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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会2010
試写会の主権はラジオ日本「イエスタディ・ポップス・ウィズ・シネマダイアリー」さんだ。映画上映前にスポンサー様提供商品の抽選会が行われた。客入りは7~8割くらい。
【送料無料】借りぐらしのアリエッティ サウンドトラック 映画の話 古い家の台所の下に住み、暮らしに必要なものはすべて床の上の人間から借りてくる借りぐらしの小人たち。そんな小人一家の14歳、アリエッティは、好奇心と伸びやかな感性を持つ少女。だが、人間に見られないよう、目立たないよう、つつましさと用心深さを求められる毎日を送っていた。 映画の感想 本作はジブリ作品の中でも小品に当たる作品で、過度な期待をして見に行くと肩透かしを喰らうので注意が必要な作品だ。映画の展開も非常に淡々とした起伏の無い展開と物語の設定上、とても静かなシチュエーションの為に睡魔まで襲ってきてしまう。小人たちは家の住民が寝静まった夜中に活動し、小人たちが住家としている家屋から食料や必要な品を借りてきていると言っているが、映画を見る限り借りた物を返す気なんかまったく無い、何とも図々しい輩であり人間に依存した人々である。 以下ネタばれ注意 映画は病気療養の為に母の育った屋敷に12歳の少年・翔がやって来る事で幕を開ける。たしか同じジブリ作品「千と千尋の神隠し」もこんな風に車で主人公が登場するシーンが幕開けだった。屋敷到着早々、翔は葉っぱの影に小人の姿を目撃する。まぁ、それにしても何ともアンバランス設定である。日本の家屋で登場するキャラクターは日本人なのに、床下で暮らす小人たちは西洋人という無理やりな設定がどうも私は気に入らない。元々、イギリスの作家メアリー・ノートン原作「床下の小人たち」がイギリスが舞台なのだから、そのままイギリス舞台でもおかしくない作品を無理やり設定変更をした違和感は拭えない。 映画は床下で暮らすアリエッテイ一家を中心に描かれてゆく訳だが、アリエッティと言うキャラクターは実にジブリらしいキャラクターだ。冒険心が強く活発で凛とした少女像は正にジブリ作品のDNAを継承されたキャラクターであろう。寡黙な父親像もジブリ作品らしい。そんな中、イライラさせるのがアリエッティの母だ。心配性でオーバーリアクションの母親を見ているとイライラ感が募る。それも母親の声を吹き替えているのが大竹しのぶなのも頂けない。彼女が喋ると自動的に大竹しのぶのオーバーアクトを思い出してしまい、私のイライラが増してしまう。それにしても何故ジブリはプロの声優を使わないのだろうか? 本作の主要ボイスキャストは全て俳優がキャラクターの声をあてている。大竹しのぶと同じように屋敷の家政婦ハルの吹き替えを樹木希林があてているが、これも個人的にはミスキャストに感じた。ハルが喋るとこれまた樹木希林の顔を同時に思い出してしまうのは映画としてどうなんだ?ジブリ作品はそんな人間の深層心理を全く理解していないとしか思えない。私はアニメファンではないので、その辺の事情は不明であるが観客に無駄な詮索や思考を与えてしまう位ならプロの声優を使うべきだ。 まぁ、本作の絵は非常綺麗でジブリ作品のクォリティは十分クリアしているし、音響デザインが非常に優れている。音に関しては近年のアニメ作品でここまで気を使った作品はないであろう。特に深夜に家屋の中を徘徊するアリエッテイと父の冒険の様なシークエンスでは、小人たちが聞いた物音が観客の聴覚に再現されている。静まり返った家屋の中で何か得体の知れない重低音が鳴り響いていたり、様々な物音が非常に重々しくチューニングされているのはオーディオマニアとして感心したし、アリエッティの家の屋根がはがされる凄まじい音には思わず身をよじってしまった。後半の翔の着ているワイシャツの衣擦れ音までアリエッティの聞いた音で再現しているのには感服した。 映画は小人の家族はアリエッティ一家だけと思われていたが、突然もう一人原始少年みたいなスピラーが登場する。彼のキャラは確実にジブリキャラそのもので宮崎駿が監督した「未来少年コナン」に登場するジムシーの末裔の様で、きっとスピラーは宮崎作品をリスペクトしたキャラクターなのだろう。映画の幕引きは非常にアッサリとした物で、小人たちは結局借りた物は返さずに一部の品物は引越しと共に持っていってしまった、何ともご都合主義的な一家である。 まぁ、それにしてもジブリ作品と言う事で期待し過ぎた私が悪いのか?映画の満足度は非常に低い。本作で唯一悪者となるハルのキャラクターがもっと極悪であれば緊張感が生まれたのかもしれない。映画と言うものは演出家のサジ加減が重要である。今回のサジ加減ではまだまだ物足りなさを感じてしまった。ふと「これを宮崎駿が演出していれば?」って感慨にふけってしまった、いけない、いけない・・・・。 映画「借りぐらしのアリエッティ」関連商品 ◆メール便は送料無料◆セシル・コルベル/Arrietty's Song [借りぐらしのアリエッティ -主題歌-] 【オリコンチャート調査店】 ■2010/4/7発売■ YCCW-30024 【ジブリがいっぱい】借りぐらしのアリエッティー ぬいぐるみ ニーヤM 床下の小人たち新版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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今日はFSで『エアベンダー』。
ヤクルトの前を横目で見て、「アリエッティじゃん」って思ってました(笑) こちらもいろんな人に会ったわよ^^ masalaさんのレビュー読んでないけど、これ今一つっていうご意見多しですが・・・ どーでした? (2010.07.09 23:02:05)
う~ん、かなりアッサリとした作品でした。
誰もがジブリ作品と聞き、ハードルが上がった状態で映画を見てしまうのが良くないのですが、淡々とした起伏の無い展開には正直眠くなりました。 過度な期待をしないで見る事をお勧めします。 ところで「エアベンダー」は如何でした? (2010.07.09 23:17:57)
>過度な期待をしないで見る事をお勧めします。
↑ まさに。 いいはいいんだけど、つっこみポイントもありまくりのような。。 スラムドックに出てきた、デーブ・パテルくんがよかったね。 (2010.07.10 08:01:53)
まぁ、シャマラン作品なので期待はしていませんが、前作「ハプニング」が意外にも50年代SF風の見せない恐怖を上手く演出していたので若干評価を持ち直した所で、今度はシャマラン初のエンタメ作品になるのかな?
機会があったら見てみます。 (2010.07.10 12:58:05)
ジブリ作品が苦手と言うと
可愛らしさに欠けると思われるのでは?と 年甲斐ながら不安を感じます。w どーせ素足で女の子が全力で走っていたり 強いんだから、私負けないわ!的な絵面なのでしょう?と お恥ずかしながら、歪んだ先入観を持っているのです。 いつもながら無差別選択?で映画を見倒していらっしゃる masalaさんには敬服します。(*^^)v (2010.07.10 15:30:31)
正に本作はカトリーヌさんがご指摘するとおりの少女が主人公です。
主人公のキャラ設定は完全に宮崎監督の趣味なのでしょう。 私は基本的に「来るもの拒まず」精神で映画を見ていますので「きな子」でも「アリエッティ」でも、何でもドーんと来いです(笑)。 (2010.07.10 15:51:27)
お返しTB試みたのですが、この所楽天ブログにTB送信が効かず、やはり今回も反映しないようですので、記事URL張ってコメントにてで失礼します。
このモチーフの小人達は、モノを借りる、という表現になってても、後で返す、というより、一方的にですが、家の人間とモノを共有=共存感覚で、基本的に、人間を恐れはしても敬意は払ってない、という性質かと思われました。 そこら辺、人の形もしてるし、身勝手な感じかもしれないですが、人間のおこぼれで細々と暮らす彼らを、ジブリ側が、元々は自然の営みを借りて暮らしていた人間が、逆に侵食してきた自然界の化身、として、ややシニカルさも込めて取り上げてアレンジ、と思ったら、そう違和感なかったです。 予想よりこじんまりしたジブリ新作でしたが、それも味というか良かったです。 <small> <a href=" http://autumnnew.exblog.jp/10969169" ; target="_blank"> http://autumnnew.exblog.jp/10969169< ;/a></small> <Something Impressive(KYOKO3)> (2010.07.19 17:34:25)
TBの件、了解です。
なんか、この手の映画は難しいです。 小人たちの行為が善意で見るとMIEKOさんのような見方も出来るし、私のようなへそ曲がりが見れば悪意にも写る。 「借りる」と言う言葉が、私はどうも本作には合わなかった様に感じました。 「借りる」と言う行為は双方の承諾ゆえに成り立つ事を、小人たちは自分達の勝手な解釈で拝借しているだけなのに、本人たちは堂々と「借りている」と思っている所に違和感を持ちました。 (2010.07.19 17:50:56)
今コメント欄に、記事URLをそのまま張ったのですが、何故か自動的に、無効なリンクになってるので、字体を変えて再度張ってみます。
http:autumnnew.exblog.jp/10969169 (2010.07.19 17:52:02)
再度すみません、字体を変えてみたら、無効リンクにはならなかったのですが、httpの後//を入れ忘れたので、訂正しておこうかと思います。
欄でコメントの返答頂いてたので、それについてですが、当初私も、記事内にも書いたように実質「借りる」でなく「盗む」では?と思ったのですが、 原作での少年とアリエッティとの会話や、作品公式サイトで、「人間も動物も植物も所有できるものなどこの世にありはしない。全て自然の営みを借りて生活していました。」という所の”借りて”という表現を見たり等で、私なりに納得、という所でした。そういうものにしても、受け取り方は人様々、とは思うのですけれど。少し追記しました。 http://autumnnew.exblog.jp/10969169 (2010.07.19 18:23:56)
う~ん、更に難しい。
脚本を担当した宮崎駿はMIEKOさんが指摘するように、地球規模の借りぐらしを物語の中に想定していたのかもしれません。 しかし、映画を見る限り演出家の力量不足なのか、隠喩的な表現にとどまっていたので、私のような凡人には映画からメッセージを読み取る事は出来ませんでした。 (2010.07.22 13:40:15) |
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