|
テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会
客入りは1階席はほぼ満席、2階席は未確認。
![]() 宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック 映画の話 西暦2220年、太陽の300倍の質量を持ち、光をも飲み込む暗黒の天体、移動性ブラックホールが宇宙から地球へと迫っていた。地球連邦政府は、移民船団を組織。サイラム恒星系アマールへの移民を決行するが、謎の大艦隊の攻撃に遭い、船団が壊滅。古代進は移民船団の護衛艦隊司令としてヤマトに乗り込み、大艦隊に戦いを挑む。 映画の感想 今回の完成披露試写会はエンディングをツーバージョン流すという前代未聞の試写会であり、西崎義展監督の迷いがそのまま映画に反映されてしまっているように感じた。まず本作には「宇宙戦艦ヤマト」の原作者・松本零士の名前は無い。本作の監督でプロデューサーの西崎氏と松本零士との長い法廷闘争で西崎プロデューサーの主張が認められた結果でだ。その代わりに原案者として石原慎太郎の名前がクレジットされている、あまりにも無茶苦茶なクレジットに会場の観客も軽くざわつく。 そんな在り得ない状況で作り出された「ヤマト」には松本零士が描いてきたスピリットや宇宙へのロマンは微塵も感じられない。「ヤマト」シリーズは、劇場版「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」の中で、登場人物たちは皆一度死んでしまったが、その後作られる「宇宙戦艦ヤマト2」で復活してパラレルワールド化した。今回はオリジナル版の主人公・古代進が38歳になり、ヒロインの森雪と結婚をして年頃の娘・美雪がいる設定だ。 以下ネタばれ注意 映画は戦闘シーンに重点が置かれ殺伐とした印象でドラマシーンは非常に薄っぺらである。オープニングエピソードを経て、古代進が「ヤマト」の艦長に就任するまで流れは、79年版「スター・トレック」と似ている。それにしても本作はドラマシーンが上手くいっていない。せっかく出した古代の娘・美雪の存在は初めに少し登場するものの、中盤以降は脇に追いやられ殆ど機能していないし、ヤマトのクルーたち皆同じような今時の生意気な若者で個性が無いし、どんなピンチも表情ひとつ変えない古代進の姿には酷く違和感を持った。大体キャラクターの顔立ちが皆、松本零士のDNAを受け継いでいないのも気に入らない。唯一、松本零士のキャラを継続しているのは真田と佐渡先生とアナライザーだけと言うのはオールドファンから不満の声が沸きあがる事が必至であろう。 本作の設定は巨大な敵SUSに日本の「ヤマト」と共にアマール星の人々が挑む構図になるのだが、この構図は西崎監督曰く「本作はSUS=アメリカに挑む日本と中東軍の姿を『ヤマト』の世界に置き換えた描いた」そうだが、その趣旨自体が間違っているように個人的に感じる。誰も「ヤマト」に社会性を求めていないのに、西崎監督は無理やり現在の社会情勢を投影してしまったのが失敗であり、先にも書いたとおりに本作には宇宙へのロマンは微塵も無く、ただ、だだ戦闘に明け暮れている殺伐とした印象しか残らない。 映画は最終的に移動性ブラックホールを回避する為に地球の人々は他の星に移住する訳であるが、人間だけ移住して動物たちは置き去りになったらしい。この辺は地球で暮らす人々たちの葛藤など描けば物語に膨らみが出るが、本作はひたすら「ヤマト」クルーだけしか描かれていない、何とももどかしい。地球に残された動物たちの描写がクライマックスに出てくるが、ちょっと手塚治虫の「ジャングル大帝」の様である。それにしても地球がブラックホールに吸引されかかっていれば、もっと天変地異が起こってもおかしく無いだろうか?地球は平穏そのものである。これではローランド・エメリッヒ監督「2012」の方がリアリティあったぞ! 映画の幕引きに「第一部 完」と言うテロップの登場で、またもや会場の観客から戸惑いの大きなざわめきが起きて終了するが、こんな内容では「第二部」は無いであろう。一体、西崎監督は本作を作り何がしたかったのだろうか?「あの夢をもう一度」的な金儲けの為の安直な発想で本作を制作したのなら顔を洗って出直した方がよい。 ![]() 映画「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」関連商品 ![]() 宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック 交響曲ヤマト2009 ![]() 【SALE】宇宙戦艦ヤマト復活篇 2010年カレンダー【発売中】 ![]() 12月上旬発売 予約受付中!ZIPPO 宇宙戦艦ヤマト復活篇ジッポー No.2正面図版 ![]() 【代引手数料無料】宇宙戦艦ヤマト 復活篇・ZIPPOライター No.1 錨標章【12月上旬発売予定】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[試写会] カテゴリの最新記事
|
|