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中高年の生涯学習

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2018.07.08
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​地方から出て、大学に学ぶとき、はじめて「不動産」の重要性に気づく。アパート探しで、不動産屋の門をたたく。会社に入れば、地方への転勤ということがある。親の家に住んで、普通の状態であるならば、一生、不動産屋とは縁がない人もいるだろう。あっても一生のうち1回くらいだろう。普通の人にとって、​不動産については無知蒙昧の状態​である。この事実をまず押さえておく必要がある。
​この状態で不動産屋と関わりが生じたら、どうなるか。不動産屋は専門業者で、様々な顧客と多様な契約を取り交わし、客の実態をつかんでいる。消費者である我々は何も知らないのだから、不動産屋を信じるしかない。しかし世の中には悪徳不動産屋というものが必ずいる。無知な我々は簡単に騙される。騙されたと気づいても、どうしたらいいか、見当もつかない。
​不動産業界には次々と新しい営業形態が開発されて、その実態も知らないし、新聞報道も追いついていない。アパート契約で、まずぶつかる疑問が「敷金とは何か」という新用語だ。関東と関西では、敷金の意味が違うようだ。そしてアパートの家主によっても契約が終わるときの「現状回復」の意味が異なっている実態がわかってくる。日本の場合は、この面では無法状態の後進国なのだ。消費者保護がないと言っていい。
放送大学の「生活者のための不動産学への招待」は常識としての不動産についてのイロハから建物の構造、マンションの管理等高度な知識を与えてくれる。不動産取引は非常に高額な金銭のやり取りになる。家の購入、土地・家屋の売却等を自分一人の自己責任で行わなければならない。不動産屋がまともな、正規の事業を行っている場合は問題がないが、騙せる客と見込まれた場合は、赤子の手をひねるようなものである。住んでいる家が乗っ取られる状況も考えられる。一生に1回というレアケースに備えて不動産についての最低限の知識は備えておくべきだ。

​​一定の土地建物を所有する家屋に、飛びこみ営業でマンションに改装して、ワンフロアーを所有者の専用部分にして、他の賃貸者から家賃をいくらか入ってくる。入居者は会社で募集し、入居者がいない場合は会社が補填する。こんな営業をしている会社がある。じつに美味しい話に見えるが、よく話を聞くとマンション建設の費用は銀行からの借入金で賄うという。この借入金は、もちろんご主人様の負担になりますがという。他人の土地を合法的に利用する金儲けなのだ。三世帯分のフロアーを与えられるので所有者の自尊心を持ち上げられる。会社側は絶対損はしない。所有者は得をしたのだろうか、損をしたのだろうか。この借入金で破産などという話は聞かないので、相当余裕資金のある人が契約しているのだろう。
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​​現在、ニュースで話題になっているシェアハウス投資では、ずさんな融資をしたスルガ銀行の株主総会が大荒れになった。不動産業者スマートデイズ(東京)が仕掛けた詐欺的取引だ。誘われたのは、老後の不安をかかえる40台から60代の中高年。比較的所得の高い層である。地方から出てくる女子大生を対象に共同で生活するシェアハウスの経営はどうでしょうかと誘う。東京足立区の男性は、1億円弱の物件を購入。この費用をスルガ銀行の融資でまかなった。賃料60万円受けとり、ローン返済は月40万円という計画で、スマートデイズとは「30年賃料定額」という約束にした。1室あたりの賃料は6万円で、ふろ・トイレ共用で都心から離れているが、高めに設定されている。先のマンションの場合と同じだが、購入者は高額な家賃保証というところに引っかかる。ちょっと考えれば、同じ家賃で30年維持できるとは思えない。家自体が古くなるし、設備も使えなくなる。契約時点では、入金収入に頭が行ってしまって、冷静に考えられない状態になっている。
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このシェアハウス問題では、スルガ銀行の不正融資も問題になっている。地方銀行のスルガ銀行は、ともかく大量の融資を行えという業務命令があったのだろう。普通、銀行から金を借りる場合、担保なり、補償になるものを要求する。融資対象の条件として、貯金残高1500万以上とかの縛りが付いているものである。ある人は130万の貯金残高が突然1800万円になった。普通なら儲けたと思う所だが、銀行側は貸出金の方にプラスしておけば、上役に言い逃れることができる。貯金通帳は公文書であり、これの改ざんは犯罪である。財務省がやってるのだからいいだろう、では通用しない。こうして条件外の人まで融資を広げた。

ところがスマートデイズの内情は自転車操業で、倒産。入居率も低く、家賃は払えなくなった。残ったのは膨大な借金であった。2棟作って2億円という人もいる。一家心中も考えなければならない事態である。

​不動産取引は膨大な費用がかかる。知識・情報ゼロで行うと痛い目に会うこと必然である。日本には、この問題を補償する制度がない実態を直視しなければならない。「生活者のための不動産学への招待」では海外との比較で、日本の取引関係の後進性を指摘している。特にイギリスでは古民家を利用する制度があるので、この品質管理が重要である。本当に住めるのか。業者はちょっとリフォームすれば住めますよ、と勧めるだろう。イギリスでは業者と消費者の間に取引交渉人が入ることが制度として決められている。授業では、この交渉人がどんな仕事をしているが取材して紹介される。交渉人は建築物の専門家であり、必要な修理を行う技術も持っている。耐震設備などの内部構造を調べる能力を持っている。取引金額が正当かどうかの情報もある。
​残念ながら日本には、こうした制度がない。個人的に調達する必要がある。それが、できなくとも、最低限の「不動産知識」を持ったうえで取引会場に行きべきだ。取引会場と大げさな表現をしたが、自宅は取引会場にならない。業者が自宅に押掛けての契約は無効である。こういうのも一般には知られていない。テキストにちゃんと書いてある。業界常識というものである。
​中高年で心配なのが、体が動かなくなった時だ。バリアフリーにリフォームできない場合は、老人ホームや有料老人ホームが考えられる。この科目では高齢期の住まいとして老人ホームしかないのか、という問いを設定した章がある。老人ホーム以外の、新しい高齢期の住まい方を実践しているグループを2つ紹介している。老人ホームはあくまでも施設なので、自由が制限されざるを得ない。ほとんどの人は体が動かないのだから仕方ないと諦めている。障がい者の世界では、インデペンダント生活(自立生活)が60年代から広がった。この考え方はアメリカから世界に伝えられた。いかに施設から出るか。高齢者もこうした考え方を応用したらいい。
​老人ホームといえば川崎の事件を思い出す。夜中に職員によって4階のベランダから、3人の入居者が突き落とされた。日本の福祉のレベルの低さが問題となった。福祉職員の給料の低さは普通の会社員の3分の2と言われている。職員の質を使用者側は問うことができない。働いてくれる人を誰でも雇ってしまう。非常に倫理性の高い職員と低い職員が一緒に働くことになる。老人ホームを考える人は、こうした日本の福祉の実状も頭に入れておくべきだ。
​最近テレビで宣伝するようになった「リバースモーゲージ」という言葉。低所得者に家を担保に生活資金を供給するというものだ。カタカナ用語で立派に響くせいで、つい相談したくなるものだが、問題点を指摘する識者はほとんどいない。カタカナ表記でわかるように、これも海外から入ってきたアイデアだ。テキストに紹介されている。フランスではヴィアジェといって、自宅を売却するが、亡くなるまで居住できる制度である。英語のReverse Mortgage(リバースモーゲージ)の日本語訳は「逆抵当融資」である。住宅ローンとは逆の融資方式という意味である。住宅ローンは一括して資金を借りて、それを割賦返済していくものだが、逆抵当融資は自分の家に住みながら、それを担保に生活資金を借りて、死亡時に家や土地を売却して一括返済するものだ。日本では武蔵野市が事業化、新手の福祉施策だったが、これを商業銀行が行うようになった。つまり金儲けの手段になった。その土地や家がいくらで売れるか。その範囲内での貸し付けである。この査定から、当然銀行側は儲け部分を差し引く。古い家であれば、リフォーム代金も差し引くだろう。この仕組みを利用する人は、前もって土地家屋の査定をしておく必要がある。銀行側の言いなりになってはいけない。
不動産業者とのトラブルになった場合はどうするか。脅迫や脅しがあった場合は問題外。即、業者との縁を切る。1千万円以上の物件で裁判になった場合は、弁護士に相談する。500万円以下の場合は、弁護士費用が多くかかる場合は、手元に戻る資金は低くなる。行政の宅地建物相談があるので、まず、そこに相談する。警察に相談しても、事件にならないと警察は動かない。民事のトラブルは裁判へもっていけと言われる。契約途中で営業マンが変わった場合は、条件も変わったと考え、確認する。条件に納得が行かない場合は、契約は中止する。

宅建資格もあてにしない。県の担当部署に聞きに行ったことがある。悪辣な業者に宅建の資格停止を行うことがあるかと。1年に1回の書類審査で判断しているという。詐欺的行為をしていても、そのことが書かれてなければ、どうしようもないという。自分のセクハラ・パワハラ行為を正直にいう奴などいない。契約時には隠しマイクで相手の発言を記録しておく、ということは先日の女性アナウンサーに教わったところだ(1千万以上の高額契約の場合は、録音機なり、携帯の録音をONにする。裁判、警察での重要証拠になる)。つまり宅建資格は業者の質を保証するものではない、という認識をもっておくべきなのだ。
​講師の斎藤広子さんは横浜市立大学教授。事例紹介は横浜の例が多いが、13回の「空き家問題」は、この問題で困っている人に解決へのヒントを出してくれる。隣の家の木が我が家へ伸びてきた。これを勝手に切っていいか。一人暮らしの人が脳溢血で救急車で運ばれたが、亡くなった。家は空き家になり、玄関前は木が繁茂。行政は、この家を撤去できるのか。事例では、町内会がNPOを作り、空き家を地域の交流サロンに変えた(これは鎌倉の例)。どんなやり方をしたか。空き家の利活用と地域の活性化を一挙に成し遂げた。これはノウハウをマニュアル化にすると、全国で使えそうだ。
このテキストの章末に「裁判事例」が紹介されている。こうしたトラブルに巻き込まれないように、最低限の知識・情報を学んでおこう。





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最終更新日  2018.07.08 10:36:33
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