masalaの辛口映画館

2010/05/14(金)17:54

映画「鉄男 THE BULLET MAN」@京橋テアトル試写室

ブロガー試写会(31)

 「Yahoo!映画ユーザーレビュアー試写会」で鑑賞しました。客席はほぼ満席、映画上映後に塚本晋也監督と観客のティーチインが行われた。   鉄男 TETSUO THE BULLET MAN 完全オリジナル・サウンドトラック盤  映画の話  東京で普通のサラリーマンとして働くアメリカ人男性のアンソニー(エリック・ボジック)は、日本人の妻ゆり子(桃生亜希子)、3歳の息子トムと幸せな生活を送っていた。ある日、最愛の息子が謎の男に殺され、絶望に打ちひしがれる中、怒りに我を失ったアンソニーは体から蒸気と黒いオイルを噴出し、全身が金属化していく。  映画の感想  凄まじい破壊力に圧倒された。試写会当日は本作のプロデューサーが試写室の音響をチューニングしたそうで、通い慣れたテアトル試写室の音響システムが豹変したように、観客に向けて鋭利な刃物の様な大爆音で襲い掛かる。あまりの爆音に試写室の壁とスピーカーのコーンが「ブッブッブッ」と聞き慣れない異音を発しビリついてしまうほどだ。  私は恥ずかしながら「鉄男」シリーズを見るのは初めてだ。薄々どんな作品かは想像していたが、ここまで凄い破壊力を持った作品と思っていなかっただけに、映画を見ている間は心臓はバクバクと脈打ち、たった71分の作品なのに映画を見た後の疲労感は近年まれにない感覚に陥ってしまった。  本作は一応ストーリーはあるが筋を追うのは二の次で圧倒的なビジュアルショックを体感する作品である。物語は謎の男“やつ”に息子を殺された男が悲しみと怒りに身を任せ鉄男に変身する・・・、という変身人間物であるが、塚本監督が描き出すビジュアルコンセプトが秀逸だ。  現在のCG全盛でどんな絵も作れてしまう時代にあえて、塚本監督は手作り感覚のアナログ特撮をフィーチャーして自分の思い描いたイメージを具体化するのに躍起だ。人間の体に鉄の部品が露出するデザインは「エイリアン」のデザインを手がけたH・R・ギーガーとも共通するデザインコンセプトなのだろう。しかし、「鉄男」がギーガーと違う所は、頭部や体など所々から蒸気やオイルが噴出する造型が斬新である。  塚本監督の演出で特徴的な所は“静から動”へのシフトチェンジがもの凄く、動に移った演出は暴走列車の如く止め処も無いパワーの炸裂の連打で「画面に映っている全ての物を破壊するのではないか?」と思わせる破壊の美学が素晴らしい。  監督のビジュアルイメージを具体化する際に大事なポイントは演者の忍耐も本作の要の様に感じた。主役の鉄男を演じたエリック・ボジックは監督の考え出した無茶苦茶なデザインの特殊メイクを装着して怒り狂い暴れる訳であるのだから、相当な精神的ストレスとのせめぎ合いだったことだろう。対する塚本監督自信が演じる“やつ”も相当変なキャラクターであり、“やつ”の存在自体が主人公が見た現実と幻の境界線を彷徨う負のキャラクターの様に見えた。  映画は大音響で音を鳴らせる映画館での上映を念頭に入れたサウンドコンセプトされた作品なので、本作は是非劇場でご覧になる事をお勧めする。「『鉄男』なんか見たことが無い」という初見の観客には相当な覚悟必要な作品であるし、大音響演出連続な作品だけに出来るだけ体調の良い時の鑑賞をお勧めする。  映画「鉄男 THE BULLET MAN」関連商品  【予約】 鉄男 THE BULLET MAN  鉄男 THE BULLET MAN ダイブ(予約:10年5月22日発売予定)【楽ギフ_包装】  完全鉄男  

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