし、頭の片隅にココリコ田中の顔がちらついて集中出来ない。もっと酷いのは主人公たちと一緒に難を逃れる自動車整備工の声がしわがれた甲高い男の声と思ったらはるな愛である。台詞回しも滅茶苦茶下手で「酷いなぁ・・・」と思っていたらエンドロールではるな愛と判明した。映画会社としては話題づくりでお笑いタレントを起用しているようだが、観客としてはちっとも嬉しくない。吹き替え版のみの上映であるのならば、尚更ちゃんとプロの声優を主要キャストに使い正々堂々と勝負をして欲しい。



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