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ブロガー試写会

2010.09.20
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カテゴリ:ブロガー試写会
 客入りはほぼ満席、客年齢は高い。今回は「yahoo!映画」ユーザーレビュアーとして招かれました。
   
   
十三人の刺客 オリジナル・サウンドトラック

 映画の話
 幕府の権力をわが物にするため、罪なき民衆に不条理な殺りくを繰り返す暴君・松平斉韶(稲垣吾郎)を暗殺するため、島田新左衛門(役所広司)の下に13人の刺客が集結する。斉韶のもとには新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛(市村正親)ら総勢300人超の武士が鉄壁の布陣を敷いていたが、新左衛門には秘策があった。

 映画の感想
 素晴らしい作品だ。ある意味、三池崇史監督の到達点といえる作品だ。三池監督が時代劇を演出するのは02年の「SABU~さぶ~」以来なのかな?映画を見る前は些か不安があったが、映画が幕を開けて直ぐに、その不安は吹き飛ぶ位にしっかりと腰をすえた世界観に、あっという間に映画の世界に引き込まれた。ただ、本作は注意が必要だ。映画にはタイトル以外のスタッフ&キャストのテロップが出ないので、事前にキャストの名前は把握した方が良いだろう。御馴染みの俳優達が大挙して出演しているが、男優はまげに揃いの着物姿だったり、女優も眉毛なしの白塗りだったりで、誰が誰だか判り辛いのが難点だ。私の様に予備知識なしで映画を見る観客には、エンドロールを見て後から「あ~っ、あの人が演じていたんだ・・・」と判る次第である。オリジナル版は未見です。

 以下ネタばれ注意

 映画は暴君となった藩主に対して抗議の自殺をする家老の姿が映し出される。ただごとでは無い状況を観客にアピールする力強い幕開けだ。暴君となった藩主・松平斉韶を演じるのはSMAPの稲垣吾郎だ。映画冒頭では稲垣と気づかない位の傍若無人ぶりが凄い。よく稲垣がこの汚れ役を引き受け演じきったものだ。映画はしばらく薄暗い屋敷の中で斉韶が行った悪行が次々と明かされ観客は凍りつく、斉韶の徹底した悪行を見せ付ける監督の演出が冴える。このままでは国存亡関わると幕府から隠密に斉韶の暗殺が役所広司演じる島田に命じられる。

 島田が斉韶暗殺の為に刺客が集められるが、この辺の件は黒澤明監督「七人の侍」や、そのリメイクとなるアメリカ映画「荒野の七人」と共通するもので、島田が丁度「七人の侍」の志村喬あり、「荒野の七人」のユル・ブリンナーの様な役回りだ。刺客でフィーチャーされるのが剣術の腕が長けた浪人を演じた伊原剛志だ。ジャパンアクションクラブ出身の伊原にとって本作の浪人役は“水を得た魚”的な役柄で、大柄の体に切れの良い殺陣が決まる。そして「クローズZERO」シリーズに引き続き三池作品で主役を張るのが島田の甥を演じた山田孝之だ。彼を筆頭にこれからの日本映画を担う若手が刺客として出演している。高岡蒼甫、石垣拓磨、波岡一喜らに加え、途中参入してくる山の民を演じた伊勢谷友介が異彩を放ちまくるキャラを演じている。彼のキャラは本作の中で一番三池作品らしいキャラで、彼の存在が緊張する物語の中でガス抜きとなる。

 刺客集めに続いて、斉韶の道中で帰国に立ち寄ると思われる落合宿を丸ごと買い叩き、要塞化して罠を仕込み斉韶暗殺計画が実行されるクライマックスの50分が凄まじい。宿屋に着いて、まず斉韶の側近・半兵衛が下見に行くと女子供が日常生活を送るのどかな日常が目に入るが、それは島田が仕掛けたトリックだ。まんまと島田の罠にはまった斉韶とその部下たちは要塞と化した落合宿に足を踏み入れてしまう。この島田が仕掛けたトリックは本作でも秀逸なシーンで、嵐の前の静けさを上手く現した描写であり三池監督のセンスが光る。

 13人の刺客に対して敵は300人超の戦は、鳥肌が立ち、目頭が熱くなる位に大迫力の連続である。橋の爆破に始まり、宿屋の爆破、火のついた牛の暴走、刺客たちは宿屋の屋根から弓矢で敵を狙い撃ちにして次々と侍を仕留めてゆく。刺客側圧倒的有利と思われた戦は、斉韶にもてあそばれ四肢と舌を切り落とされた女性が書いた「みなごろし」の文字を合図に刀を使った剣劇に変わり、多勢に無勢状態の刺客の劣勢状態に陥り、土と泥と血まみれの刺客たちは体力の限界となり次々と命を落とす。

 刺客の死に様も様々だ。切り殺される者、刺し殺される者、爆死など刺客一人一人の死に様が丁寧に描かれる中、伊原剛志の死に様は壮絶だ。刀を失い道に落ちていた石を拾い相手を撲殺する描写が、死に際になった仲間の刺客の視線で描かれる。地面に横たわる刺客の視線を再現する為にカメラも横に倒れローアングルから対象者を捉える。横長のシネスコスクリーンを横向きに撮影したフィルムは丁度70年代東映実録ヤクザ物を見るようであり、オマージュかもしれない。オマージュと言えば東映時代劇や実録ヤクザものに数々出演してきた松方弘樹も素晴らしい殺陣を披露している。やはり本作は東宝作品であるが三池監督の中には昔見た東映作品のDNAが受け継がれているのだろう。

 壮絶なラストまで緊張の糸は一瞬も途切れない。最後の最後にあの人が生きていたのは腑に落ちないが、時代劇が苦手な私が見てもエキサイティングな描写の連続には素直に拍手を送りたい。90年代からビデオ作品を中心に活動していた三池監督が、数々のメジャー作品を監督している内にここまで凄い作品を監督する人物になっていたとは正直驚いた。本作は万人にお勧めできるエンタメ作品に仕上がっているし、映画ファンであれば見て損は無い作品である。

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十三人の刺客

 
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Last updated  2010.09.27 00:18:53
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2010.09.01
カテゴリ:ブロガー試写会
 今回はyahoo!映画ユーザーレビュアーとして試写会に招かれました。客入りは女性客を中心に9割くらい。

   
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 映画の話
 若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。

 映画の感想
 これは酷い。犯罪加害者と被害者を平等に描かず、映画は完全に加害者側に肩入れをして、加害者を美化し、被害者を悪者にする構図を作り出す倫理観が許せない。論点も犯罪を愛にすり替え犯罪と向き合おうとしない姿勢が気に入らない。題材も非常によく、出演者の演技も皆上手い、何でこんな映画になってしまったのだろうか?2時間19分の上映時間がここまで居心地の悪い作品も珍しい。私は原作を未読の為に、映画が原作のどの部分をピックアップして、どの部分を切り捨てたのかが不明であるが、映画を見るだけだと加害者と被害者の描写バランスが非常に悪い。

 映画の幕開けは非常に良い。闇夜に獲物を物色するかのごとく車の運転者目線の車載カメラが不気味であり、低いエンジン音をうならせ闇夜に白く浮かび上がるスポーツタイプのスカイラインを見ていると、古い東宝映画「ヘアピンサーカス」(72年)に登場するトヨタ2000GTを思い出してしまう。映画はしばし加害者と被害者の日常が描かれ、映画の軸となる事件へと向かう。

   以下ネタばれ注意

 まず、本作のスタートラインが出会い系サイトで出会った男女と言う、実も蓋も無い登場人物に感情移入出来ないのが駄目だ。その為に満島ひかり演じる被害者が自業自得の様に描かれているのに違和感を持った。事件の趣旨としては70年代に起こった“大久保清事件”を思い出してしまった。スポーツカーを乗り回し、芸術家を装いナンパした女性をレイプした後に殺害遺棄した事件と似ている。特に被害者が加害者に向けて「私の知り合いには弁護士がいる、レイプされたと訴えてやる」と言う発言に加害者が激高して殺害に至る辺りは大久保清事件とよく似ている。しかし、本作は殺害した被害者を遺棄するシーンが無い。とても重要なシーンであり、加害者の心理を掘り下げるのには絶好のシーンであると思うのだが、本作は一環して加害者を美化しているので、この手の汚れ演技を妻夫木聡に演じさせていないのは致命傷だろう。

 本作は加害者を美化する為に悪者を用意する必要があった。その悪者が岡田将生演じる金持ち大学生だ。女を物の様に扱い気に入らなければ山道に捨ててしまう極悪男に仕立て上げ、自分が事件の発端を作ったのに被害者家族を笑い飛ばす、今時の若者像代表の様に描かれているのにも違和感を持った。大体、本作の警察も何をやっているのだろう?被害者の父親にも叱咤されていたが、逃亡した指名手配犯を捕まえようとしている気配も見えない。警察がどの様にして加害者にたどり着いたのかも描かれず、たまたま加害者の自宅に掛かってきた電話で犯人と確信したという描写だけでは納得できない。ちゃんと事件を追う警察の動きも克明に描く必要があったと思う。

 事件にたかる報道の描き方も釈然としない。何故か報道は加害者側だけに集まっていたが、本来ワイドショーを見ていると必ず被害者側にもマスコミが殺到しているはずである。しかし本作は加害者側だけに集まり、さも、罪の無い加害者祖母をマスコミがいじめているように描き、マスコミを悪者にして加害者家族を良い者にしようとしてる構図が透けて見えてくる。仕舞いにはバスの運転手までも「ばぁちゃんは悪くない」なんて言い出す始末である。完全に映画が加害者家族側を美化しているようにしか見えない。更に映画は「祖母も被害者だ」と言わんばかりに、松尾スズキ演じる詐欺師が行う催眠商法詐欺被害者として取って付けたようなエピソードを挿入してるが話の顛末は無い。

 映画は徹底して加害者と出会い系サイトで知りあった深津絵里演じる光代の逃避行に焦点が絞られる訳であるが、光代と言う女もかなりヤバイキャラである。自首しようとする加害者を引き止めたり、一度は警察に保護されたのに脱走して加害者の元に戻ったりで、事件をドンドン悪い方向に導いた張本人なのに「愛の力がそうさせたんだ」と言う美化演出も気に入らない。大体、光代が一度妹の元に電話を掛けると、妹が「お姉ちゃんが失踪して大変な事になっている」と電話口で発言しているが、そのシーン描写が必要である。同じように加害者の母も実家に戻り祖母に「息子のせいで迷惑している」見たいな台詞があったが、加害者の母が迷惑と思ったシーンも描くべきである。本作は台詞で言って誤魔化すシーンが多く、台詞が絵空事の様になってしまっているのが駄目だ。加害者と光代の濃厚なSEXシーンに時間を費やすのであれば、こういった細かいディティールを描けば映画として深みが出ると思う。

 まぁ、散々駄目だしをしたが、ひとつだけ好きなシーンがある。加害者が光代に犯行を打ち明けるシーンで、活きたままさばかれテーブルに出されたイカの刺身の目玉にカメラが寄り、事件当夜の回想に移るシーンは秀逸だ。刺身になっても動いていてるイカの姿を見た加害者が生への執着を感じたのだろう。私はたまたま本作を見る前日に、犯罪被害者家族の加害者に対する終わり無き憎しみを描いた力作「ヘヴンズストーリー」を見てしまったのがまずかったのだろう。本作の加害者と光代の愛だの恋だの訳の判らない理由をつけた逃避行にはウンザリしてしまった。良い題材だけに着眼点を変える事で力作になったテーマだっただけに、真摯に事件と向き合わない本作の姿勢には異論を唱えたい。

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Last updated  2010.09.13 13:10:53
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2010.08.21
カテゴリ:ブロガー試写会
 試写会の主権はyahoo!映画さん、客入りはほぼ満席。映画上映終了後に荻上直子監督と観客のティーチインが行われた。


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    映画の話
 プラモデルオタクのレイ、引きこもりピアニストのモーリー、エアギターを生きがいとする女子大生リサの3兄妹は、お互いに干渉せず、それぞれマイペースに暮らしていた。しかし、母親の死をきっかけに家にやってきたナゾの祖母“ばーちゃん”との交流により、家族のきずなを取り戻していく。

 映画の感想
 まず本作の設定ははカナダで暮らす孫3人の前に、母の死をきっかけに日本人の祖母“ばーちゃん”がやって来て、孫3人とばーちゃんの奇妙な共同生活が始まる・・・、といった物語であるが、どう見ても外国人の孫3人とばーちゃんが家族に見えないという設定は映画としてどうなんだろう?荻上監督曰く「もたいさんがいなければ、この映画は成り立たない」とまで発言しているのだけれど、私は逆にその荻上監督の固定観念が映画をダメにしているように感じる。

 どう見ても人種の違う俳優たちを集めて“家族”と観客に押し付けるのはあまりにも乱暴だ。監督がもたいまさこを中心にキャスティングしたいのなら、孫役は日系俳優を使うべきであり、別にロケ地をカナダにしなくっても同じ話を日本でも出来たはずである。どうも監督はロケ地を海外にして、駄目な映画を雰囲気で誤魔化し煙に撒いているにしか私には見えない。

   以下ネタばれ注意

 物語もとりたてて「これはっ!」と言う目新しさも無く、何処かで見たような老人と若者が心を通わす内に前向きに歩き出す、みたいなありがちな物語で正直退屈極まりない。そしてばーちゃんをはじめ孫3人、どいつもこいつも妙に癖のあるキャラクター設定で、誰一人感情移入出来ないのは映画として致命傷であろう。特にもたいまさこ演じるばーちゃんは何を考えているのかサッパリ判らない。孫たちの家に引っ越して来てから一言も言葉を発せず自分の部屋に引きこもり状態のばーちゃんは、エアギター好きなのか?孫を理解する為なのか?エアギターのビデオをいつも見ている。エアギターも「今更?」的な旬なネタで無いのも痛い。

 孫とのコンタクトを全く取らないばーちゃんであるが「ここはっ」と言う瞬間になるとしたり顔でノコノコ現れて孫に気を使う。私の一番嫌いな偽善的設定にイライラは募る。ばーちゃんのバックボーンは全く描かれないが、ばーちゃんは相当な金持ちらしい。ばーちゃんの財布にはゴッソリと札束が入っており、孫たちの金銭要求にはすんなりと大金を渡してしまう。まったく私にはこのばーちゃんと言う人物像が見えてこない。ただ物をしゃべらない不気味な老人にしか見えないって言うか、大体もたいまさこではばーちゃんと呼ぶには若すぎないか?

 本作のポイントとなるのは朝、ばーちゃんのトイレ後のため息問題なのだが、その理由が「まさかっ!」某日本企業の商品とのタイアップとエンドロールで判った瞬間に絶句してしまった。本作の表の姿はいかにも海外を舞台にした小洒落たドラマを装っているが、裏の姿は某日本企業商品とタイアップしたあざといトンデモ作品である。荻上監督も「かもめ食堂」の成功で海外舞台作品で調子に乗っているようだが、日本人監督であるのだから本国日本を舞台にした作品で勝負するべきである。

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Last updated  2011.04.17 13:34:09
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2010.06.18
カテゴリ:ブロガー試写会
 今回は約40名ほどのブロガーが集められたブロガー試写会だ、客席はほぼ満席。
 
 
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 映画の話
 人工臓器により長寿が可能になった近未来、高額ローンの返済が滞るとレポ・メンと呼ばれる臓器回収人が強制的に人工臓器を取り立てていた。レミー(ジュード・ロウ)は腕利きのレポ・メンとして恐れられていたが、ある出来事によって人工心臓を埋め込まれてしまう。多額の借金を背負い追われる身になった彼は、謎の女性債務者ベス(アリシー・ブラガ)と出会う。

 映画の感想
 まず本作は「ジュード・ロウ主演作だから」なんて軽い気持ちで見に行くと痛い目にあうので注意が必要だ。本作は高額なローンで人工臓器を体に埋め込んだ債務者に対して、ローン返済不可能になった時点で強制的に人工臓器を回収する“レポ・メン”を主人公にした作品だけに、スプラッター描写が満載で、ナイフで体が切り裂かれ血が吹き出たりする描写が多々あるので、その手の描写が苦手な方は敬遠したほうが良い。尚、今回は映画会社様から“ネタばれ禁止令”が発令された為にザックリとしたレビューになります。それから原題が「REPO MEN」であるが84年製作の「レポマン」とは関係ないらしい。

 映画の時代設定は“今から20年後の世界”と言う事で、限りなく現在に近い時代設定で「ブレードランナー」(こちらの時代設定は2019年)を更に現代風にした感じで車や電化製品はほぼ現代と同じである。人工臓器を売買するユニオン社。表向きは優良企業を装っっているが、裏では延滞債務者から強制的に人工臓器を回収している悪徳企業である。社長を演じるのはスーツ姿が凛々しい「X-MEN ZERO」のリーヴ・シュレイバーだ。彼の下で働く腕利きレポ・メンを演じるのがジュード・ロウフォレスト・ウィッテカーだ。

 映画には数々の臓器回収シーンが出てくる。電気ショックを与え気絶状態の延滞債務者の有無を聞かずに体をナイフで切り裂き人工臓器を取り出すシーンは実にグロい。現在公開中「孤高のメス」の主人公が執刀する手術シーンとは真逆の荒々しい回収シーンは実に刺激的だ。無造作にナイフで皮膚を切り強引に臓器を取り出し、ナイフで切り裂いた傷口はムース状の接着剤で塞ぐだけの簡易的なもので、債務者は皆絶命してしまうのだろう。回収した臓器の部位や数でレポ・メンの地位や名誉が上がる設定は何ともブラックな設定である。そんな主人公がある事件で自らも人工心臓を埋め込む事で物語は意外な方向に進みだす。ここから先はネタばれになるので割愛しますが、ちょっとだけ書かせていただきます。

 以下、映画鑑賞後にお読みください。
 (大事な部分は白抜き反転文字で書いていあります。)

 映画は近未来を舞台にしながらとてもブラックであり、そこにスプラッターやアクションが同居している作風は私の好みな作品である。映画後半のジュード・ロウのアクションはかなりスケールは小さいがカート・ウィマー監督「リベリオン」「ウルトラ・ヴァイオレット」で描いてきたガン=カタを更にハードにしたナイフ版みたいな凄まじいアクションは必見である。映画の着地点はほぼ「トータルリコール」と同じだ。映画後半の白い空間を多様した美術デザインや白い暗転はSFでは暗黙のルールがあり、夢や非現実やバーチャル空間を表現している事が多い。私も途中から「もしやこれは?」と思っていたオチで「なるほど!」と、SFファンとして妙に納得してしまった。なかなか面白い作品であるが唯一難点を挙げるとヒロインに華が無いことであろう。

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Last updated  2010.10.14 00:48:19
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2010.05.27
カテゴリ:ブロガー試写会
 客入りはほぼ満席、女性客が多い。
  
   
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 映画の話
 とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)が静かに語り出す。「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」教室内は一瞬にして静まりかえり、この衝撃的な告白から物語は始まっていく……。

 映画の感想
 衝撃的な物語を圧倒的な映像力と構成力で観客の度肝を抜くミステリーの傑作である。映画は色彩を落とし色温度を高めた陰影の強い独特の映像が、何か不穏な空気をかもし出しながら、観客を映画の世界に招き入れる。映画は事件に関係した登場人物の独白形式を用いて事件の内容と真実が明らかになる。

 映画は観客に様々なキーワードを投げかける。少年犯罪、殺人、少年法、いじめ、学級崩壊、不登校、シングルマザー、HIV、復讐など、現在社会問題となっているネガティブなキーワードが物語を牽引して中島哲也監督独特の映像表現と相まって、まるで107分間の悪夢を見ているような錯覚に陥ってしまう。

   以下ネタばれ注意

 映画は冒頭から異例づくしで幕を開ける。学園物なのに異様に暗い教室内には終業式を向かえハイテンションな生徒たちとは対象的に、生徒を無視するように感情を押し殺した声で淡々とホームルームの授業をする担任教師・森口が映し出される。牛乳の栄養について語っていた教師の話は自身の退職報告に変わり、学校内で起きた愛娘の事故死事件へと移り、愛娘への思いと出生の秘密が語られ、話の外堀を埋めた形の教師は核心へと迫る。


 本作のポイントはまず確信犯的なキャスティングにある。お嬢様や善人的なイメージを持つ松たか子にヒールを演じさせている。本作は彼女に対する観客のイメージを映画冒頭で破壊させ、更に物語を牽引する主役と思っていた松を早々と物語からカットアウトさせてしまう。物語から姿を消した松を残して映画は登場人物のモノローグという形式を使い、次の語り部へと引き継がれ展開し、過去と現在を交差させながら事件の核心に迫りながら最終地点へと展開して行く。

 困惑する観客をよそに映画はあえて観客の神経を逆撫でするような人物を投入する。生徒を下の名前で呼び自分事を“ウェルテル”と呼ばせる熱血KY教師である。彼の登場で映画はあらぬ方向に進みだし、独白は事件に関連した当事者に移り進み、事件の全体像と真実が見えてくる構成が秀逸である。

 本作のポイントは事件の加害者が中学生と言う事だ。森口は彼らの幼稚な知識や偏見を逆手に取り、周りの人物をコントロールして、自分の手を汚さすに少年法で守られた加害者に復讐を遂げる、それも自分が最愛の娘を失ったように加害者にも最愛の相手を失わせる。映画の中で随所に挿入される空模様は森口の心情とリンクしているようだ。映画冒頭はどんよりとした鉛色の厚い雲に覆われ、自分達が置かれた状態から逃避するようにはしゃぐ生徒たちに一喝入れるような雷雨、映画後半には森口の感情がピークに達するとどしゃ降りの雨へと変わる。

 本作は中島監督は自身が持つ独特の映像テクニックをフル活用した映像が素晴らしい。特に監督が以前サッポロビールのCMでも使用したスーパースローモーション技術を活用した映像が映画に独自のリズム感をかもし出す。シャボン玉が弾ける瞬間や、水しぶきが上がる、中身の入った牛乳パックがぶつかる、物が落下する、爆発する映像など様々な映像が観客の脳裏に引きつく事になる。それから過去の出来事には色焼けてしまった8mmフィルム風映像の使い方も効果的である。近年、物事を台詞で語り映像を割愛する監督が多い中、細かい出来事の殆どを映像で饒舌に表現した日本映画も珍しく、CM界で培ったディティールに拘った中島演出の真骨頂の様に感じた。

 本作は少年法で守られた少年の犯した犯罪に真正面から描きながら、若年層の少年少女の危うい精神バランスと残酷性も見事に描かれている。自分より弱い相手を見つけて、いたぶり相手より優位に立とうとする愚かな行為であったり、自分を正当化するために相手を悪者にする輩や、ネガティブな事から現実逃避するようにわざと明るく振舞う集団心理など、映画を見ていて恐くなるくらいにリアルな演出が映画の世界観に現実味を与えている。

 ここまでネガティブな学園物は深作欣二監督「バトル・ロワイアル」以来であろうか?映画を見ていて集団でパニックに陥る生徒たちの姿を見ていて「ふと」思いだしてしまった。今年見た邦画の中でも一番の衝撃的な作品であり指折りの作品である事は間違いない。

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Last updated  2011.01.18 14:01:02
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2010.05.14
カテゴリ:ブロガー試写会
 「Yahoo!映画ユーザーレビュアー試写会」で鑑賞しました。客席はほぼ満席、映画上映後に塚本晋也監督と観客のティーチインが行われた。

  
鉄男 TETSUO THE BULLET MAN 完全オリジナル・サウンドトラック盤
 映画の話
 東京で普通のサラリーマンとして働くアメリカ人男性のアンソニー(エリック・ボジック)は、日本人の妻ゆり子(桃生亜希子)、3歳の息子トムと幸せな生活を送っていた。ある日、最愛の息子が謎の男に殺され、絶望に打ちひしがれる中、怒りに我を失ったアンソニーは体から蒸気と黒いオイルを噴出し、全身が金属化していく。

 映画の感想
 凄まじい破壊力に圧倒された。試写会当日は本作のプロデューサーが試写室の音響をチューニングしたそうで、通い慣れたテアトル試写室の音響システムが豹変したように、観客に向けて鋭利な刃物の様な大爆音で襲い掛かる。あまりの爆音に試写室の壁とスピーカーのコーンが「ブッブッブッ」と聞き慣れない異音を発しビリついてしまうほどだ。

 私は恥ずかしながら「鉄男」シリーズを見るのは初めてだ。薄々どんな作品かは想像していたが、ここまで凄い破壊力を持った作品と思っていなかっただけに、映画を見ている間は心臓はバクバクと脈打ち、たった71分の作品なのに映画を見た後の疲労感は近年まれにない感覚に陥ってしまった。

 本作は一応ストーリーはあるが筋を追うのは二の次で圧倒的なビジュアルショックを体感する作品である。物語は謎の男“やつ”に息子を殺された男が悲しみと怒りに身を任せ鉄男に変身する・・・、という変身人間物であるが、塚本監督が描き出すビジュアルコンセプトが秀逸だ。

 現在のCG全盛でどんな絵も作れてしまう時代にあえて、塚本監督は手作り感覚のアナログ特撮をフィーチャーして自分の思い描いたイメージを具体化するのに躍起だ。人間の体に鉄の部品が露出するデザインは「エイリアン」のデザインを手がけたH・R・ギーガーとも共通するデザインコンセプトなのだろう。しかし、「鉄男」がギーガーと違う所は、頭部や体など所々から蒸気やオイルが噴出する造型が斬新である。

 塚本監督の演出で特徴的な所は“静から動”へのシフトチェンジがもの凄く、動に移った演出は暴走列車の如く止め処も無いパワーの炸裂の連打で「画面に映っている全ての物を破壊するのではないか?」と思わせる破壊の美学が素晴らしい。

 監督のビジュアルイメージを具体化する際に大事なポイントは演者の忍耐も本作の要の様に感じた。主役の鉄男を演じたエリック・ボジックは監督の考え出した無茶苦茶なデザインの特殊メイクを装着して怒り狂い暴れる訳であるのだから、相当な精神的ストレスとのせめぎ合いだったことだろう。対する塚本監督自信が演じる“やつ”も相当変なキャラクターであり、“やつ”の存在自体が主人公が見た現実と幻の境界線を彷徨う負のキャラクターの様に見えた。

 映画は大音響で音を鳴らせる映画館での上映を念頭に入れたサウンドコンセプトされた作品なので、本作は是非劇場でご覧になる事をお勧めする。「『鉄男』なんか見たことが無い」という初見の観客には相当な覚悟必要な作品であるし、大音響演出連続な作品だけに出来るだけ体調の良い時の鑑賞をお勧めする。

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Last updated  2010.05.14 17:54:31
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2010.01.25
カテゴリ:ブロガー試写会
当日はyahoo!映画ユーザーレビュアー試写会と言う事で、上映終了後に富永まい監督を招いて観客とのティーチインが行われた。客席は満席、座れないお客さんは補助椅子で鑑賞していました。

 
食堂かたつむり スタンダード・エディション

 映画の話
 倫子(柴咲コウ)がアルバイト先の料理店から戻ると同棲(どうせい)中のインド人の恋人の姿はどこにもなく、部屋は空っぽだった。彼女はあまりのショックで声が出なくなり、スナックを営む折り合いの悪い母親ルリコ(余貴美子)のもとに戻るしか選択肢は残されていなかった。倫子は自活するためにも、実家の物置を利用して小さな食堂を開くことにする。

 映画の感想
 富永まい監督作品は初めて鑑賞したが、アニメーションやCGを駆使した絵作りはCM監督時代に授かったセンスなのだろう。映画は主人公・倫子の生い立ちがアニメーションを使いミュージカル仕立てで説明されるが、映画冒頭から意表をついた出足で若干面食らってしまった。ノリとしては同じCM監督出身の中島哲也監督の「嫌われ松子の一生」なんかに類似するが、中島監督に比べると濃度は非常に薄い。

 以下ネタばれ注意

 映画は失恋のショックで失語症になった倫子が、母の暮らす田舎に帰郷する所から幕を開ける。舞台となる田舎には母性の象徴の様な“おっぱい山”と呼ばれる、女性のおっぱいの形にそっくりな二つの山を間近にした、丘の近く(地理的には特に説明的な描写が無いので不明)に立地する倫子の母が暮らす田舎には不釣合いな一軒屋と、離れの倉庫(後に改築されて「食堂かたつむり」になる)と、母が経営するスナック“アムール”がメインととなる箱庭的な世界観だ。

 監督は舞台演出も手がけているだけに、スタジオ収録した屋内シーンは舞台的でもある。物語の中心は母と娘の確執がやがて愛情に変わってゆく過程が描かれる。まぁ、それにしても主人公が失語症なので、彼女の内面がなかなか読み取れない。彼女は基本的に他人との対話に筆談を使っていて、母の飼っているブタのエルメスと話す時だけモノローグが使われる位で、倫子を演じた柴咲コウはとても感情表現に苦労したと思われる。対する倫子の母を演じた余貴美子は倫子とは対照的に自由天真爛漫な役どころだったので演じやすかったのではないだろうか?

 映画は監督曰く「映画の趣旨はファンタジーと現実ドラマの中間に位置する作品」と言ってるように、何とも中途半端な仕上がりの様に感じた。特に本作のポイントは食堂かたつむりで倫子が作り出す料理を食べた人の願いがかなったり、元気になったりと、丁度ネガティブ~ポジティブになる不思議なパワーを秘めている事が本作の要である。

 映画の中では子供と離れ離れに暮らすブラザートム演じる熊さんのエピソードや、志田未来演じる片思いの少女の話や、江波杏子演じるおめかけさんのエピソードなどが描かれるが、熊さんはなんとなく人物の背景が描かれたが、他のお客さんは人物の背景が描かれていないので、どこかエピソードがぶつ切り感の様に感じてしまった。ちゃんと、食堂かたつむりに来店する客を丁寧に掘り下げて描けば、物語に奥行きが出てくるのだが、どうも人物の表現が表面的な所は否めない。

 表面的な人物像と言うと今、最も旬な女優・満島ひかりがチョこっと出演している。彼女は作品毎に様々な表情を見せる面白い女優である。本作では倫子に対してネガティブな事をしてしまう役であるが、何か演技が表面的で彼女のキャラクターを活かしきっていないのが残念であった。

 映画は母の結婚と病で親子はお互いと向き合い確執は解凍されるわけであるが、母があんなに可愛がっていたブタのエルメスの末路なんか、人の命や食する意味を突き詰めたエピソードとして、もっと踏み込めたであろうし、物語の要所要所に登場するハトの末路も、どれもこれも唐突感は否めないし、もう一歩踏み込める余地を残したサラリとした演出がもどかしい。

 「かもめ食堂」で幕を開けた料理がらみの邦画が人気を博しているが、映画を見るたびに美味しそうな料理が物語を牽引していた。しかし本作は主人公を演じた柴咲コウが吹き替え無しで、自分の手で料理を作ったそうであるが、今回は出来上がった料理を見てもあまり食指が動かなかった。

 本作の出来上がった料理を食べるシーンで思い出したのが、フジテレビ「美味しんぼ」である。「美味しんぼ」では、美味しい料理を食べた人物が覚醒するイメージを大胆な合成技術で表現しているが、「アレぐらいやれ」とは言わないが、何か本作は料理を食べ終わった後に、登場人物に画面を食材で彩ったフレームを使う位の地味な使い方もギミックとして面白味にかけた。

 富永監督にとって劇場長編2作目と言う事もあって、まだイメージ先行で表面的な演出が玉に瑕なのだが、彼女らしいアニメやCGを使った自由な発想を開花させれば映像クリエイターとして才能を発揮できるかもしれない。そんな彼女の才能の原石を見せられた様な作品であった。

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Last updated  2010.09.15 23:15:28
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2009.12.24
カテゴリ:ブロガー試写会
 客席は満席の為に座れない人用の補助椅子も出された。映画終了後には中村義洋監督、製作の宇多川肇氏と観客のティーチインが行われた。
  
  
ゴールデンスランバー

 映画の話
 凱旋(がいせん)パレード中に首相が暗殺された仙台、宅配ドライバーの青柳(堺雅人)は、久々に再会した旧友の謎の言葉を聞いた直後、警官から突然銃を向けられる。訳もわからず逃げ出した彼は、身に覚えのない証拠と見えない力によって無実の首相暗殺犯に仕立てられていく。絶体絶命の中、青柳は大学時代の仲間たちに助けられながら逃亡を続けるが……。

 映画の感想
 私は原作を未読の為に比較は出来ないが、文字と言うソースを映像に変換した事による化学反応により、物語の面白さとダイナミズムを上手く引き出した作品に仕上がっているだろう。

 以下ネタばれ注意

 映画はオープニングから様々なキーワードを投げかける。デパートで買い物中の家族とエレベーターで出くわす男、連続通り魔殺人犯の指名手配ポスター、首相の凱旋パレード、主人公達の思い出の曲「ゴールデンスランバー」、借金を抱え闇の仕事を請け負った旧友、過去にアイドルを暴漢から救った主人公、ラジコンヘリの女、オズワルドと言った大まかなキーワードが出揃った所で、ごく普通の男がとんでもない事件に巻き込まれる物語が展開してゆく。

 映画は主人公・青柳と旧友・森田の再会で楽しげな幕開けであるが、森田が口にする首相暗殺計画と彼の行動で映画は一変する。森田が言ったとおりに首相が凱旋パレードをする場所での爆破事件が、主人公の視点でフェイントをつけて間接的な表現で描かれ、爆破が見れなかった観客として肩透かしを喰らった後に、車から降りた青柳にいきなり発砲してくる警察官に続き、森田が乗る車ごとの爆発など、文字から映像に変換した醍醐味を冒頭から炸裂させる中村監督の演出が冴えている。映画は首相暗殺犯に仕立て上げられた男の悲劇と葛藤が現在と過去を交差させながら、ミステリー仕立てにテンポ良く描かれる。

 本作には原作者・伊坂幸太郎のこだわりを感じる。映画の舞台は伊坂ワールドでは御馴染みの仙台市内であり、観光地・仙台を描くのではなく、主人公を街の地理を知り尽くした宅配便業者にして、ごく普通の仙台の町並み内を逃避行の舞台にしている。そして、首相暗殺には台詞で語られるとおりに「ケネディ大統領暗殺事件」をモチーフにして、事件の真犯人とされるリー・ハーヴェイ・オズワルドと主人公を重ね合わせ、オズワルドが遊説中のケネディ大統領を「教科書倉庫ビル」から狙撃したように、本作は青柳らしき男が「教科書倉庫ビル」屋上でラジコンヘリを操作して首相暗殺を実行した設定になっている。

 次に音楽の使い方も伊坂幸太郎の趣味が反映されているようだ。伊坂×中村コンビの「アヒルと鴨のコインロッカー」では、「ボブ・ディラン/風に吹かれて」がフィーチャーされていたが、本作ではビートルズの最後のレコーディングアルバム「アビー・ロード」に収録された「ゴールデンスランバー」がタイトルとして使われるだけではなく、劇中に何度もフィーチャーされている。今回使われる「ゴールデンスランバー」は音楽を担当した斉藤和義のカバーと言う形で使われるが、これは潔い選択であり実に良いカバーである。大人の事情でビートルズを頑なに使わなかった「パイレーツ・ロック」に対して、ビートルズ好きの私は非常にストレスが溜まったが、本作の上手い楽曲使用で幾分ストレスが解消された。主人公を含む学生時代の仲間の人数が4人と言うのも、ビートルズのメンバーの数と同じと言う心憎い設定も良い。

 映画は首相暗殺犯人に仕立てられた男の逃亡劇だけに終わらず、原作者が濱田岳を宛書して作られたキャラクターで、ビートルズのようなマッシュルームカットの連続通り魔殺人犯・キルオの存在や、青柳が過去に助けたアイドルの存在や、青柳の旧友や恋人・晴子との時を越えた連帯関係など面白い。青柳を執拗に追う刑事・佐々木を演じた香川照之の粘着系演技や、消音ヘッドフォン(←名前がわからない)を付けて、躊躇せず無言でショットガンを撃ちまくる刑事を演じた永島敏行の怪演など、主役以外の演者がいい味を出している。

 物語は結局、ハリウッド映画の様に主人公が黒幕の正体を暴いて幕引きをするのではなく、あえて黒幕の正体は判らないまま、主人公がある方法を使い正体を消すと言うグレーな状態で幕引きをする為に、観客によって好き嫌いが分かれてしまうと思うが、私はこれはこれでOKの様に感じた、面白かった。

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Last updated  2010.08.10 23:36:32
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2009.10.30
カテゴリ:ブロガー試写会
 Yahoo!映画ユーザーレビュアー試写会にて鑑賞しました。客席はほぼ満席、映画終了後に佐藤祐市監督と観客とのティーチインが行われた。

   
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 映画の話
 ニート生活を送ってきた26歳のマ男(小池徹平)は母親を亡くし、一念発起して情報処理の資格を取得する。不況のご時世の中、必死で就職活動をするものの試験に落ち続け、最終的にパスしたのはとんでもない問題企業だった。彼は初出社当日から当然のようにサービス残業をさせられ、その状態が毎日続いていく。

 映画の感想
 今の不景気日本の世相を色濃く反映した作品と言えるだろう。映画は主人公・マ男が限界点に達しボロボロになった状態から幕を開け、何故マ男がこんな状態になってしまったのか時間がさかのぼり、マ男が辿った道のりが時系列で描かれる。

以下ネタばれ注意

 私は原作を未読の為に不明であるが、マ男が就職する下請けIT企業“黒井システム”で働くキャラクターはかなりデフォルメされていると思われる。取引先にはへいこらしているくせに、会社内では部下や同僚をアゴでこき使い悪態を突き通す品川祐演じるリーダーには正直嫌悪感を持ってしまった。主人公には頭ごなしに「パっカ」を連呼して、ろくに仕事をしているようにも見えない人物だ。他の社員たちも皆強烈なキャラクターばかりで本当にどうしょうも無い会社であるが、田辺誠一演じる藤田だけが違う。人に対して思いやりを持ち、間違った事は「間違っている」といえる誠実な人物だ。まぁ、映画は品川演じるヒールキャラがいるからこそ、藤田がより引き立つ訳で「彼がいるからこそマ男も会社で働いていた」という設定も納得の好演ぶりだ。

 映画はほぼ会社のオフィス内が舞台となり、映画として広がりに欠けるのが難点であるが、佐藤監督は自由な発想でアイディアを膨らませ物語に緩急を付ける。デスマーチと呼ばれる残業続きの過剰労働者を戦地の兵士と見立てて、次々と押し付けられるノルマを機銃で撃ちまくる主人公の姿をインサートさせたり、場の空気を読み戦術を立てる藤田を「三国志」の“孔明”と見立て「レッドクリフ」ばりの映像をインサートさせ映画を盛り上げる。そして、小さな紙切れ状の主人公のニート時代の分身(監督は“チビマー”と呼んでいた)が、主人公に悪魔のささやきのような事を吹き込んだりで、上手くアイディアを膨らませ実になっているのが良い。

 映画は途中、マイコ演じる派遣社員の中西を投入して、オフィス内もにわかに活気付くが、この中西も強烈なキャラだ。藤田を好きになり猛アタックをするが、あっけなく振られてしまい何故か、その後遺症が足にきてしまい松葉杖をついて出社すると言う失恋を引きずるネガティブキャラというのも楽しい。マ男はその仕事ぶりが評価され入社2週間でプロジェクトリーダーにまで上り詰めるが、新入社員の木村(田中圭)の黒い陰謀や、自身の学歴問題でボロボロになってゆく。

 映画はワーキング・エンターテインメントとして中々面白いのだが、映画の舞台となるのが下請けIT企業という事で、主人公達が黙々とプログラムを打ち込む姿ばかりで映画として面白味に欠けるのは否めない。それも私の様にIT関連に疎い観客が見ると、彼らが何をやっているのか判らないのも難点であろし、仕事の達成感もイマイチ伝わりにくいのも難点だ。

 映画は2ちゃんねるの掲示板の書き込みから生まれただけに、何処か同じように掲示板の書き込みから生まれた大ヒット作品「電車男」とも似た匂いを感じてしまった。特に主人公が掲示板に書き込みをしているシーンでは、リアルタイムでスレッド住民たちの書き込みがされて、その文字が次々と画面に表示される所は共通点を感じた。しかし、本作のスレッド住民たちはまったく顔が見えないのが難点であろう。

 映画は現在の不景気日本の縮図の様に感じた。ピラミッド状の縦社会の中、発注を受けた大手の会社の仕事を子会社が引き継ぎ、更にそれを孫会社が最終的には下請け会社に丸投げをして、無理難題を押し付けられて下請け社員はサービス残業が当たり前という、いびつな仕事形態が出来上がり、映画の様に労働者たちは身も心も疲れきり過労死までは行かないが、ほぼ同じような状態になってしまう。これから就職を控える学生が本作を見ると悪夢のような光景に映るだろう。

 本作はネガティブな題材であるがテンポも良く笑い所も多い。映画は物語が進む内に主人公がどん底まで落ちるが、這い上がりポジティブな幕引きとなる所に好感を持った。暗くなりがちな物語を独特のテンポで明快に描いた佐藤監督のセンスが光る作品である。

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Last updated  2010.09.25 13:47:01
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2009.08.03
カテゴリ:ブロガー試写会
 試写会場は多くの女性観客が来場して、あっという間に客席はほぼ満席になってしまった。

南極料理人
 映画の話
 西村(堺雅人)は南極の昭和基地からも遠く離れた陸の孤島、南極ドームふじ基地に料理人として派遣される。妻(西田尚美)と娘を置いての単身赴任生活で、彼は8人の男性南極越冬隊員たちの胃袋を満たすという大役を任される。基地では雪氷学者(生瀬勝久)をはじめ、雪氷サポート隊員(高良健吾)らが彼の料理を心待ちにしており……。

 映画の感想
 原作がエッセイだけにこれと言った物語もなく、淡々と“南極観測隊”の日常と食生活が描かれ、観測隊の仕事ぶりはほとんど描かれていない退屈な酷い作品である。私は“南極観測隊”と聞きジョン・カーペンター監督「遊星からの物体X」の様な過酷な状況下の中を隊員達はストイックな生活を送っているとばかり思っていたが、彼らは毎日晩餐会状態&宴会の日々を送っていた事に意表をつかれた。まぁ、あんな場所で楽しみと言えば食欲を満たし毎晩酒でも飲む事くらいだろうし、酒でも飲まないと精神も安定出来ない事は理解できる。

 以下ネタばれ注意

 しかし世界的に貧しい国では飢餓に苦しみ亡くなっている人々がいる時代に、無駄に豪勢な料理を毎晩喰らう観測隊と言う人々はそんなに偉いのだろうか?確かに過酷な状況下での生活の楽しみと言う事は理解できるが、各隊員に伊勢海老丸ごと一匹のエビフライなどを見ると飽食に自惚れた現在の日本人の無神経振りを露呈しているように感じるし、その光景を見て爆笑している観客の無神経ぶりには空恐ろしく感じてしまった。

 そして私は原作を未読で不明であるが、何故か隊員達が南極と言う極寒の死と隣り合わせの屋外にやたらとパンツ一丁で出たがるのは何故なんだ?映画「八甲田山」の中で気がふれた隊員が雪山の八甲田山で全裸になると言うのを見たが、あれとは違う悪ふざけを繰り返す隊員達の姿は呆れるばかりであるし、やたら“オナラ”ネタで笑いを取ろうとする監督のセンスの悪さも気になる。

 映画のエピソードの中に備蓄したラーメンが底をつき、隊員たちがラーメンへの禁断症状が出てしまうエピソードが描かれるのだが、備蓄した材料で手作りラーメンを主人公が作り出し隊員たちに振舞われ、絶景のオーロラ観測を怠ると言うエピソードがあるのだが、肝心のオーロラが描かれていないのは映画として致命傷である。オーロラより一杯のラーメンの力に負けてしまうと人間の悲しい性を表現するのには対比となるオーロラの描写が無くっては話にならない。それにしても近年の映画は台詞だけ言って誤魔化そうとする悪い作品が横行しているが、先のエピソードは正に悪い例の見本である。

 そんな駄目映画でも、唯一良かったところは主人公の娘が絡む日本のエピソードであろう。南極と言う場所に送り込まれ腑抜け状態の観測隊員とは対照的に、活き活きとした子供らしい憎らしさを全開に演じた子役の上手さが作品にいいスパイスとなっていた事は確かである。まぁ、本作は堺雅人ファンの方と「かもめ食堂」などのゆるい笑いの好きな方にはお勧めするが、それ以外方には時間の無駄となる事であろう。平和ボケをした現在の日本映画の姿を露呈した作品である。

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Last updated  2010.04.03 19:12:41
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